親が太っていると子どもも太る─。親子で体型が似てくるのは、遺伝子や生活習慣などによると考えられています。このたび海外研究により、体脂肪の量や割合の関連性が強く見られるのは、父親や息子よりも、母親と娘の間だと報告されました。母親が脂肪量の多い体組成の場合、娘も小さい頃から脂肪量が多くなるといいます。しかも4歳という早期から。
Contents 目次
240組の親子で関連性を調査
「蛙の子は蛙」「りんごは木から遠くへは落ちない」といった、似た意味のことわざが世界各国にあります。いずれも親子は似ているという事実を意味したもの。それは体型にも当てはまります。親が体重オーバーだったり、太っていたりすると、子どもも成人してから太るリスクが高くなります。
そこで今回、報告を行った英国の研究グループは、子どもが小さい頃の体組成について、母親/父親それぞれと子どもの関連性を調べてみました。体脂肪の量や割合(体組成)の関連性が、母親と父親で、あるいは娘と息子で異なる可能性を考えたのです。
研究グループは、母親の妊娠前から親子を追跡調査している英国の大規模研究から、母親/父親/子どもの合計240組のデータを解析しました。子どもは4歳、6〜7歳、8〜9歳の時点で、親は子どもが8〜9歳のときに、X線による体組成の測定を受けていました。
早いうちに決まる体組成
こうして研究で確認されたのが、母親と娘の間で脂肪量に関連性が見られ、息子とは関連しなかったことです。
母親のBMIと脂肪量が高いと、娘が6〜7歳、8〜9歳の時点で、娘のBMIや脂肪量も高いという結果でした。4歳時点でも、統計的にたしかではないものの同様の傾向が見られました。父親の体組成は、娘、息子のいずれとも、どの時点でも関連しませんでした。
今回の研究では、親子の体組成の関連性に影響する食事や運動量といった要素について、どちらの親が主に子どもの世話をしていたのか、食事を作っていたのかを考慮していないと研究グループは指摘する一方、それでも、父親よりも母親との相関性が強かったことから、子宮内の環境が脂肪組織の発達に影響する可能性があると考察しています。
興味深いのは、母娘のBMIと体脂肪の関係は、人生のかなり早い時期に決まっているようだということ。母親と娘のBMI/脂肪量の関連性は、4歳から8歳の間でほとんど変わっていないため、早期に確立される可能性があるようです。太りぎみの母親の場合、娘が同じような体組成にならないよう、早いうちから気をつける必要があると注意しています。
<参考文献>
Moon RJ, D’Angelo S, Holroyd CR, Crozier SR, Godfrey KM, Davies JH, Cooper C, Harvey NC. Parent-Offspring Associations in Body Composition: Findings From the Southampton Women’s Survey Prospective Cohort Study. J Clin Endocrinol Metab. 2023 Mar 21:dgad128. doi: 10.1210/clinem/dgad128. Epub ahead of print. PMID: 36943299.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36943299/