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たんぱく質摂取で筋肉量アップ! キレイになるための必須条件「高たんぱく食」の新発見!

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乳製品を中心としたたんぱく質の写真

「効率よく筋肉をつけるには、筋トレの前後にたんぱく質をとる」という情報は、今やダイエッターの常識。それもあって「たんぱく質を意識した食生活」は、「筋トレをする人たちのすること」なんて考えている人もいそうです。ところが今、「運動をしない人」にとっても、たんぱく質をしっかりとることが、美と健康にとって重要だということが明らかになりました。医薬基盤・健康・栄養研究所の宮地元彦先生に伺いました。

監修 : 宮地 元彦

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄近研究所身体活動研究部 部長。博土(体育科学)。 1965年愛知県生まれ。研究テーマは、「健康づくりのための身体活動」 「生活習慣と腸内細菌叢」。

Contents 目次

「じつは運動をしなくても、たんぱく質摂取で筋肉量アップ」の新事実

軽くストレッチしている女性

「運動と筋肉量の増加」がセットであることに間違いはありません。しかし今回、仮に運動をしていなくても、たんぱく質を摂取すること自体が筋肉量をアップすることにつながるというから驚きです。医薬基盤・健康・栄養研究所の宮地元彦先生らが、世界中の105本の学術論文を分析し、証明しました。

研究は、総たんぱく質摂取量と筋肉増加との相関関係を「メタアナリシス」を用いて明らかにしたというもの。メタアナリシスとは、過去に行われた複数の研究結果を、統計的手法で総合的に再解析すること。これまでのたんぱく質摂取量と筋肉量の増加についての研究は、筋トレなどの運動と組み合わせたものがほとんどでしたが、今回の研究によって、「たんぱく質の摂取量を増やす量に応じて、筋トレナシでも筋肉量が増えていく」ということがわかったのだと言います。

筋肉の重要性について、宮地先生はこう話します。

「筋肉量を維持したり、増やしたりすることは、健康のためにとても大切です。筋肉が減れば疲れやすくなったり、日常生活のパフォーマンスが悪くなるだけでなく、サルコペニア※などの問題も出てくるでしょう。ところが今の日本人の食生活はここ10年ほど、筋肉の原料となるたんぱく質が不足している傾向にあります。戦後の栄養不良だった時代から高度成長期を経て、平成元年あたりは欧米と負けず劣らずの摂取量に到達していたのですが、その後過剰なダイエット嗜好やメタボへの危惧があるせいか、食事を控えめにする風潮が強まっているからです。でも今回の研究により、日頃からたんぱく質を充分とっている人でも少ししかとっていない人でも、年齢や性別、運動習慣の有無に関わらず、今よりもたんぱく質の摂取量を増やせば筋肉量が増えていくことがわかりました。

※サルコペニア……加齢や疾患により、筋肉量が減少すること。それに伴い歩くスピードが遅くなる、杖が必要になるなどの変化が日常動作の中で現れる。

※日々のたんぱく質摂取量と筋肉増加量の用量反応関係
※日々のたんぱく質摂取量と筋肉増加量の用量反応関係

いくつ答えられる?「たんぱく質クイズ」に挑戦!

たんぱく質は、肉や魚、乳製品などに多く含まれる栄養素だということは、多くの人が理解している情報でしょう。でももう少し詳しくなると、いろいろな疑問や誤解が生じているかも? そこでクイズ! 次の質問を「はい」か「いいえ」で答えてみましょう。

Q1 たんぱく質には「動物性」「植物性」がある。

はい
いいえ

正解は「はい」です。牛乳、肉、魚は動物性。大豆などからとれるものは植物性。プロテイン商品の場合、乳由来のものは「ホエイプロテイン」「カゼインプロテイン」、大豆由来のものは「ソイプロテイン」と表記されています。

Q2 どの食品に含まれるたんぱく質も、その「質」は全て同じ!

はい
いいえ

正解は「いいえ」。その食品に含まれるたんぱく質の「質」の高さを表しているのが、「アミノ酸スコア」です。たんぱく質は、9種類の必須アミノ酸と11種類のアミノ酸で構成されていますが、必須アミノ酸は体内で生成することができないため、食品から摂取する必要があります。この9種がいかにバランスよく含まれているかという指標がアミノ酸スコア。アミノ酸スコアが100に近いほど体内でたんぱく質が有効利用されます。肉、魚、乳製品、卵、大豆製品は、アミノ酸スコア100である、優良なたんぱく質なのです。

Q3 高たんぱく食材はいくら食べても太らない?

