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脱・脂質中毒をキープするコツは? ドクターが解説、過剰な脂質をため込まない生活習慣のポイント

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脱・脂質中毒をキープするコツは? ドクターが解説、過剰な脂質をため込まない生活習慣のポイント

糖質オフの食事やスイーツ好きな女性が陥りやすい脂質中毒。前回、10日間で無理せずリセットする方法をお伝えしましたが、今回は、その脱・脂質中毒をキープしながら、脂質をため込まない生活習慣についてみていきたいと思います。岡部クリニック院長の岡部 正先生の著書『脂質中毒 脳は「脂」を欲するようにできている』からお伝えします。

監修 : 岡部 正

おかべ・ただし 岡部クリニック院長、医学博士。
慶應義塾大学医学部卒業。カナダ、カルガリー大学留学。亀田総合病院副院長を務めたのち、オーダーメイド医療を理想に、東京・銀座に岡部クリニックを設立。専門医として生活習慣病の予防と治療に長年たずさわる。日本病態栄養学会評議員、日本糖尿病学会認定専門医・指導医、日本肥満学会会員。各メディアで活躍中。

Contents 目次

うまみで満足感アップ

だし

脂質中毒になると、脳が麻痺して食べ過ぎてしまう傾向にあります。食べ過ぎが続くともとの脂質中毒に戻ってしまうかもしれません。

「脂肪を過剰にとり続けていると、脳の視床下部に炎症が起こり、満腹中枢からの信号が出にくくなります。つまり、満腹感が麻痺してしまうのです。麻痺した満腹感を回復させるには、腹八分目の適正な食事量を心がけましょう」

そして、濃い味つけやたっぷりの脂肪味を遠ざけるには、うまみのある食事もオススメです。

「長い間に身についた食生活を直すのはなかなか困難ですが、そんなときは“うまみ”が役立ちます。かつお節のだしや昆布茶を毎日飲むと、イノシン酸やグルタミン酸のうまみが、濃い味つけを好む味覚をリセットして、満腹感を回復させてくれるのです」

豪華な食事が続くときは、それがクセにならないようにしたいですね。

大豆やきのこを意識して摂取

大豆製品

脂質中毒になると危険な理由は、悪玉コレステロール値が上がり、生活習慣病など病気になるリスクがあるから。しかし、このコレステロールを下げてくれる以下のような食品も存在します。

《大豆、大豆製品》豆腐、納豆、みそ、油揚げなど
《魚介類》青魚、鮭、えび、かに、いか、たこ、牡蠣、ほたてなど
《そのほか》野菜類、海藻類、きのこ類、こんにゃくなど

「コレステロールを下げる食品のなかで、簡単にとることができるのが大豆製品です。大豆の成分であるイソフラボンはポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用があり、悪玉(LDL)コレステロールが、動脈硬化の原因となる酸化LDLコレステロールになるのを防いでくれます」

また、大豆サポニンにはコレステロールの吸収を抑え、大豆レシチンにはコレステロールが沈着するのを防ぐ働きがあります。さらに、がんの発生リスクも抑えます。食事に一品、大豆製品をつけ合わせることを習慣にするとよいでしょう。

1時間に1回だけ立ち上がろう

デスク

脂質中毒を遠ざけるためには食生活がいちばん大事ですが、運動も食生活の改善を後押しするものとなってくれます。まったく運動習慣のない人にオススメなのが、“1時間に1回だけ立ち上がる”というもの。

「日本多施設共同コホート研究によると、日中に座位 (座っている)時間が9時間以上の人は、5時間未満の人に比べて脂質異常症が男性では最大37.7%、女性では最大25・2%も増加することがわかっています」

また京都府立医科大学などの研究グループの発表では、6万人を超える日本人を約8年間観察したところ、1日の座位時間が5時間未満の人の死亡リスクを基準にすると、座っている時間が2時間長くなるごとに、死亡リスクが15%ずつ増加するとのこと。

世界20カ国を比較したオーストラリアの研究では、日本人の座位時間の平均は7時間で、サウジアラビアと並んで世界最長でした。これに拍車をかけているのがコロナ禍でした。

1時間に1回立ち上がることで、代謝低下や血流悪化を防ぐことができます。リモートワークの最中も1時間に1回は筋肉を使うよう、意識してみてください。

タバコだけは絶対禁止!

タバコ

タバコをやめても脂質中毒が治るわけではありませんが、脂質中毒の人がタバコを吸うと、動脈硬化のリスクが相当に高くなってしまいます。

「喫煙によって体内にとり込まれる有害物質は血液の壁に害を及ぼし、動脈硬化を進行させてしまいます。喫煙は動脈硬化を改善する長寿ホルモンのアディポネクチンを減らし、悪玉(LDL)コレステロールを酸化させて、超悪玉コレステロールに変えてしまいます」

喫煙者は1日の本数にかかわらず、非喫煙者よりも心筋梗塞などの心臓病で死亡する率が3倍も高くなるともいわれます。“脂質×喫煙”の組み合わせは特に注意しないといけません。

脂質を求めるのは本能に近いものがありますが、味覚をリセットし、ダイエットと同じように毎日、脂肪をため込まない生活続けることで、以前より脂肪味を欲しなくなっていきます。そして、内臓脂肪を減らし、長寿ホルモンのアディポネクチンの分泌を増やしていきましょう。

参考書籍/

『脂質中毒 脳は「脂」を欲するようにできている』(アスコム)

『脂質中毒 脳は「脂」を欲するようにできている』(アスコム)

文/庄司真紀

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