本格的な暑い夏も終わり、ほんのり秋めいた気候になってきました。9月頃までは紫外線の影響を受けやすいシーズン。紫外線対策、万全ですか?『女医が教える、やってはいけない美容法33』『365日のスキンケア』等の著書がある皮膚科医で銀座ケイスキンクリニック院長の慶田朋子先生に、紫外線の肌への影響、うっかり日焼けへの対処法についてうかがいました。
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そもそもなぜ紫外線対策が必要? シワ、たるみなど肌老化を加速させる
■肌に影響を与える紫外線には、UVAとUVBがある
紫外線は、シミのもとになるだけではなく、シワやたるみの原因にも。またDNAを傷つけ、肌の老化を加速させます。紫外線には主に、UVAとUVBがあります。その二つの特徴を見ていきましょう。
〇ガラスを通過して室内にも届くUVA
「UVAは地上の紫外線の95%を占めます。季節や天候に関わらず降り注ぎ、雲、家や車のガラス窓も通過するため、屋内にいてもその影響を受けます。波長が長いため、肌深部の真皮層に届き、肌のハリに関係するコラーゲン線維などにダメージを与え、シワやたるみの原因になります。また、もともと肌にあるメラニン色素を酸化させ、濃くする作用があり、肌を黒くします」(慶田先生)
〇DNAを傷つけるUVB
「日焼けを起こす力が強く、UVAの600~1000倍といわれます。波長が短く、肌の表面を中心に作用。たくさん浴びることで赤くヒリヒリする炎症を引き起こします。メラニン色素を作るため、シミやくすみの原因になり、肌の乾燥、ニキビにも影響します。また、細胞のDNAに吸収されて、DNAを傷つけ、肌老化を加速させます」(慶田先生)
■シミへの影響は?
「シミには、いくつか種類があります。年齢とともに目立ってくるシミは、“日光性色素斑”というもので、これまで浴びた紫外線の影響で出てきます。それに対して、そばかす、女性ホルモンが関連する肝斑は、直近の紫外線が影響。紫外線をたくさん浴びた翌日~2週間後に、数が増えたり、色が濃くなることがあります。
また、紫外線を浴びることで、角層が厚くなります。肌はガサガサ感が増して、透明感を失い、くすみの原因にも。メラニン色素が作られることも、くすみに影響します」(慶田先生)
うっかり日焼けはどうすればいい?
ただの日焼けと思っていても、程度によってはやけどと同じ状態になります。
〇肌が赤くなって、ほてりを感じる
「冷たいタオルなどで冷やします。炎症を抑えるために、市販の消炎鎮痛剤(ロキソニン、バファリンなど)を飲んでもいいでしょう。あとは保湿のために、ワセリンなどを塗っておきます。炎症が落ち着くまで、美白は控えること。アロエ入りのジェルなどもかぶれることがあるので控えたほうがいいです」(慶田先生)
〇肌が赤くなってヒリヒリするうえに、水疱ができた
「やけどと同じ状態なので、皮膚科にかかりましょう。ステロイド軟膏を処方してもらい、それを塗ることで、よくなります。痛くて、その部分に触れられないという場合は、サンバーン(日光による熱傷)です。皮膚に熱湯をかけたときと同じ状態と思って、皮膚科の救急外来へ。
日焼け後の炎症には、早めに対処することで、ダメージを最小限に抑えることはできます。しかし、日焼けを「なかったこと」にはできません。日焼け対策はしっかり行いましょう」(慶田先生)。
取材・文/海老根祐子