靴下の跡がくっきり、朝起きたら顔がパンパンに、指輪が抜けない…! そんな誰もが経験したことのある「むくみ」。季節問わず現れる症状ですが、じつは夏だからこそむくみやすい原因があるのです。今回はむくみ対策に欠かせない栄養素「カリウム」とともに、夏のむくみについて考えていきます。
Contents 目次
むくみとは?
私たちの体は細胞内外、さまざまな場所で一定の水分バランスを保っています。何らかの理由でこのバランスが崩れ、細胞と細胞の間に水がたまってしまう状態をむくみといいます。むくみの原因は大きく2つ、「血行不良」と「塩分過多」です。よく見られる脚のむくみは、運動不足や長時間同じ姿勢でいることにより、下半身の血液の流れが滞ることで起こります。血管内の水分が外に出て戻れなくなってしまうのです。また味つけの濃い食事が続くと、体はナトリウム(塩分)濃度を一定に保とうとするため、体内のナトリウム濃度を薄めようとして水分をため込むようになります。
※むくみの程度や現れる部位はさまざまで、運動や食事などの生活習慣以外に、女性はホルモンバランスの変動もむくみの原因となります。1日程度で解消するむくみはその原因を取り除くと解消されますが、数日以上の長期間に及ぶ慢性的なむくみは、腎臓機能低下など、なにか病気が潜んでいる可能性も考えられます。その場合は病院で診察を受けるようにしてください。
夏のむくみの原因とは?
むくみの原因となる「血行不良」と「塩分過多」。それぞれ夏にしてしまいがちな生活習慣が関係しているかもしれません。
“夏の冷え”による血行不良
猛暑の日々、どのように過ごされていますか? 冷房のきいた室内で外出を避ける、冷たい飲みものを飲む、裸足で過ごす、湯船につからずにシャワーだけで済ます…こういった体を冷やす生活が血流を滞らせている可能性も。軽い運動やマッサージ、温かい飲みものを飲む、靴下をはく、湯船につかる、そんなちょっとした意識がむくみ予防になります。
夏の食事は塩分に注意!
私たちの1日の食塩摂取量の平均値は 10.1g。(男性10.9 g 女性9.3 g)です。日本人の食事摂取基準(2020年版)での目標量は、成人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満と設定されています。私たちはふだんの食生活で塩分をとり過ぎていることがわかりますね。
一方で夏になると熱中症対策として水分と合わせて「塩分の補給」が勧められています。スポーツドリンクや経口補水液をはじめ、“塩○○”などの塩分が添加された商品も多くみられます。もちろん大量の汗をかいた際には必要ですが、日常的生活において意識して補給するほど必要なのでしょうか。
とくにダイエット中はエネルギー(カロリー)の数値ばかりに着目してしまいます。ヘルシーな食べものはもの足りなさを補うために調味料を多く使用している可能性も。夏にはさっぱりとした冷やし麺や冷たいサラダが食べたくなりますよね。つけ汁やドレッシングの量は意識していますか?
マヨネーズやドレッシングの塩分量は、低カロリーやノンオイルのほうが2倍以上も多いことはぜひ知っておいていただきたいです。
むくみ対策には「カリウム」
むくみ対策に欠かせない栄養素といえばカリウムです。カリウムはナトリウム(塩分)を尿として体の外に排出する働きがあります。カリウムは植物性から動物性まで幅広い食品に含まれますが、とくに多く含まれるのは野菜や果物、いも、豆、肉や魚、海藻などです。…そう、あらゆる食品に含まれるため「これだけを食べればよい」という食材はありません。
一般的によく食べられると想定できる、カリウムの多い食材を一覧にしてみました。
※重量100gまたは食べやすい単位にて算出
ぶり(440mg)、鶏もも肉(390mg)は各分類の中で特別に多い食材ではありません。しかし、カリウムが多いと言われているバナナ(360mg)やスイカ(288mg)、きゅうり(200mg)などよりも1食あたりのカリウム量が多いのです。このことからも幅広い食材に含まれていることがおわかりいただけるでしょうか。
カリウムを効率よくとるためには・・・
摂取不足の回避を目的とするカリウムの目安量は成人男性2500mg/日、成人女性は2000mg/日であり、生活習慣病の発症予防を目的とする目標量は成人男性3000mg/日、成人女性は2600mg/日です。
カリウムはさまざまな食品から摂取できるため、不足の心配はなさそうです。塩分の多い食事の場合はとくに目標量を意識してみるのがよいでしょう。
ここで注目したいのが、カリウムは「煮る」「ゆでる」などの調理法によって多くが流れ出てしまうということ。
そうめんは、ゆでると約88%減少。葉物野菜もゆでることでカリウムが多く流れ出てしまうことがわかります。ほうれんそうは約29%、水菜は約23%減少しています。
葉物野菜はみそ汁やスープに加えることで、カリウムを逃さず、さらには体を温めるという点でもむくみ予防に効果が期待できますね。生のまま食べられる野菜や果物も合わせてとり入れながら、カリウム量UPを目指しましょう。
いかがでしたか? 冷やしすぎない生活、そして塩分とカリウムの食事バランスを意識して、この夏を快適に過ごしましょう。
<参考>
・日本食品標準成分表2020年版(八訂) 文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
・日本人の食事摂取基準(2020年版) 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
・令和元年国民健康・栄養調査報告 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r1-houkoku_00002.html
・女性の健康推進室 ヘルスケアラボ むくみ 厚生労働省研究班(東京大学医学部藤井班)監修
https://w-health.jp/woman_trouble/edema/
栄養価計算ソフト
・栄養価計算エクセル「楽らく栄養ちゃん 2020(八訂)」 エミッシュ
https://ticket.tsuku2.jp/eventsDetail.php?ecd=01202120060456