夏は、サンダルになる機会も多く、ペディキュアをする人も多いのでは? でも、ペディキュアやスカルプチャーネイル(つけ爪)で、爪の感染症になりやすいことを知っていますか? フットケアに詳しい、埼玉県済生会川口総合病院皮膚科主任部長の高山かおる先生に、女性に起こりやすい爪の病気について伺いました。
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ペディキュアで感染症が気づきにくくなる
爪の感染症に、グリーンネイル、爪カンジダ症などがあります。グリーンネイルの原因となる緑膿菌、つめカンジダ症の原因となるカンジダは、いずれも常在菌で、ふだんは悪さをすることはありません。
しかし、「ジェルネイルやスカルプチャーネイルの場合、つけっぱなしにしていると、爪からネイルが浮き上がってくることがあります。そのすき間に菌が入り込み、繁殖して、炎症を起こしてしまうのです」と高山先生。
また、ジェルネイルなどをつけっぱなしにすることで、爪の変化にも気づきにくく、感染症を見逃してしまうことがあるので、注意が必要です。
では、気をつけたい感染症の症状、対策についてみていきましょう
■グリーンネイル
●症状は?
緑膿菌という菌によって起こる日和見感染のひとつです。感染すると、爪が緑色になることから、グリーンネイルといいます。感染しても、特にかゆみや痛みはありません。
●予防とケアは?
「グリーンネイルを予防するには、ジェルネイルやスカルプチャーネイルをしない期間を定期的につくることです。グリーンネイルに気づいたら、すぐにネイルやつけ爪を取り、消毒します。緑色の部分の爪が生え変わるまで、こまめに消毒して、足を清潔に保っていれば、自然に治ります。爪がはがれるほど悪化した場合は、早めに皮膚科にかかりましょう」(高山先生)
■爪カンジダ症
●原因と症状は?
カンジダという真菌によって起こる日和見感染のひとつです。主な症状は、爪の周り炎症を起こす爪囲症です。爪の周囲に赤みや腫れが出て、爪が白く濁ることもあります。
●予防とケアは?
「予防は、ジェルネイルやスカルプチャーネイルをしない期間をこまめにつくることです。爪白癬(爪の水虫)とまぎらわしく、自己判断は禁物。治療は、医療機関を受診し、薬による治療が必要です」(高山先生)
足が水虫になると、爪白癬にもなりやすい
爪の水虫の「爪白癬」にも注意が必要です。爪白癬は、もともと足に水虫があり、それを放っておくことで発症します。
■爪白癬(爪水虫)
●原因
爪白癬は、白癬菌という真菌によって起こる感染症です。もともと足に水虫(白癬)があり、それを放っておくことで発症します。
「最初は、爪の表面が黄色や褐色に変色し、縦ジワができたり、でこぼこになったりします。その後、爪が白く濁り、厚くなって、中が空洞になることもあります。放っておくと、爪の下の角質がどんどん厚くなり、爪がもろくなって砕けやすくなります」(高山先生)
●予防と治療は?
足の水虫の治療と同様です。
「スポーツジムや温泉など、不特定多数の人が利用するところで、裸足になったときは、靴をはく前に足をふくようします。そして、家に帰ったら、足をきれいに洗いましょう。ペディキュアしていると、爪白癬にも気づきにくので、こまめに落とすようにします。爪白癬を疑ったら、医療機関を受診しましょう。外用薬と内服薬によって治療します」(高山先生)
取材・文/海老根祐子