ダイエットを意識しはじめたとき、体を動かすことよりも真っ先に取りくみやすいのが食事内容を変えること。最近では糖質制限ダイエットも流行りを見せていますが、まだまだ一般的に根付いているのはカロリー制限ではないでしょうか。 では、毎日カロリー制限を徹底して行っていれば、やせて理想の自分になることができる? それとも、できない? ダイエットカウンセラーの伊達友美先生に教えていただきました。
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「やせるにはカロリー制限が当たり前」は間違い
「やせよう!」と決意したとき、まず気にすることは何ですか?
この問いかけに対して、ほとんどの人は、「カロリー」と答えるのではないでしょうか。
「やせたいならカロリーを気にして当然でしょう」という声が聞こえてきそうですが、カロリーを気にし過ぎるとうまくやせることはできません。ダイエットをしている人の中には、カロリーという数字に振り回されて身動きできなくなり、苦しみもがいている人が大勢いるのです。
1日1200kcalをきちんと守った女性のダイエット
例えば、私の患者さんのひとり、ある20代の女性の場合。
ダイエットを決意した彼女は、スイーツやから揚げ、パンなど好きなものをすべて断ち、1日1200kcalと決めて、きっちりカロリー計算を始めました。3年分の食事記録を見せてもらいましたが、その内容は驚くほどキチンとしています。食べたものはすべて、量とカロリーが細かく書かれていたのです。
そのかいあってか、もともと80㎏ほどあった体重は20㎏減。ダイエットは順調なはず、でしたが…。そのうち、ストイックなダイエットの反動が現われ始めます。カロリー計算はちゃんとやっている。運動も続けている。それなのに、やせるどころか、じょじょに体重は増えてきて…。
その恐怖におびえ、「なにがなんだかわからない、生きていくのがツラい」と、彼女は私のところに相談にやってきたのです。カロリーと体重、ふたつの数字にがんじがらめになり、彼女は疲れ果てていました。
そんな彼女に、まず私が提案したのは、「カロリー計算をやめて、自然な食べものを体に入れよう」ということ。
加工食品ばかりの食生活から自然なものを食べるように
カロリーという数字だけで食べている人は、加工食品を多く食べがちなのが特徴です。カロリーがわかるものを選ぼうとすると、肉や魚、野菜、お米など自然な食材ではなく、どうしても、加工食品が多くなってしまいます。彼女の場合も例外ではなく、ダイエットクッキーなどを毎日ちょこちょこ食べていました。まず、それをやめて、自然なものを食べるようにお話ししたのです。
この提案は、カロリーばかり気にしている人にとっては恐怖です。彼女も最初はためらっていました。そこで、彼女には、ご飯をほとんど食べていなかったので、「お茶漬けでもいいからご飯はきちんと食べるように」とアドバイス。そして、それに慣れてきたら、ご飯+おかず、という普通の食事に少しずつシフトしていくようにアドバイスしました。
だんだんと彼女は、ご飯や肉を食べたからといって、太るわけではないことがわかってきました。そうなると、自然のものを食べたほうがいいことが実感できる。結果、彼女はカロリーを気にしなくなりました。いろいろなものをきちんと作って食べることができるようにもなりました。間食としてゼリーやキャンディなどが手放せなかったのに、ちゃんとした食事をとるようになってから、それらは不要に。最悪だった体調も少しずつ改善していったのです。
人間の体は機械のように数字だけで動いていない
かつての彼女のように、カロリー計算にはまっている人は少なくないでしょう。でも、摂取カロリーを計算して食べさえすれば、ダイエットは計算通りにいくと思うのは幻想です。
だいたい消費するカロリーには個人差もあるし、そもそも消費カロリーを厳密に知ることは不可能。つまり、「摂取カロリーを○kcalにすれば○㎏やせる」と、単純には言えないということ。人間の体は機械ではありませんから、数字では決して測ることはできないのです。そのことをよく考えてみれば、ストイックなカロリー計算は必要ないことがわかるでしょう。
カロリーは、あくまでひとつの目安。マイペースなダイエットを基本にして、アバウトに取り入れるくらいが理想的だと思います。