肌育成スペシャリストとして2万人以上の女性を美肌に導いてきた川上愛子さんは、皮膚常在菌の働きに着目した「洗わない美容」の第一人者。
「美しい肌を保つには、バランスのとれた食事や質の良い睡眠をとることが第一。そして、皮脂の量が減り始める30代からは、皮膚常在菌に元気に働いてもらうためにも、肌を洗いすぎないことが大切です」。そうアドバイスする川上さんに、美肌をつくるうえで、“これだけはやってはいけない悪習慣”について聞きました。
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皮脂のとりすぎは絶対にNG!
「顔は洗わない」「化粧水はつけない」など、これまでのスキンケアの常識をくつがえすやり方で、驚異の美肌を保つ川上さん。
川上さんによると、「20年前に比べると、スキンケアの常識自体がすっかり変わってきているんです」とのこと。たとえば、多くの人がスペシャルケアのつもりでしてきたスクラブやピーリングも、実は肌を傷める一因に。
「いずれ垢となって剥がれ落ちる角質は、以前は不要なものと考えられていたので、肌のターンオーバーを促すスクラブや、はがすタイプのパックで角質をオフするのがよしとされていました。
でも今は、角質は私たちの体を外界から守る高性能バリアであり、お肌の完成品と考えられています。それをスクラブなどで無理やりはがすと、皮膚は再生を急ぎ、水分量も細胞間脂質も少ない未完成で敏感な皮膚ができることに。
角質は30~50日の肌周期で自然にはがれ落ちるので、時間をかけて良い肌をつくり、自然に落ちていくのを待つのが一番です」(川上さん)
さらに、ふき取り化粧水や泥パックなどを毎日使い、皮脂をとりすぎるのも、「肌を傷める避けたい行為ですね」と川上さん。
「皮脂を根こそぎとると、本来、自然に分泌されるはずの皮脂が復活しにくくなり、弱酸性を保つための皮脂分泌が追いつかなくなります。角層の水分と脂も流されて、乾いた角層は光を反射しないため、くすんで見えます。
ふき取り化粧水や泥パックだけでなく、毎日石けんで顔を洗っているという人も要注意です。石けんを使うのは、自分の肌状態を見て、皮脂の量が多いと感じるときだけにしておいたほうがいいでしょう。
くすみや黒ずみの原因の多くは、肌のこすりすぎによるものです。だから何もしないことで、すんなり元通りになることも多いですよ」(川上さん)
メイク道具のパフやブラシ、洗わずに使っていませんか?
スキンケアだけでなく、メイク道具や枕カバーなど、肌に直接触れるものを清潔にしておくことも大切だと言います。
「見落としがちですが、ファンデーションスポンジやパフ、ブラシ、シャドーチップなどは雑菌の温床です。スポンジは、100均などで売っている大袋のものを使い捨てにするのがいちばんです。
ブラシやチップは中性洗剤でまめに洗い、筆がパサついてきたら、正しく発色できないので買い換えましょう。私はブラシセットを年に1度は買い替えますが、アイシャドーやパウダーは、チップなどを使わず指でのせることも多いです。
そして頭皮には大量の雑菌がいて、菌たちの出す分泌物が肌への刺激になったりもするので、枕カバーは毎日取り替えたほうがいいです。ちょっと面倒だな、という方は、枕の上にタオルを敷いて、それを取り替えるようにするとラクかもしれませんね」(川上さん)
また、酸化した油(化粧品の主成分は油)を長時間、肌に乗せないために、「酔っ払ってメイクを落とさずに寝たり、何年も前に買った古い化粧品を使い続けるのもよくないです」とアドバイス。
「化粧品に使用期限は記載されていませんが、安心して使えるのは、購入後すぐに開封すると考えて1年です。最新の限定品コスメなどをまとめ買いした場合は、未開封で約2年、開封したら1年以内に使い切るのが目安です。
それと、化粧品売り場にあるテスターは、多くの人に使われ雑菌だらけのことが多いので、コスメを試したいときは個包装のサンプルをもらいましょう」(川上さん)
ふだん、あまり気にせずにいたそれらのことを、肌のためにちょっと意識してみる。それも美肌へとつながる道のようです。
次回は、シミやシワ、たるみなど、加齢による肌悩みの対応策について伺います!
取材・文/浜野雪江