きれいな肌を保つために大切だといわれる皮膚の成分「コラーゲン」。コラーゲンとはたんぱく質の一種で、さまざまな食品からとることができます。コラーゲンを使った美容向けの製品も増えていますが、本当に効果はあるのでしょうか。そんな中で、その効果を確かめる研究が出てきています。実際のところを見ていきましょう。
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コラーゲンを口からとると効果はあるの?
ロンドン大学などの研究グループが、皮膚を正常な状態に保つうえで、コラーゲンをとることの効果を分析しています。
そもそもコラーゲンとは、細胞の支えている細胞外基質(マトリクス)の主成分(タンパク質)。コラーゲンの性質が変わったり、量が減ったりすると、皮膚の老化につながります。
そういう背景から、スキンケアのために多くの人がコラーゲンをとっています。コラーゲンは熱により変性しゼラチンになります。このゼラチンを分解して作るのが「加水分解コラーゲン」。水に溶けやすく、常温でも固まらないので、ドリンクやゼリースティックに使われています。コラーゲンの原料となるのは、牛や豚、鶏、魚類などです。
口から摂取するタイプのコラーゲンは多いですが、品質や吸収性、効能についてはわからないことも多くなっていました。
今回、ロンドン大学などの研究グループは、コラーゲンの効果を検証した多数の研究を検討して、それらを分析することで、これまでの研究から言えるコラーゲンの実力について発表しました。
意外と効果的だという評価
こうしてわかったのは、コラーゲンを口から摂取することが、傷を治したり、皮膚の老化を防止したりする効果がありそうだということでした。
これまでにコラーゲンの効果を調べた研究は11件が抽出されました。この研究に加わっていた合計805人のデータについて研究グループは分析したのです。
コラーゲンを飲むと、さまざまな肌のトラブルに効果が現れことがわかりました。皮膚の老化やセルライトへの対処のほか、いわゆる床ずれ(褥瘡、じょくそう)、乾燥症にも効果を示したのです。
飲む量は、加水分解コラーゲン1日2.5〜10 gと決して多くはありません。8〜24週間にわたって飲むことで効果が現れていたのです。また、分子量の小さな「コラーゲン・トリペプチド」については1日3 gを、4〜12週間にわたって使うことで、皮膚の弾力性と保湿性を改善させるという研究結果も出ていました。コラーゲン・ジペプチドを使った研究では、コラーゲン・ジペプチドの量が増えるほど肌の抗加齢効果は高まると示されていました。いずれの研究でも、コラーゲンを飲んだからと言って害は見当たりませんでした。
「より研究は必要になりそうですが、傷の治癒や皮膚の老化防止のために、コラーゲンを短期または長期に飲むことは意味がありそうです」と研究グループはまとめています。
今後は、アトピー性皮膚炎などで壊れた皮膚のバリア機能を強化するために応用できないかをさらに検討するといいます。海外の研究を参考にすると、コラーゲンを肌の美容のために使うのはあながち悪くはないのかもしれません。
<参考文献>
Choi FD et al. Oral Collagen Supplementation: A Systematic Review of Dermatological Applications. J Drugs Dermatol. 2019 Jan 1;18(1):9-16.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30681787