健康のために、糖質をカットしている人も多いかもしれません。糖質のとり過ぎはもちろんよくないけれど、減らし過ぎや食べ方を間違えてしまっても、元気に毎日を過ごしていくことが難しくなります。健康的な食生活を、おいしく楽しく続けていくためには、“適正な糖質量”があります。「適正糖質」の考え方、じょうずに糖質の量をコントロールするための食事のとり方のコツを江崎グリコ商品技術開発研究所の安田信雄さんが解説します。
Contents 目次
適正な糖質量はどのくらい?
そもそも糖質とは、どのような栄養素なのか知っていますか?
「炭水化物から食物繊維を除いたものが糖質です。脂質・たんぱく質とともに、『エネルギー産生栄養素』と呼ばれています。1g当たり4kcalで、米・小麦粉・いも類・果実類・砂糖を含んだ菓子類などに多く含まれ、体内でエネルギー源になります。
消化・吸収されると、ブドウ糖として血液と一緒に全身をめぐり、 脂質やたんぱく質に比べてすばやくエネルギーとして使われるという特徴があります。脳のエネルギー源も ブドウ糖です。肝臓や筋肉にグリコーゲンとして少量は蓄えられますが、すぐに使う量以上にとり過ぎると脂肪になってしまい、肥満の原因になります」
それだけに、体重コントロールのためには、「糖質をとらなければいい」という極端な考えにもなりがちです。しかし、「糖質を控え過ぎ たり、糖質以外のお肉やお魚なども含めて食べる総量が少なくなったりすると、食事に満足感が得られず、継続することがなかなか難しくなります」と安田さんは注意を促します。
一方で、糖質はとり過ぎても、健康にはマイナスの影響があります。そこで注目されているのが健康のために適正な糖質量を摂取する「適正糖質」という考え方で、食・楽・健康協会が提唱しています 。
「適正糖質の考え方のベースにあるのは、食後の血糖値の上昇を抑えることです。日本人は米飯中心の食生活で、糖質を多くとる傾向にあります。それによって食後の血糖値が上昇しやすく、糖尿病のリスクを高める原因にもなっています。血糖値が急激に上昇すると、すい臓からインスリンという物質が分泌されて、血糖値を抑える働きをしてくれます。しかし、1日何度も血糖値の上昇をくり返す生活を続けると 、そのたびにインスリンを大量に分泌するすい臓は疲れてしまい、インスリンの分泌が悪くなったり、また分泌されてもその働きが悪くなってしまいます。こうして血糖値の高い状態が常に続くようになると、 糖尿病を発症しやすくなるのです。また、高血糖は血管を傷つけ、さまざまな合併症を招く可能性があり、脳梗塞や心筋梗塞などの リスクも高まってしまいます」
糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞といった病気は、中年の男性がかかりやすいというイメージがあるかもしれませんが、若い女性でも油断は大敵だといいます。
「20~30代 で、血糖値が急激に上がりやすい 食生活を続けると 、将来的にこうした病気を発症するリスクが高くなり、また発症する時期が早まる可能性もあります」
では、適正な糖質量とは、どれぐらいなのでしょうか。
「適正な糖質は、1食あたり20~40gです。糖質25gの目安は、白米 のご飯なら約半膳 、食パンは6枚切りなら1枚 、ゆでたうどん ・そば・ラーメンは約半玉 に相当します。1食あたり20 ~40gの糖質を 1日3回、それに間食1回(10g以下の糖質) を加えて、1日の適正糖質量は、70 ~130g ※となります」
※出典:食・楽・健康協会
適正に糖質量を調整するためのポイント
一般的な日本人は、1日3食で300gほどの糖質量をとっていると言われています。たとえば、コンビニおにぎり2個と野菜ジュースで100gです。糖質を多くとり過ぎていたり、少な過ぎたりした場合、適正な糖質量に調整するには、どうすればよいでしょうか。ポイントは8つです。
1.1日3回、毎食の糖質量を20~40gにする
「朝食を抜いたから、昼食に2食分の糖質をとったり、1日1回だけ糖質をまとめて食べたりするようなとり方は、血糖値が上がりやすいためNGです。糖質は、1日3回、毎食の糖質量を20~40gになるように摂取することが大切です」
2.低糖質の食材を選ぶ
「糖質を減らした分は、たんぱく質や脂質、食物繊維など で補います。糖質の低い食材には、肉類、魚介類、葉もの野菜、卵、大豆、きのこ類、海藻類、こんにゃくなどがあります。気をつけたいのが根菜類で、大根、かぶなどは糖質が少なめですが、じゃがいも、さつまいも、かぼちゃ、にんじん、ごぼうなどは糖質が多い部類に入ります。たとえば、焼きいもが食べたかったら、ご飯を減らしたりして、調整するようにしましょう」
