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春なのに元気がないのは「脾」が弱っているせい
桜が咲き、生活も気持ちも新しく切り替わる春。ポカポカとした日差しを浴びると、「新しいことを始めたいな」という気分になりますね。春分の日を境に、自然界は“温かな気”である「陽気」が高まります。私たち人間も、自然の中に生きる存在。草木が芽を出し、虫たちが活動を始めるように、活発に動きたくなるのです。
しかし、私たち人間社会は、春夏秋冬の変化に関係なく、常に忙しく、活動を休めることがありません。実際、年末年始から春先にかけ、受験、新入学、就職、転勤などで心身ともに落ち着く暇がなかったという人も多いはず。そんな人は、知らず知らずのうちにエネルギー切れになっていて、活発に動きたくても体がついてこなくなっているかもしれません。
- 朝、すっきり起きられない
- 昼食や夕食のあと、眠気に襲われる
- たくさん食べられなくなった
- 肉類は苦手だけど、甘いお菓子はOK
そんな傾向に陥っているなら要注意! あなたは、東洋医学でいう「脾(ひ)」の働きが低下している可能性があります。
「脾」の役割は、食べ物を消化し、栄養分をつくって体じゅうに届けること。これが低下すると、消化する力が減退してしまいます。消化機能が低下すれば、栄養をつくり、供給する働きも低下するため、疲れやすくなったり、やる気が出なくなったりするのです。
甘酒は「飲む美容液」「飲む栄養ドリンク」
そんなとき、どんなものを取り入れればいいのか……。私が習慣にしているのは、麹100%でつくる甘酒です。麹は、みそや漬けものなどの発酵食でおなじみの食材。中国の古典『本草綱目』には、「麹」「紅麹」「女麹」など、数種類の麹が紹介されています。その中には「神麹(しんきく/和名:くすりこうじ)」なるものも。麹は、食用としてだけではなく、薬用としてもつくられていたことがわかります。
そんな麹ですが、薬膳では消化不良、気血の滞りによいとされ、「脾」「胃」の働きを健やかにすると考えられています。それもそのはず。麹には、たくさんの種類の消化酵素が含まれているため、弱った消化機能をサポートする力が非常に高いのです。
この麹のパワーを余すところなく取り入れられるのが、米麹だけでつくる甘酒です。つくり方は簡単。ほぐした米麹に同量のお湯(60~65℃程度)を加え、電子ポットか炊飯器の保温で8時間置けば完成です。でき上がった甘酒は、砂糖を加えたわけではないのにと~っても甘いのが特徴。発酵の過程で、アミノ酸、ビタミンB群などの栄養素が生まれるため、代謝アップや美肌づくりにもひと役買ってくれるでしょう。
「飲む点滴」ともいわれる甘酒。私は、お腹のケアだけでなく、春先の肌の乾燥トラブルを防ぐ目的でも習慣にしています。でき上がった甘酒は粒々が残っているので、ミキサーにかけ、使いやすい状態にして冷蔵庫へ。朝いちばんに、少量をお湯で割って飲みます。私にとっては、「飲む栄養ドリンク」であり「飲む美容液」でもある甘酒。甘味料として料理にも使えますから、ぜひ、つくってみてください。
こんなレシピもおすすめ!
「甘酒味のホットレモネード」
(1人分170Kcal)
材料(2人分)
甘酒 2カップ
レモン汁 1個分
レモン(スライス) 2枚
つくり方
(1)鍋に甘酒を入れて温め、火を止めてレモン汁を混ぜる。
(2)(1)を器に注ぎ、レモンスライスを浮かべる。