夏は虫刺されが気になる季節。かゆみはもちろん、痕が残るのも嫌なものですよね。『女医が教える、やってはいけない美容法33』『365日のスキンケア』等の著書を持つ皮膚科医で銀座ケイスキンクリニック院長の慶田朋子先生に、虫刺されケアについてうかがいました。
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お酒を飲んだ後、運動後には蚊に刺されやすい
■蚊・ダニに刺されたら?
「蚊は、人が排出する二酸化炭素、体温、汗に含まれるアセトンや乳酸などの揮発物質に反応して、寄ってくるといわれています。そのため、体温が高い人や汗っかきの人、飲酒後や運動後に刺されやすいといえます。
蚊にさされてかゆくなるのは、蚊が人の血を吸うときに、蚊のだ液が皮膚に入り込み、アレルギー反応がおこるため。また、イエダニなどの場合は、蚊よりも刺し口が太く、かゆみや腫れもひどくなりやすいです。
「かきむしったり、爪でかいてしまうと、皮膚が傷つき、炎症後色素沈着を起こし、痕が残ってしまうことがあります。蚊に刺されたら、水で患部を洗い流し、保冷剤や冷たいタオルなどで冷やし、炎症を抑えましょう。ふだんから虫よけスプレーを使用するなど、刺されない工夫をすることも大切です」(慶田先生)
■痕が残らないようするには?
「ステロイド軟膏を塗ると、痕に残りにくいです。皮膚科にかかったときに、ついでに“虫刺され用に”と伝えれば、処方してもらえると思います。炎症反応が強いときも、ステロイド軟膏が効きます。しかし、イエダニに刺された痕は、3か月ほど残ることがあります。半年たっても消えない場合は、レーザーで消すこともできます」(慶田先生)
レジャーでは、マダニや海洋生物にも気をつけて
■山ではマダニに注意して
最近では、マダニの生息域が広がり、被害も多くなっています。
「マダニはウイルスや病原体を保有し、咬まれると感染症を起こすことがあります。特にボレリア菌を保有するマダニからライム病という感染症を発症する場合があり、注意が必要です。放っておくと、紅斑、顔面神経痛、不整脈などの症状が現れます。マダニは血を吸っているときは皮膚の奥に入り込んでいるため、指でつまもうとすると、吸い口の部分が皮膚に残ってしまい、手術が必要になることがあります。マダニに咬まれたら、虫を引っ張り出そうとせずに、すぐに病院へ。山などのアウトドアに行くときは、長袖・長ズボン・靴下などで覆い、刺されない服装を心がけて」(慶田先生)
■海のレジャーでは海洋生物にも注意
夏は海のレジャーを楽しむ機会も増えます。海洋生物にも注意しましょう。
「サンゴに刺されると、“サンゴ皮膚炎”を起こし、重症化すると皮膚が壊死して、皮膚移植が必要になることもあります。クラゲも種類によってさまざまな毒を持ち、刺されると強い痛みを伴う炎症を起こします。
ウニのトゲはやわらかく、刺さるとポロポロ皮膚の中で折れてしまい、取り出すことができず、やっかいです。海ではラッシュガード、レギンス、マリンシューズを着用して、海洋生物の危険から体を守りましょう」(慶田先生)
取材・文/海老根祐子
もっとくわしく先生の美容法が知りたい人はこちら
『女医が教える、やってはいけない美容法』(小学館)