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ただ食べるだけではもったいない! 「野菜の栄養がしっかり摂れる」おトクな食べ方

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ヨーグルトと野菜

FYTTE読者のみなさんは、きっと普段の生活から「野菜をしっかり摂る」ことを習慣にしていると思います。でも「野菜の栄養をしっかり摂る」ことについては、どれくらい意識しているでしょうか。おいしいことはもちろんですが、せっかくなら栄養も余すことなく摂り

Contents 目次

さていきなりですが、クイズです。生でニンジンを食べたときに抗酸化作用をもつ栄養素「βカロテン」は何%体内に吸収されるでしょうか?

1 70%
2 40%
3 10%

緑黄色野菜に豊富な「カロテノイド」のひとつである「βカロテン」は、脂溶性のビタミンであることから、生野菜として摂取した場合、吸収率は10%程度であることが分かっています。つまり正解は、3番! 「え~!10%しか吸収されないの?」と驚いた人も多いと思います。実は、野菜のビタミンやミネラル、抗酸化物質などの栄養成分が細胞の中に存在するため。細胞は細胞壁で覆われ、さらに細胞同士はペクチンという糊の役割をする成分で貼り付けられています。どちらもヒトの消化酵素では分解できない食物繊維でできており、飲み込む前にこれらを壊さなければ、栄養素を効率よく吸収することはできないのです。
せっかく意識的に野菜を摂っているのに、その摂り方によって吸収率が低くなってしまうなんて、本当にもったいないですよね。βカロテン以外にもリコピン、ルテインなど、野菜にたくさんある栄養を、できれば効率よく摂りたいですね。そんなときはやはり、野菜ソムリエのみなさんの知識が参考になります。実践テクニックについてもうかがってみました。

野菜の栄養のとりかたについてのアンケート結果

こちらの調査(*1)によると、吸収率をよくする食べ方として何をやっているかを聞いたところ、一般生活者からは、「よく噛んで食べる」という回答が32%といちばん多く、実践法はあまり知らないことが分かります。一方、野菜ソムリエからは「野菜に含まれる脂溶性成分は油で調理したり、油脂が豊富なものと一緒に食べる」「食べ合わせを工夫する」と回答した人が80%以上と圧倒的に多く、知識の豊富さがうかがえます。さらに「腸内環境を整える」と回答した人も半数いて、野菜の栄養の吸収と腸内環境の関連について考えている人も多いことが分かりました。そのせいもあってか、「野菜に含まれる栄養成分の吸収率をよくするヨーグルトを野菜とともに摂取する」という回答もあり、野菜ソムリエのみなさんの野菜の摂り方がじつにバリエーションに富んでいることがよく分かりました。

*1【調査概要】
調査対象:日本野菜ソムリエ協会認定野菜ソムリエ資格者117人
全国の一般生活 者 20~60代 年代別 ・男女別 各 100人 計 1,117人
調査目的: 野菜の摂取と栄養素に対する理解調査
調査方法:インターネット調査システムによるアンケート回答
調査期間:令和 5年 8月 7日~令和 5年 8月 14日

野菜の栄養吸収をアップするトクする食べ方とは? 注目はヨーグルトとの組み合わせ

ヨーグルトにつけた野菜スティック

野菜の栄養を吸収するためには知識やコツが必要と分かったところで、具体的にどんな食べ方をすればいいのか、栄養士の佐藤秀美さんに教えていただきました。
「野菜の栄養成分を効率よく腸で吸収するためには、飲み込む前に食物繊維でできた細胞壁を壊して栄養成分を細胞の外に出す必要があります。そのためには次の3つの調理法を試してみてください。一つめは、みじん切りにしたり、すりおろして細かくすること。二つめは加熱すること、三つめは冷凍することです。いずれの方法でも細胞壁を壊すことができ、栄養成分が体内に吸収されやすくなります。さらに、ニンジンなどに含まれるカロテノイドは脂溶性のため、油脂と一緒に摂ることで、腸から吸収されやすくなります」

調理法として細かくしたり、油と一緒に炒めたり、和えたりというひと手間を加えるだけで、吸収率が上がるなんて、知っておけばおトクですね。さらに、最近注目されているのが、ヨーグルトと一緒に野菜を摂ることなのだとか。
「実は、乳酸菌がヨーグルトの発酵時に作り出す「EPS(菌体外多糖)」という成分を多く含んだヨーグルトと合わせて野菜を摂取することで、野菜由来のカロテノイドの吸収率が向上したという研究結果が出ています」(佐藤さん)

野菜だけと野菜とヨーグルトでの栄養吸収の違いのグラフ

この研究では16人の「野菜のみ」と「野菜とヨーグルト(無脂肪)を一緒にとった場合」の血中のカロテノイド濃度を測定。ニンジン由来のβカロテンは1.8倍、トマト由来のリコピンは6.5倍も吸収率が高まることが分かりました。健康を意識してヨーグルトを毎日のように摂っているという人も多いかもしれません。そのヨーグルトを野菜と一緒に摂ることで、こんなに吸収率が上がるなんて、新しい発見です。

カロテノイドを上手に摂取するためのヨーグルトレシピ

ヨーグルトと野菜を一緒に摂るというシンプルな食べ方は覚えやすいですが、ここでは食卓に一品加えたくなる、「これからの季節にぴったりの簡単スープレシピ」をご紹介します。教えてくれたのは、野菜ソムリエプロの安藤由美子さん。
「トマトは価格が安いときに買って、カットして冷凍しておくと便利です。冷凍することでトマトの細胞壁が壊れ、ヨーグルトを合わせることでカロテノイドの吸収率アップが期待できます」

冷凍トマトとヨーグルトのイタリアン風スープ

<冷凍トマトとヨーグルトのイタリアン風スープ>
●材料(2人分)
トマト…200g
ヨーグルト(無糖)…大さじ6
コンソメ顆粒…小さじ1
オリーブ油…小さじ1
塩…少々

●作り方
(1)トマトはヘタをとりのぞき、皮つきのまま一口大のざく切りにして、冷凍用保存袋に重ならないように入れ、空気を抜いて冷凍する。
(2) 耐熱用ボウルに、ヨーグルト、凍ったままの(1)、コンソメを入れ、ふんわりラップをかけ、電子レンジ(600w)で5分加熱し、塩で味を整える。
(3)器に盛り、オリーブ油を回しかける。

*チーズとごはんを入れてリゾットにアレンジしても◎

アレンジしたリゾット

せっかく意識して摂っている野菜。栄養成分の吸収率をアップさせるためのおトクな食べ方、ぜひお試しください。

監修/佐藤秀美さん
学術博士、栄養士。横浜国立大学を卒業後、9年間電機メーカーで調理機器の研究開発に従事。その後、お茶の水女子大学大学院修士・博士課程を修了。専門は食物学。複数の大学で教鞭をとるかたわら、栄養士免許を取得。著書に『野菜が決め手! 栄養の「こつ」 Q&Aでよくわかる健康生活のための野菜のとり方』(柴田書店)他多数。

文/FYTTE編集部

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