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起床後1時間以内の朝食が決め手! 時間栄養学に基づいた生活の見直しで体調を上向きにしよう♪

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時間と食事の関係をあらわしたイラスト画像

健康に気を使っているつもりでも、体重が増えてしまう、疲れがとれないと感じることはありませんか? 長引くコロナ禍で、「なんとなく不調」を抱える人も増えています。それは、もしかしたら体内時計が乱れているからかもしれません。食べる時間帯、タイミングによって体内時計を整え、体調管理ができる「時間栄養学」という考え方があります。時間栄養学を活用して健康的に生活するコツを、管理栄養士で理学博士として時間栄養学を研究する古谷彰子さんに聞きました。

監修 : 古谷 彰子

博士(理学)・管理栄養士・アスリートフードマイスター。あきはばらクリニック 非常勤管理栄養士。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学非常勤講師。(株)アスリートフードマイスター認定講師としても勤務する。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチする「時間栄養学」の専門家。自身の知識と経験を活かし、科学的根拠を基にしたレシピ提供やライフスタイルへのアドバイス、個人や企業向けのセミナーの開催、ベネッセ、カルビー、ニップンな どの商品開発や共同実験にも携わるなど、多岐にわたり活躍。著書に「食べる時間を変えれば健康になる」(ディスカバー21)「時間×食事で賢い子が育つ! 簡単・最強子育て」(幻冬舎)「食べる時間を変えるだけ! 知って得する時間栄養学」(宝島社)など多数。

Contents 目次

「なんとなく不調」は、体内時計の乱れによる「ソーシャルジェットラグ」が原因?!

体内時計をあらわすイラスト

私たちの体は、「体内時計」によって1日のリズムが刻まれています。ホルモンの分泌、栄養の代謝、免疫状態なども体内時計によって調整されています。体内時計は、脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)という部分に「親時計」があり、そのほかに胃、腸、肝臓、腎臓、そして血管や皮膚などに「子時計」があります。体内時計の1日のサイクルは24時間より少し長いので 、1日24時間サイクルに合わせるため、毎日、体内時計をリセットして、起点の時間を決め直す必要があります。

「ところが、このリセットがうまくいかないと、体内時計に乱れが生じて、必要なホルモンが出なくなったりして、活動すべき昼間に眠気やだるさ、疲れを感じてしまいます。また、食べたものが代謝されずに体脂肪がつきやすくなったりもします。体内時計は免疫にも関わるため、体調が悪くなってしまうことも多くなります」と古谷彰子さんは指摘します。

睡眠や食事をきちんととっているはずなのに、なんとなく体がだるい、疲れやすい、と感じることがありませんか。それは、「体内時計の乱れ」が原因かもしれません。

「じつはコロナ禍のテレワークで、体内時計が乱れ、『ソーシャルジェットラグ』を起こしている人も少なくありません。

『ソーシャルジェットラグ』とは、起床・就寝リズムのズレによって、海外旅行で体験するような時差ボケ状態になることです。社会的時差ボケともいわれています。たとえば、平日は7時に起床する人が週末は11時頃に起きたりすると、翌日は、かえってだるさや疲れが残ってしまい、週末まで引きずってしまいます。出勤とテレワークの混在で、起床時間がまちまちになっている人にも、これと同じことが起こりやすくなるのです」

このように乱れた体内時計を整えるのにひと役買うのが、時間栄養学。体内時計を考慮した新しい栄養の考え方です。「何を食べるか」よりも「いつ食べるか」を重視します。

「乱れた体内時計を整えるために、いちばん大事なのは食事です。親時計は光の刺激でリセットされますが、内臓などの子時計のリセットには食事の刺激が必要です。起床後1時間程度を目安に朝食 を食べることで、子時計がリセットされ、健康的に1日をスタートさせることができます。毎日、一定の時間に起床して、朝食をとることが大事なポイントです」

体内時計を整えることが、“なんとなく不調”の改善や免疫力のアップ、効率のよい体重コントロールにつながります。

時間栄養学をとり入れた食生活と1日の過ごし方のコツ

1日の過ごし方イラスト

では、実際に、体内時計を整え、“なんとなく不調”を解消していくには、いつ、何を食べるのがよいのでしょうか。時間栄養学をとり入れた体内時計を乱さない食生活のコツと1日の過ごし方の例を紹介します。

