「藻類」といえばわかめや海苔などの海藻がまず思い浮かびますが、こういったおなじみの食品はいわば“大型”の藻類。地球上にはほかにも“微細藻類”と呼ばれる顕微鏡サイズの藻類がたくさんいて、スーパーフードといわれるユーグレナやスピルリナもその仲間です。そしてこの微細藻類、じつは良質な植物性たんぱく質の供給源になるそうなのです。
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藻類のたんぱく質はどれくらい?
海苔には意外とたんぱく質が多いそう。アミノ酸バランスにすぐれた植物性たんぱく源としてのスピルリナなども注目されています。藻類のたんぱく質は食品やサプリメントとしてだけでなく、医薬品、化粧品などにすでに利用されています。
でも藻類はとにかく多種多様。とくに微細藻類は、まだ見つかっていないものも含めれば20万種以上と推定されるそうです。
そのため、栄養価や健康効果の研究はまだ始まったばかりで、ユーグレナのようにサプリメントや食材として大規模に製品化されているのはほんの一部に過ぎません。そんななか、食生活や人々の意識の変化によるたんぱく質人気の高まり、環境や健康への影響が懸念される動物性たんぱく質を避ける考え方などを背景に、良質な植物性たんぱく源として微細藻類への関心が高まっているといいます。
今回、カナダの研究グループは、微細藻類に関するこれまでの研究結果を検討し、微細藻類に含まれるたんぱく質の量やアミノ酸バランス、その評価方法、環境的な影響などについて評価しました。
高品質なたんぱく質
文献の検討から確認されたのが、微細藻類の大部分は明らかにたんぱく質を多く含むということ。また、たんぱく質はアミノ酸バランスや必須アミノ酸の含有比率、消化率などの“質”が重要になりますが、クロレラ種などの一部の微細藻類は豆類よりも高品質でした。
また、同じ種でも、育て方によって含有量は変わってくるようです。微細藻類は従来、その豊富な栄養分をすべて得るために細胞のままとられていますが、消化率の低い種もあるため、細胞壁を壊す技術や、さらにはたんぱく質のみを抽出する技術を開発する必要があるといいます。
違う種を組み合わせれば、たんぱく質のアミノ酸バランスも調整できるそう。太古から貴重な栄養源として利用されてきた藻類。動物性たんぱく質に比べて環境にやさしい、持続可能なたんぱく源として、一層注目されるかもしれません。
<参考文献>
Wang Y, Tibbetts SM, McGinn PJ. Microalgae as Sources of High-Quality Protein for Human Food and Protein Supplements. Foods. 2021 Dec 4;10(12):3002. doi: 10.3390/foods10123002. PMID: 34945551; PMCID: PMC8700990.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34945551/
https://www.mdpi.com/2304-8158/10/12/3002/htm