血糖値コントロールの点からは、たんぱく質や脂質の食べる量には制限はありません。
3.コンビニごはんは単品買いで、自分流にセットアップ
「コンビニやスーパーなどのお弁当は、一般的にご飯の量が多かったり、揚げものは衣が厚いこともあって、糖質が多くなりがちです。ランチなどを買うときは、おにぎり+サラダチキン+野菜サラダなど、糖質の低い総菜を単品買いで組み合わせましょう」
4.栄養成分表の「糖質」「炭水化物」をチェック
「市販の食品には栄養成分表示があるので、『糖質』をチェックすれば、摂取量の目安になります。『炭水化物』とあるものは、食物繊維も含まれていますので、メーカーのお客様窓口に糖質量を問い合わせるのが確実ですが、 食物繊維量が表示されていない場合は、炭水化物量がほぼ糖質量と 考えていい場合が多いです 」
5.食べる順番は「カーボラスト」で
「血糖値の急上昇を抑えるためには、食べる順番にも気を遣います。生野菜サラダ、肉、魚などを先に食べて、炭水化物(糖質) を最後に食べる“カーボラスト”が鉄則。また、一気に食べずに、よくかんでゆっくりと食べます。外食で、糖質オフのメニューがなかったり、オーダー時にご飯の量を減らせなかったりするときも、食べる順番や、よくかんでゆっくり食べる ことに気を配るだけで血糖値の上昇をゆるやかにすることができます」
6.間食の糖質量は10g 以下
「間食・デザートには、ナッツ類、チーズやいちご、アボカドといった低糖質の果物がおすすめです。 アイスやビスケットが好きなら低糖質の 製品も出ているので、ガマンせずにじょうずにとり入れたいですね」
7.間食の時間は午後3時が理想
「間食は、昼食と夕食の間の午後3時が理想です。しかし、仕事中だとなかなかそうもいきません。カーボラストの考え方で、間食の分を食後のデザートとして食べてもいいでしょう。 糖質の高いものをちょこちょこ食べ続ける ことは、常に血糖値が高い状態 になりますので避けま しょう」
8.お酒を飲むなら蒸留酒をチョイス
「お酒を飲む場合は、糖質が含まれていないウイスキーや焼酎といった蒸留酒を。糖質が多く含まれるのは、ビール、発泡酒、日本酒などです。これらを飲む場合は、糖質オフを選ぶといいでしょう。ただし、飲み過ぎは禁物です」
「コツは、無理に減らさないこと。大事なのは継続することです。まずは自分が食べてきた糖質量を把握して、糖質を減らすだけでなく食べるものを選んでおいしく楽しく食べて、最終的に1食20~40gを目指しましょう」
糖質量が気になったら? 専門家も大満足の「SUNAO」生活大公開!
人々の栄養管理を行い、適正な糖質管理をオススメする管理栄養士の浅野まみこさんが糖質を調整した 「SUNAO」商品をとり入れた1日の食生活を公開してくれました。みなさんも、ぜひ参考にしてください。
■朝食:8時
1日のスタートになる朝ごはんは、代謝を高め、エネルギーを補給する時間として、しっかりと食べます。主食は、麦などを加えた雑穀ご飯、みそ汁は食物繊維をしっかり摂取するように野菜や海藻、きのこ類などを加えました。
果物は、1日のうちで朝に食べることがオススメですが、糖質を抑えたいときは柑橘類がオススメです。食べたいスイーツがあるときは、朝食に食べることが多いです。
■昼食:12時
ランチは、SUNAOの「2種のチーズ&きのこリゾット 」。糖質は28gと、ごはん半膳ほどの糖質量。原材料の多い順 に野菜、大麦などが使われ、しっかりとした食べごたえで、満足感がありました。濃厚な味わいなので、かみしめるように食べると満足感がさらに増します。食物繊維も1袋で17.4gと、しっかり摂取できるのも魅力的です。たんぱく質を補うために、ゆで卵をトッピングしました。サバ缶などをプラスしてもよいでしょう。
■間食:16時
間食でとるのに適正な糖質量は10g。ここでは2つのパターンをご紹介します。
□チョコバニラソフト編
チョコレートの味わいもコーンの部分も、びっくりするほど満足感がありながら糖質9gなんてすごい! 原材料をみると2番目に多いのが食物繊維(ポリデキストロース)です。不足しがちな食物繊維が11.5gもとれる、すぐれものです。
アイス類を食べると、体を冷やし、代謝を落としてしまいがちなので、糖質の低いスープや温かいお茶などを合わせて飲むようにしています。アイスだけを食べるよりも、満足度も高くなり、おすすめです。
□ビスケット編
1袋31gで、糖質9.2g。たんぱく質の多いチーズとコーヒーを組み合わせました。お皿に半量のビスケットを出したら、先に袋を閉じておきましょう。バターの香りがたっぷりのサクサクした軽い食感のビスケットは、1枚ずつ味わうことがオススメです。コーヒーやお茶を合わせると、食べたあとの腹持ちがよくなります。