●体内時計のリセットに、朝食は「炭水化物+たんぱく質」の組み合わせを

ツナサンド画像

「朝はまず起きたら日の光を浴び、起床後1時間以内に食事をとります。体内時計は、糖質の代謝に働くインスリンの刺激で動くため、朝食には炭水化物をとることが大切です。さらにたんぱく質を組み合わせることで、体内時計がよく動きます。特に、EPAやDHAなどが含まれる魚油は体内時計を動かす効果が大きいので、朝食には積極的に魚をとり入れたいですね。昔ながらの焼き魚定食などがベストですが、朝食の支度に時間がとれない場合は、さけのおにぎりやツナサンドとヨーグルトを組み合わせてみましょう。
なお、お茶やコーヒーなどのカフェインは、夜飲むと体内時計が遅れ、より夜型になることがわかっています。朝 、飲むのであれば、体内時計にほとんど影響がありません。
午前中に運動する場合は、朝食のあとに行うとよいでしょう」

●1日3食のバランスは4:3:3
「体内時計のリセットには、朝食にボリュームをおくのがベスト。1日3食のバランスは、4:3:3が理想的です。メインの食事が夕食という人も多いかもしれませんが、夕食をたくさん食べると、体内時計がうしろにずれて、“遅寝遅起き”になってしまいます。体重コントロールの面からも、同じ量を食べるなら夕食より朝食で食べたほうが太りにくいとされています」

●夕食と朝食の間は10時間空ける
「夕食後から何も食べない時間が長いほど体内時計のリセット効果が高まります。朝食を食べてから12時間以内に夕食を終え、夕食と朝食の間は10時間程度はあけましょう 。特に、夕食後にお菓子などをつまむ“ちょこちょこ食べ”は、絶食時間を短くしてしまうのでNGです」

●ランチは好きなものを。ラーメンもOK

「午後12時頃は、食べたものを脂肪として蓄える体内時計の働きが低下するので、昼時には比較的好きなものを食べることができる時間帯です。好きなものを食べたいときはランチタイムに。ただし野菜も意識して、バランスよく昼食をとるようにしましょう」

●間食は15時か17時に
「間食は15時か17時のいずれかに、焼きいも、グラノーラといった食物繊維の多いものをとると、夕食後の血糖値の上昇をゆるやかにできます。腸内環境を整え免疫力アップに働くヨーグルトもおすすめです。カロリーはトータルで200kcal以内に抑えて。
17時の間食のあと、夕食前に運動するのもオススメです」

●夕食はなるべくゆっくり、「おかずファースト」で
「夜に血糖値が上がり過ぎると、スムーズな入眠を妨げます。早食いは血糖値を上げてしまうため、なるべくゆっくり食べましょう。食事にあまり時間をかけられない場合は、食べる順番を工夫します。よく、野菜を先に食べると血糖値を上げづらくすると言われていますが、近年は、肉、魚、卵といったたんぱく質など、主食以外のおかずを先に食べる食べ方でも、血糖値の上昇がゆるやかになると言われています。つまり、『おかずファースト』で食べるのがよいでしょう。主食に血糖値の上昇をゆるやかにする食物繊維豊富な玄米や雑穀米をとり入れるのも◎」

●体にとり込みたい栄養素は夜に。ただし、高脂肪食はNG

「自律神経の副交感神経が優位になる夜の時間帯は、栄養の吸収がよくなります。また、カルシウムは夜の時間帯に吸収が上がると言われています。ホットミルクや牛乳をたっぷり使ったクリームシチューなどを食べると、不足しがちなカルシウムを効率よくとることができます。逆に、揚げ物やラーメンなどの高脂肪食は体脂肪がつきやすくなるので、お酒を飲んだあとの〆のラーメンはNG。そして、よい眠りに就くためには、就寝の1時間前にはテレビ、スマホ、パソコンなどのスイッチをオフにしましょう」

シフトワーカーが体内時計を整えるには?

夜間に働いている人でも、起床、就寝、食事の時間が一定になるように生活すれば、体内時計が乱れることはありません。朝の光を浴びなくても、食事で体内時計をリセットできるので、「炭水化物+たんぱく質」の朝食をしっかりとりましょう。

一方、勤務時間がまちまちの場合、メインの勤務時間帯に合わせて生活のリズムを作っていきます。たとえば、昼間の勤務がメインであれば、夜間勤務の日も帰宅後に床に就いたら、昼間勤務の日と同じ時間に起きて、朝食を食べ、体内時計の起点の時間をずらさないようにします。睡眠時間が足りないときは、夜間の睡眠に影響がないとされている15時までに、2~3時間の午睡をとるのもよいでしょう。

 

体内時計を整えた生活を送ると免疫力が上がり、感染症などにもかかりづらくなるでしょう 。寝る時間が遅く、朝なかなか起きられない人は、まずは起床時間を早め、しっかりと朝食をとって体内時計のリセット時間を早めてあげると、早く起きられるようになります。まずは、簡単な朝食からでもいいので、1週間続けてみましょう。

取材・文/海老根祐子  イラスト/うつみちはる クロカワユカリ(「1日の過ごし方」内カット)

 

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