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気をつけているつもりでも、じつは脂質をとり過ぎている⁉︎ ドクターが解説、「脂質中毒」になりやすい人の特徴

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健康的な食事のPFCバランス(摂取カロリーのうち、たんぱく質・脂質・炭水化物がどれくらいの割合を占めるかを示した比率)の目安は、たんぱく質が1.5〜2割、脂質が2〜3割、糖質が5〜6割とされています。近年、この脂質を必要以上にとり過ぎている人が増加し、気づかぬうちに“脂質中毒”になっている人が多いといいます。今回は、岡部クリニック院長の岡部 正先生の著書『脂質中毒 脳は「脂」を欲するようにできている』からお伝えしていきます。

監修 : 岡部 正

おかべ・ただし 岡部クリニック院長、医学博士。
慶應義塾大学医学部卒業。カナダ、カルガリー大学留学。亀田総合病院副院長を務めたのち、オーダーメイド医療を理想に、東京・銀座に岡部クリニックを設立。専門医として生活習慣病の予防と治療に長年たずさわる。日本病態栄養学会評議員、日本糖尿病学会認定専門医・指導医、日本肥満学会会員。各メディアで活躍中。

Contents 目次

脂質依存度をチェック!

ハンバーガー

糖質オフの食事を意識するあまり、肉に偏った食事内容になっていませんか。肉を食べるということはすなわち、肉に含まれる脂質も相当食べているということになります。

「脂質の摂取が習慣になると、味覚が変化して、知らず知らずのうちに脂質を求めるようになってしまいます。そうすると、もっと脂質がほしくなり、肉などの脂っこいものや乳製品をとるようになります。このくり返しが、“脂質中毒”なのです」と岡部先生。

中毒といっても脂ばかりの極端な食生活を送っているわけではなく、「食事に気をつけているから大丈夫」という人も脂質中毒になっているケースが増えているといいます。

それでは脂質中毒になっていないか、チェックしてみましょう。

【脂質中毒チェックリスト】
1.1日2食以上揚げ物を食べている
2.和菓子よりも洋菓子が好き
3.魚料理よりも肉料理が好き
4.食後のデザートや風呂上がりのアイスクリームは欠かせない
5.夜食や間食をとる習慣がある
6.焼肉は赤身よりもカルビが好き
7.塩ラーメンよりもとんこつラーメンが好き
8.柿の種よりもポテトチップスが好き
9.お腹がいっぱいでも好きなものは別腹
10.退屈になるとなにかを食べる・食べてしまいたくなる
11.ストレスがあるとなにかを食べる・食べてしまいたくなる
12.コロナ禍でデスクワークの時間が2時間以上増えた
13.20歳のころよりも体重が5kg以上増えた

当てはまる項目がいくつあったかチェック!
・10個以上 脂質中毒確定
・6~9個 脂質中毒の可能性大
・2~5個 脂質中毒予備軍
・0~1個 脂質中毒の心配はなし

「脂肪味」の鈍化が脂質中毒への第一歩

脂肪分が多い食べ物

2018年10月、九州大学のグループが味覚に関する新たな発表をしました。6つ目の味覚、「脂肪味」が存在することが判明したのです。

「脂肪味のメカニズムはほかの味覚と同じで、脂を食べると味蕾(みらい)が脂肪を感じて脳が指令を伝えます。人は『脂はおいしい』と感じる味覚をもっていたのです。問題なのは、ほかの5つの味覚よりも、脂肪味の感じ方は個人差が大きいということです」

砂糖や塩が多過ぎる料理は誰もがおいしくないと感じますが、脂(あぶら)を感じとる脂肪味の力は微細で、多い少ないを、誰もが明確に感じとるのが難しいとのこと。脂肪味の発見が遅くなったのも、脂肪味を感じとる力が微細だったからとも考えられます。

「ただでさえ量を感じとるのが難しいのに、脂を大量に、それも毎日のように食べ続けていると、脂肪を感じる味蕾の細胞はさらに鈍くなっていきます」と岡部先生。

こんな食生活は要注意!

外食

脂をとり過ぎてしまう要因のひとつには、外食・中食があります。

「自炊の料理に比べると、外食は脂肪の摂取量が増えやすい傾向があります。また中食も同じで、炊きたて・作りたてに近いおいしさを感じさせるために、脂をどんどん加えて、味を際立て、食感をよくしています。同じ理屈で、冷凍食品やインスタント食品などにも脂が入っています」

そして、もうひとつはお菓子類。
お菓子がやめられないという自覚がある人も多いのではないでしょうか。

「お菓子がやめられないという人でも純粋な砂糖中毒というのは、かなり少ないと私は考えています。なぜなら甘味には限度があり、どれだけ甘いものが好きであっても、ジャンジャン砂糖を入れて甘くなり過ぎた食べ物は、舌が受けつけなくなります。ところが、脂肪分を生地に練り込んだり、生クリームに投入したりすると、砂糖の量が多くなくても、まろやかな甘味を感じ、とてもおいしくなります。つまり甘いものがやめられない人は単純な砂糖中毒ではなく、そこに脂質中毒の要素も混ざっている可能性が高いのです」

油・脂料理を避けていても、洋菓子を食べているうちに、いつしか脂質中毒に。そういうことはよくある話なのだそうです。

脂質は男性のほうが多いイメージですが、近年は女性の脂肪摂取率が増えています。2019年のデータでは、女性の44%で脂肪をとり過ぎていることがわかっています(男性は35%)。カロリーや糖質とともに脂質にも気を配りたいですね。

次回は脂質中毒をリセットする方法をお伝えします。

参考書籍/

『脂質中毒 脳は「脂」を欲するようにできている』(アスコム)

『脂質中毒 脳は「脂」を欲するようにできている』(アスコム)

 

文/庄司真紀

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