ステイホームが続いて、“ぽっこりお腹”が気になるという人が多いよう。ぽっこりお腹のつまめない脂肪は内臓脂肪だとよくいわれます。女性は40代以降、内臓脂肪がつきやすくなりますし、内臓脂肪は生活習慣病の原因にもなります。今回は、栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原 毅先生監修の『眠れなくなるほど面白い 図解 内臓脂肪の話』から、簡単にできる内臓脂肪の落とし方について見ていきましょう。
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内臓脂肪はとり過ぎた糖質が原因⁉︎
「お腹に脂肪がつく」というと、油っぽい食事をイメージする人が多いと思いますが、じつは脂質よりも気をつけたいのが、糖質のとり過ぎです。
「もちろん脂質のとり過ぎは体に脂肪がたまる原因になるのですが、それよりも問題なのは『糖質』のとり過ぎです。脂肪の原料は、脂質と糖質で、じつは糖質のほうが脂肪になりやすいのです」(栗原先生)
糖質をとり血糖値が上がると、インスリンが膵臓から分泌され、血糖を筋肉細胞にとり込んで血糖値を下げようとします。とり込まれた血糖はエネルギー源となったあと、グリコーゲンとして蓄えられますが、使い切れなかった血糖は脂肪細胞にとり込まれて中性脂肪に合成されてしまいます。
これが増えすぎると内臓脂肪や皮下脂肪などになって蓄えられることに。つまり、糖質や脂質(特に糖質)をとり過ぎた状態で、体を動かさずにエネルギーをあまり消費しない生活を続けていると、脂肪がどんどん蓄積されていくというわけです。
女性も油断できない内臓脂肪
内臓脂肪は主に男性の肥満の原因に挙げられますが、男女ともに加齢とともにつきやすくなることが特徴です。
「特に女性は閉経後、それ以前の2倍の速さで内臓脂肪が蓄積していくとわれています。また若い女性であっても過度なカロリー制限や糖質制限をするなどのダイエットによって筋肉量が落ち、基礎代謝量が減って内臓脂肪が増えているというケースもあります。また40歳前後になると体重は標準値でも内臓に脂肪をため込んで体脂肪率が高い“隠れ肥満”の人も増えてきます」
30代以降は特に食事や運動などの生活習慣の見直しが必要!
内臓脂肪が一気に減る糖質ちょいオフ
糖質のとり過ぎ、あるいは運動不足でブドウ糖が血液中に余っていると、インスリンの働きでどんどん脂肪が蓄積されていきます。
「逆に考えれば糖質を過剰にとらなければ、脂肪が蓄積されることはないといえます。とはいえ糖質を極端に減らすのはNGです。糖質を減らすと脂肪が減っていくのですが、それが急激に進むと体が危機を感じて脂肪ためこもうと働きます。脂質異常症などの原因にもなりかねないので、1日の糖質の量を約15%減らす“糖質ちょいオフ”がオススメです」
内臓脂肪を減らすために実践したい“糖質ちょいオフ”。
1日の糖質をこれまでの量から約15%を減らせばよく、カロリーの高い肉や卵、バターなどの乳製品も食べられます。
「1日に摂取する糖質量の目標値は、男性で250g、女性で200gです。ご飯であればひと口分減らせば糖質を約15%減らすことができます。家で食事をする際はお茶碗をひと回り小さくすると効果的です。
また主食には黒っぽい食品を選ぶように心がけてください。白米よりも玄米や雑穀米、真っ白いパンよりはライ麦パンや全粒粉パンなどをチョイス。食物繊維が多くで食べ応えもあります」
内臓脂肪の蓄積には要注意。体重が増えたとき、筋肉が増えたのか、内臓脂肪が増えたのか、体組成計でチェックするといいですね。
次回は、生活習慣病の原因となる、第3の脂肪「異所性脂肪」について解説していきます!
参考書籍
『眠れなくなるほど面白い 図解 内臓脂肪の話』(日本文芸社)
文/庄司真紀