コロナ自粛の影響もあって、なんとかやせなければと思う人も多いかもしれません。ダイエットに運動で少しでも体重や脂肪を減らしてたいと頑張ってみても、そう簡単にはいかないことも。海外研究によると、胃から出ている無名のタンパク質が体重を増やしていると発見されたよう。太りやすいという人は、そんな胃の特徴も関係するかもしれません。
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ダイエットのカギを握るホルモン?
食べものを消化する胃の働きはさまざま。食欲を引き出すホルモンを分泌するというのもひとつです。たとえば、「グレリン」と呼ばれるホルモンがあるなど、胃はカロリーのもとになる食品を消化するばかりではなく、カロリーをとり込もうという気分まで左右している存在といっていいのでしょう。さらには、腸内細菌を変えてしまう影響ももつようだということもわかってきました。海外では肥満のため胃の一部を切る手術もありますが、腸内細菌によくない変化をもたらすと問題視されるほど。
今回、米国の研究グループが目をつけたのも胃から分泌されているホルモンといえるかもしれません。胃から豊富に分泌される「ガストロキン1(GKN1)」という小さなタンパク質が何らかの働きを果たしているのではと研究を進めたのです。
研究グループによると、このガストロキン1が消化酵素の作用を受けずに、腸に届いて影響を与える可能性があると推測。腸内細菌や体重、脂肪の蓄積などへの影響を動物実験によって検証しました。
脂肪を口にした場合に体重が増えやすい
ここから明らかになったのが、注目したタンパク質の影響で体重が増えやすくなってしまうということです。具体的には、ガストロキン1が出てくることで、食べる量が同じでも体脂肪が多くなったり、逆に筋肉量が減ってしまったりする影響がありました。どうやら、腸内細菌に変化をもたらすことで、肥満の体質に変えてしまうようなのです。
胃が腸内細菌や肥満とも関係するという意外な発見。今後も研究を重ねる必要はあるようですが、逆にガストロキン1の分泌を阻止すると、肥満を防ぐ手段につながる可能性もあると研究グループは見ています。とはいえ、分泌しやすい人としづらい人がいるかもしれません。肥満にはこのような胃の特徴が影響している可能性もあるため、太りやすいと感じている人は、人一倍、脂肪のとり過ぎなどに気をつけた方ほうがよいのかもしれません。
<参考文献>
Your stomach may be the secret to fighting obesity
https://medicine.iu.edu/news/2021/05/Your-stomach-may-be-the-secret-to-fighting-obesity
Overstreet AC, Grayson BE, Boger A, Bakke D, Carmody EM, Bales CE, Paski SC, Murphy SF, Dethlefs CR, Shannon KJ, Adlaka KR, Wolford CE, Campiti VJ, Raghunandan CV, Seeley RJ, Boone DL. Gastrokine-1, an anti-amyloidogenic protein secreted by the stomach, regulates diet-induced obesity. Sci Rep. 2021 May 4;11(1):9477. doi: 10.1038/s41598-021-88928-8. PMID: 33947892.
https://www.nature.com/articles/s41598-021-88928-8
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33947892/