今やすっかりダイエットの定番となった「糖質制限」。取り入れている人も多いでしょう。でも、やっぱりカロリーも気になります。では、いったい糖質制限とカロリー制限、どちらのほうが痩せやすいの? 管理栄養士の伊達友美先生にその良さと落とし穴を教えていただきました。
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カロリー制限しすぎると代謝もどんどん落ちていく
痩せるためには「カロリー制限」が、長い間ダイエッターの常識でしたね。食べるもののカロリーを計算して、消費するカロリーよりも少なくすれば、その差の分だけ体脂肪が燃やされて痩せるということですね。私も10代~20代の頃には、きちんと食べるもののカロリー計算をして制限していました。
しかし、人間の体は生命を維持するために、食事量が減ると、それでも生きて行けるように、消費カロリーをセーブするという機能が働きます。ですから、カロリー制限生活を続けていると、それに合わせて体が代謝を下げ、消費カロリーを減らすので、痩せなくなってしまいます。それでも痩せようと頑張って、摂取カロリーを減らすと、体はさらに代謝をセーブして、消費カロリーを少なくします。
このスパイラルにハマるとどうなるか? 極限まで代謝が下がってしまい、ちょっと食べただけでも太るというまさに最悪の「太りやすい体」ができ上がります。ちなみに私は1日500kcalに制限しても痩せなくなりました。そして、リバウンド。拒食と過食を繰り返すという状態が約20年以上も続きました。
また、カロリー(熱量)は基本的に、たんぱく質・脂質・糖質の三大栄養素の合計です。どの栄養素から何kcal摂るかによっても、体の代謝や消費カロリーは違ってきます。
カロリー制限の最大の問題点は、食べ物をカロリーという数字でしか見なくなることです。高カロリーのものが悪いもので、低カロリーのものが良いものではありません。同じカロリーでも、たんぱく質や良質な脂質が含まれるものは、実は体脂肪を燃やす、痩せやすいものなのです。メロンパン500kcalと、海鮮丼500kcalは、どちらが痩せやすいのか? わかりますよね。
基本的に「カロリー制限」は、好きなものを食べ続けて太ってしまった(例:メタボな中年男性)タイプの人が痩せるための、最初のステップとして有効なダイエット法です。また、運動したり、反復浴をしたりして代謝を上げ、消費カロリーを増やすことも一緒に行うことが重要です。
体重が減りやすい糖質制限
そして、最近では常識になってきた「糖質制限」。食べるもののカロリーではなく、糖質の量だけを控える方法です。パンでも、お酒でも、スイーツでも「糖質OFF」を強調すれば、何でも売れる時代になってきました。一時的なブームでは終わらず、人気があるのは、体重がわかりやすく減るからでしょう。
実は体の中にある糖質は、構造的に多くの水分と一緒になっているので、糖質を控えると、糖と一緒になっていた水分が排泄されるので、体重が一気に減ります。人間の体の中で最も多い成分は水分です。体重を減らすのに、最も効果的なのは、水分を減らすことなのです。ダイエットを始めて、すぐに体重が減れば嬉しいし、やる気になりますよね。体重だけを減らしたいのであれば、糖質制限がもっとも効率よくダイエットできる方法でしょう。
ただし、糖質制限は基本的に糖質(炭水化物のごはんやパン、麺類など)ばかりを食べすぎて太ってしまったタイプの人に合う方法です。長年カロリーを気にしながら、ダイエットを常に意識しているという人は、元々糖質を食べすぎている訳ではないので、あまり効果が得られないでしょう。
糖質制限もカロリー制限も、それが合うタイプの人が行えば効果的なダイエット法です。自分がこれまで何を食べすぎて太ってしまったのか? 痩せにくくなってしまったのか?という原因を見つけて、自分に合ったダイエット法を選びましょう。