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「医薬部外品」ってどんなもの?リスクを避けてキレイを保つスキンケアの選び方

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「医薬部外品」ってどんなもの?リスクを避けてキレイを保つスキンケアの選び方

コスメによく記されている「医薬部外品」の文字。今の季節はきっと多くの人が頼りにしていると思われる美白化粧品でも多く見かけます。でも、この医薬部外品のことをちゃんと理解していますか? 今回は、医薬部外品について、かずのすけ先生に科学の視点からわかりやすく解説いただきます。

監修 : かずのすけ

横浜国立大学環境情報大学院卒(環境学修士・教育学学士)。ブログ「かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき」を運営。確かな知識を生かした化粧品解析や分かりやすいコラムで、肌・髪に悩む多数の読者の信頼を得ている。著書に『オトナ女子のための美容化学 しない美容』、『秒でわかる!最強の家事』(共にワニブックス)がある。

Contents 目次

「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」3つの違いとは?

——「医薬部外品」は一般の化粧品より効果が望めるのでしょうか?

「化粧品よりも『医薬部外品』と表記されたもののほうがうたえる効能が多いのはたしかです。
薬機法(略名:医薬品医療機器等法)では、私たちがお肌などに塗布する化学製品として『化粧品』『医薬部外品(薬用化粧品)』『医薬品』の3種類を効果や使い方で分類していて、簡単に言えば最も効果がやさしいのが『化粧品』、最も効果が強いのが『医薬品』、そしてその中間に当たるのが『医薬部外品(薬用化粧品)』という分類になっています。化粧品は長期的に毎日安全に利用できる反面『有効成分』が配合されておらず効果が穏やかで標榜できる効能も少ないですが、医薬部外品には抗炎症剤や美白剤、殺菌剤などの有効成分が配合されていて、化粧品とは異なりこれらの効果標榜ができます。一応安全性も厚生労働省により厳しく管理されており、通常の用途であれば毎日使用しても問題ないものが多いです。
ただし、注意したいのは『化粧品』より『医薬部外品』のほうがすぐれているというわけではないことです。ピンポイントで効果を求めて使うのが医薬部外品、健康な肌を保つために日常的に気持ちよく利用できるのが化粧品…という風にそれぞれすぐれた要素は別にあります。特に悩みもないのに医薬部外品を使う必要はないと考えています」(かずのすけ先生)

——「医薬品」を選ぶときの注意点はありますか?

「美容目的に『医薬品』を選ぶという選択肢はそもそもありません。医薬品とは、医薬部外品よりもさらに強い効果の有効成分を配合していたり、同じ成分でもより高濃度になっており短期的に一気に効果を見込むものが一般的です。たとえば傷やニキビを治したり、細胞を修復するなどの効能も標榜できます。しかし先ほどの説明に沿って言うならば、最も効果が強いのは医薬品ですが、効果が強いとはそのぶんの『副作用』が懸念されるという意味でもあります。化粧品や医薬部外品は日常的に安全に使えるのが必須条件ですが、医薬品の場合は長期利用での安全性は担保されておらず、基本的に短期的に限定的に使用しなければなりません。使い方を誤って日常的に使用すると肌がより荒れやすくなったり、その薬に依存してしまうなどの副作用が出てしまうことがあります。『医薬品』はあくまで薬ですので、短期的な治療目的以外に使用することはないようにしましょう」(かずのすけ先生)

——医薬部外品よりも化粧品のほうがすぐれているポイントや、注意すべき点はありますか?

「化粧品は医薬部外品などに比べて標榜できる効能は少ないものの、何らかのピンポイントな悩みを解決するというよりも現状の状態を維持したり、肌の保湿やメイクアップによってより肌を美しく見せるというものです。あと、敏感肌向けの低刺激なアイテムも化粧品に多いです。医薬部外品は有効成分の効果をしっかり出せるように、成分を浸透しやすくする成分が配合されていたり、有効成分そのものが敏感肌に刺激になってしまうことがあります。化粧品はその点安全性を重視した処方が可能です。もちろん中には低刺激な医薬部外品もあります。
ただし注意点としては、化粧品であっても医薬部外品の有効成分と同じ成分を配合できますし、医薬部外品なら配合上限がある成分も化粧品では上限がない場合があります。さらに化粧品の販売には厚労省の承認は必要ありません。この結果、化粧品といっていても医薬部外品よりも効果が強く、刺激のあるものや安全性が十分でない製品が出回ることがあります。怪しいメーカーの怪しげな化粧品には気をつけましょう」(かずのすけ先生)

「医薬部外品」を賢く使うためには

「医薬部外品」を賢く使うためには

——「医薬部外品」をじょうずに選ぶコツはありますか?

「敏感肌でなければ大抵の医薬部外品(薬用化粧品)は問題なく使用できると思います。ただ重要なのは、医薬部外品には必ず『有効成分』が配合されているので、その製品がなんの成分を配合していて、かつどのような効果があるのかに必ず注目して欲しいと思います。例えば『グリチルリチン酸2K』や『アラントイン』などは抗炎症成分で、炎症を鎮めて肌荒れを防ぐ効能。『イオウ』『サリチル酸』『イソプロピルメチルフェノール』などは殺菌剤で、ニキビの原因菌を殺菌してニキビを防ぐ効能。『m-トラネキサム酸』『ビタミンC(とその誘導体)』『アルブチン』などは美白有効成分。最近では『レチノール』『ニールワン』『ナイアシンアミド』などがシワ改善成分として新たに承認されました。これらの成分を悩みに合わせて正しく選択し、必要であれば使う、必要なければ使わないなど考えながら使う必要があります」(かずのすけ先生)

——医薬部外品を使う際の注意点はありますか?

「悩みに合わないものを何も考えずに継続的に使用するのはおすすめできません。また、同じ有効成分が入っている製品を何商品も重ねて使用するのもリスキーな使い方です。
理由として、例えばニキビの悩みを持っていないのにも関わらずニキビ対策の殺菌剤が配合されている医薬部外品をずっと使うと、かえって肌荒れしやすくなったりニキビができやすくなってしまうことが考えられます。殺菌剤は肌の表面の皮膚常在菌すべてに効果を発揮するので、肌を守るいい菌も無差別に殺菌してしまいかねません。ニキビ悩みの際にピンポイントで使うべきです。また美白成分やシワ改善成分も刺激の強いものがあるので、肌に合わないと感じたら使用は控えること。
最後に『同じ有効成分が入っているものを重ねて何種類も使う』のがなぜリスキーなのかというと、そもそも医薬部外品というのは、日常的に安全に使用できるように使用試験を長期間行って安全性を担保しているのですが、それはひとつの製品のみでしか行いません。同成分の複数の製品を重ねて使うことの安全性試験は行われていないため、ひとつの製品なら長期間使って問題なくとも、複数重ねると安全に使える有効成分の量を超えてしまう可能性もあります。医薬部外品の中には医薬品と同じ成分を配合しているものがありますが、複数重ねると医薬品と同等級の量になってしまうケースもあります。これを考えると、医薬部外品はラインで揃える必要はなく、悩みにあった成分のものを別々に一種類ずつ組み合わせて使用したほうが安全ですし、効果的と言えます」(かずのすけ先生)

書影

『秒でわかる! 最強の家事 – 暮らしは、化学でラクになる!』(ワニブックス)

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