減量に成功しても、なんと10人のうちおよそ9人が結局は元の体重に戻ってしまうそう。これは体重の減少に合わせて代謝が変化し、エネルギー消費量が適正なレベルより下がってしまうことが主な原因と考えられています。このたび、食事でとる炭水化物を減らしてたんぱく質を増やすと、エネルギー消費量の大きな減少を防いで、減量が維持できるという報告がありました。
Contents 目次
たんぱく質と炭水化物の比率で比較
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の自粛生活が緩和されて、「これからはダイエット」と考えている人も多いでしょう。ダイエットで気をつけたいのは「リバウンド」。その原因のひとつとして、減量後にエネルギー消費量(主に基礎代謝)が極端に下がってしまうことがあると考えられているのです。それを防ぐうえでは、運動やカプサイシン、カテキンなどいくつかの要素が有効とわかっています。そのなかで今回、オランダをはじめとする欧州の研究グループが注目したのは、基礎代謝だけでなく総エネルギー消費量や除脂肪体重を増やすと証明されている高たんぱく食を積極的にとり入れる方法です。
研究は、2300人以上の成人を高たんぱく食(たんぱく質:炭水化物:脂質の比率が25:45:30)と中たんぱく質食(15:55:30)のグループに分けて8週間で減量したあと、34か月間維持するプログラムの結果を比較するというもの。
そのうえで、たんぱく質を増やすことで代謝が高まるかどうかも分析しています。研究の最後、代表的な参加者を対象に除脂肪体重と脂肪量から予想される適正なエネルギー消費量を計算。特殊な装置に48時間入ってもらって実際のエネルギー消費量を測定しました。
エネルギー消費を増やす効果
そうしてわかったのが、高たんぱく食をとっていると、体内の代謝が高まってエネルギーの消費が促されるということ。たんぱく質を多く摂取していたグループでは、エネルギー消費量が増えることがわかりました。消費されるエネルギーと摂取するエネルギーのバランスが悪ければ、体重が増えやすくなりますが、エネルギー消費量が増えればリバウンドを防ぐ効果が現れることになります。
「減らした体重を長く維持するには、炭水化物に対するたんぱく質の比率が高い食事が効果的なのではないか」と研究グループは結論づけています。ダイエットを成功させようとする場合は、意識的に肉や魚などのたんぱく質を多くとるようにするとよさそうです。
<参考文献>
High protein diets may counteract adaptive thermogenesis during weight maintenance after weight loss
https://nutrition.org/high-protein-diets-may-counteract-adaptive-thermogenesis-during-weight-maintenance-after-weight-loss/
High Compared with Moderate Protein Intake Reduces Adaptive Thermogenesis and Induces a Negative Energy Balance during Long-term Weight-Loss Maintenance in Participants with Prediabetes in the Postobese State: A PREVIEW Study
https://academic.oup.com/jn/article/150/3/458/5637681