はい
いいえ

正解は「いいえ」。高たんぱくな食材だとしても、食材によっては脂質も糖質も含まれるため、食べすぎれば余剰分は脂肪となって蓄積されます。たとえば、たんぱく質が豊富だからとステーキばかり食べていては脂質も多くとってしまう、というように、ダイエットと筋肉量、両方を意識したいなら、脂質量にも気をつけながら食事を選ぶといいでしょう。

全問正解できましたか?
しかしたんぱく質といっても、自分が食べた食事から「どれくらいのたんぱく質がとれたのか?」ということは栄養士など専門家の力を借りないと、なかなか把握できないという声があがりそう。そこで今回は「高たんぱく食のための食ルール」を、宮地先生にアドバイスしてもらいました。

「宮地先生直伝! たんぱく質をしっかりとるための食事ルール」

ポイント(1)1日2回は主食・主菜・副菜が揃った食事をとる。

朝昼晩の食事例

「体の中でたんぱく質をしっかり働かせるためには、他の栄養素もバランスよくとれることが大切。たんぱく質がとれていても、単品で済ませる食事(例・牛丼のみ)が続くことは、筋肉量アップにつながりません。いわゆるバランスのとれた、品数の多い食事を1日何回できているか考えてみましょう」

ポイント(2)朝食は抜かない&規則的に食べる。

朝食を強調したイラスト

「朝食を抜く人は、たんぱく質が足りない傾向があります。もし食べていても「パンとコーヒー」というパターンであれば、栄養が足りていません。ヨーグルトを1品足したり、牛乳を加えてカフェオレにするなどの工夫でたんぱく質増量を目指しましょう」。
また、たんぱく質が筋肉に合成される効果を高めるには、体内でのアミノ酸濃度をある程度一定に保ち、たんぱく質の吸収を持続させることが大切。ところが朝は睡眠を通じて血中のアミノ酸濃度が下がっています。そのため、朝にたんぱく質を食べることはとても重要なのだとか! 吸収を持続させるためにも、食事は規則的にとること。

ポイント3・たんぱく質は、食事の中でとるのが基本。足りない分は、間食などで補うのがおすすめ。

たんぱく質は、スポーツ中でも手軽に摂取することを目的とした粉末状やゼリー状などのプロテイン商品が種類豊富に販売されています。運動中の補給であれば、それらを活用するのはもちろんOK。でも、「毎日の食事の中で他の栄養素と一緒にとる」という基本はお忘れなく。食事だけではたんぱく質の摂取量が足りない場合は、高たんぱくな間食を食べることで補うことがおすすめです。

ポイント4・たんぱく質の摂取推奨量は、1日あたり成人女性50g、男性65g。

日本人の食事摂取基準で定められた推奨量を食べると◎。「たんぱく質は多ければいいわけではなく、適切な量があります。少なすぎても多すぎても、リスクがあるので注意しましょう。たんぱく質のとりすぎは、カロリーオーバーから肥満を招くこともあります」

こうして見てみると、高たんぱく食のための心がけはごく当たり前のことばかりだという印象。健康的な食生活の中で、ヨーグルトなどの市販品を上手に使えば、軽々と達成できそうです。ひとつ気をつけたいのは「高たんぱく食は運動の有無にかかわらず筋肉を増やす」ことが判明したものの、従来の「運動による刺激が筋肉量を増やす」という事実は変わらないし、運動とたんぱく摂取による筋肉量増加の効果には相加作用がある点。運動に意味がなかったというわけではないので、筋トレを頑張っていた人たちはご安心を!

ここまでで、「自分の食生活で、たんぱく量が足りている?」と気になってきた人は、次のリストをチェックしてみましょう。

バランスよく必要量のたんぱく質、とれている? チェックテスト!

□ダイエットをしていないのに、最近やせてきた。
□食事は丼や麺類など、単品料理が多い
□朝食は抜きがち。
□階段の上り下りが、前よりツラく感じる。
□野菜中心の食事にしている。
□最近体の冷えが気になる
□最近爪が割れやすくなった

該当項目が多ければ、たんぱく質量が足りていない可能性大! 疲れやすくなった、冷えを感じるなどの項目からわかるのは、筋肉が減ったサインでもあるといいます。特にステイホームが推奨される今の世の中では、生活のメリハリがつけにくく、食生活も運動習慣も乱れがち。手軽な方法で、食生活を少しずつ見直していきましょう。筋肉は、引き締まった体や、全身のパフォーマンスに重要なパーツ。元気に楽しくすごすためにも、たんぱく質を上手にとり入れていきたいですね。最近では、コンビニやスーパーで「たんぱく質●g」などと表示されたヨーグルトやチョコレート、チーズなどの高たんぱく商品をたくさん見かけます。1日のうちにちょこちょこ補給するのにぴったりなので、ぜひチェックしてみてください!

参考資料
Dose–response relationship between protein intake and muscle mass increase: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
(たんぱく質摂取量と筋肉量増加との用量反応関係:無作為化対照試験のシステマティックレビューおよびメタアナリシス)

取材・文/木下頼子 イラスト/クロカワユカリ

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