また、たんぱく質の摂取は、食欲を抑える働きもあるので、このように組み合わせると、ガマンしている感もなく、かといって食べ過ぎることもなく、しっかりと食べた満足感を味わうことができるはず。栄養バランスも整い、罪悪感も糖質量も抑えることができます。
■夕食:20時
夜は不足している栄養素をとることを心がけています。この日は、日中に多くとれなかった緑黄色野菜とたんぱく質を中心に。米飯ではなく、炒めものにオートミール、みそ汁にさつまいもを加えて、低糖質ながら満足度を高めています。
栄養相談を受けていると、「糖質は食べたら太る」「糖質は全部抜いたほうがいい」と思っている方も多いのですが、糖質(炭水化物)は、活動するための必要なエネルギーであり、また脂肪燃焼をさせる際の着火剤の役割もあります。
糖質コントロールをする際に、すべてのご飯やパンなどの主食、間食などを制限してしまうことは、食事の楽しみを減らすだけでなく、ストレスをかけ、継続できる食生活にはなりません。
そのためにも、適正な糖質量を意識することが大事。間食に糖質コントロールされたものを選ぶこともオススメです。また、間食を食べるなら、しっかり満足できる食べ方をしたほうが、ストレスなく、よけいな間食を減らすことにもつながります。少しずつの工夫で、糖質は無理なくコントロールできるようになります。
【毎日の糖質コントロールのコツ5】
1、炭水化物は、玄米や雑穀ご飯や胚芽パンなど食物繊維が多いものを選ぶ。
2、日常の間食は、糖質コントロールされたものを選んでみる。
3、間食は、単品ではなく温かい飲料やたんぱく質の多いものと組み合わせる。
4、主食を控えるときは、おかずや副菜に糖質の多い食材(今回は、オートミールとさつまいも)を少し加える。
5、糖質をすべてやめるのではなく、上手にコントロールしておいしく食べる。
いかがでしたか。浅野先生の食生活はおいしそうで、満足度も高そう! これなら…とやってみたくなりますね。先生もとり入れていたSUNAOシリーズの商品をご紹介します。
「食べたい気持ちに素直になれる!」と評判のSUNAOシリーズ3選
糖質量のコントロールに困ったときは、糖質量を抑えた商品をとり入れると、食べることを楽しみながら、じょうずに健康管理ができます。糖質量を気にせず、おいしいものが食べられる!と評判のSUNAOシリーズ(江崎グリコ)から、3商品をピックアップしてご紹介します。
■チョコ&バニラソフト 糖質9.0g
チョコとバニラのミックスアイス。濃厚な味わいのチョコとコクのあるバニラに、ほろ苦いチョコレートソースをトッピング。オープン価格。
〈栄養成分(1個当たり)〉
エネルギー120kcal たんぱく質2.5g 脂質8.0g 炭水化物20.5g(うち、糖質9.0g 食物繊維11.5g)食塩相当量0.2g
■発酵バター 糖質9.2g
発酵バターを14%配合した、濃厚な香りと味わいを楽しめるビスケット。からだにやさしいオリゴ糖を使用しています。オープン価格。
〈栄養成分(1袋/31g当たり)〉
エネルギー150kcal たんぱく質2.4g 脂質9.5g 炭水化物18.3g(うち、糖質9.2g 食物繊維9.1g)食塩相当量0.2g
■2種のチーズ&きのこリゾット 糖質27.1g
国産大麦のブレンドで、食物繊維がたっぷり入ったリゾット。2種のチーズを使用したことで、チーズの風味がしっかりと楽しめます。スープリゾットやドリアなどアレンジしても◎。オープン価格。
〈栄養成分(1食分/220g当たり)〉
エネルギー238kcal たんぱく質10.8g 脂質5.7g 炭水化物44.5g(うち、糖質27.1g 食物繊維17.4g 食塩相当量1.9g)
糖質を“ガマン”ではなく、“コントロール”して、おいしい「適正糖質」生活、始めませんか?
■「SUNAO」について 詳しくはこちら
取材・文/海老根裕子 イラスト/たなかのりこ 撮影/我妻慶一
取材協力 江崎グリコ株式会社
〈管理栄養士プロフィール〉
浅野まみこ先生
管理栄養士、コンビニ外食研究家。1975年生まれ。食と健康のコンサルティング会社・(株)エビータ代表。総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて1万8000件以上の栄養相談を実施。その経験を生かし、現在は、食育活動やレシピ開発、食のコンサルティングをはじめ、講演、栄養指導など多方面で活躍中。テレビ、雑誌をはじめ、メディア出演多数。「食生活が楽しいと人生が100倍楽しい!」をモットーに活動している。公式サイト:http://e-vita.jp/