冬のドリンクやのど飴でおなじみの「はちみつ」は、かぜ・インフルエンザ対策にも有効です。今回は、その“はちみつパワー”をセルフケアに効果的にとり入れるコツについて、山田養蜂場 健康科学研究所 学術情報担当の福島 忍さんにインタビューした過去記事を再掲します。ぜひ、かぜ・インフルエンザ予防の参考にしてみてください!(初公開日 2023年2月21日)
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はちみつがスーパーフードといわれる理由は?
はちみつは、ミツバチが花蜜などに自分の体内酵素を加わえ、濃縮し糖度を高めたもの。ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)という糖が主成分で、酵素やビタミン、ミネラル、アミノ酸、ポリフェノールといったさまざまな栄養素を含むため、体を整えたり、疲れを回復させたりして免疫力を落とさないようにするのに最適なスーパーフードです。
また高い抗菌作用をもつことから、古くから傷の治療などに用いられてきた歴史があり、古代ギリシャ では医療目的で使用されていたという史実があるほど。ほかにも、現在ではこれまでの研究からさまざまな健康効果が明らかになってきています。福島さんによると、腸内環境や血圧改善の効果、運動パフォーマンス向上、ストレス関連ホルモンの増加を抑える働きもあるといいます。
ちなみに、のどのセルフケアにもとり入れられることも多いはちみつですが、研究では咳を鎮めるのに有効であることもわかっています。
1~12歳の子どもを対象にティースプーン1~2杯(2.5~5ml)のはちみつを2日間摂取してもらう実験では、鎮咳薬の服用より、はちみつのほうが咳の重症化やわずらわしさが改善したという結果に(*はちみつは1歳未満のお子さんには与えないようにご注意ください)。
大人に関しては1日に大さじ1程度のはちみつをコーヒーに混ぜて3回飲むことや、はちみつ入りミルクを寝る前に飲むことなどでも咳を鎮めるという研究があり、また、はちみつ入りミルクを朝晩飲むことで睡眠の質を改善するという報告もあります。
「はちみつは甘いので“毎日食べると太るのでは?”と心配になるかもしれませんが、血糖値を上げにくい低GI食品なので、とり入れやすいといえます。30日間大さじ1杯程度のはちみつを飲用した研究結果でも、BMI、血糖値が上がらなかったことが示されています。継続して食べることで健康効果が期待できるでしょう」(福島さん)
インフルエンザ対策には「マヌカ蜂蜜」が最適!
そして特に注目したいのが「マヌカ蜂蜜」。はちみつのなかでも、インフルエンザ予防にもっとも力を発揮することが明らかになったのです。
「レンゲやアカシアなどいろいろな種類のはちみつがありますが、なかでもニュージーランドにしか自生しない樹木“マヌカ”から採蜜するマヌカ蜂蜜には、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性をもつ“メチルグリオキサール”という強い抗菌成分が含まれていることがわかっています」
はちみつがインフルエンザウイルスをどれだけ抑制するかを確認する実験(レンゲ蜂蜜、アカシア蜂蜜、甘露蜂蜜、ソバ蜂蜜、マヌカ蜂蜜の比較)では、マヌカ蜂蜜がもっともウイルスを抑えることが示されました。また別の研究では、マヌカ蜂蜜に含まれるメチルグリオキサールの濃度が高いほどウイルスの感染を抑制することも明らかになっています。
ホットドリンクに混ぜるときは温度がポイント!
特に、体を守りたいときにマヌカ蜂蜜を選ぶ際は「MG値が400以上の数値が高いものを選ぶとよい」と福島さん。MG値とは、抗菌性(抗菌成分メチルグリオキサールの量)の指標で、この数値が大きいほどメチルグリオキサールが多く含まれます。
「MG値が低いとクセがなく食べやすいですが、健康維持・向上を期待するならメチルグリオキサールの含有量がより多いマヌカ蜂蜜を選ぶことです。とり入れるときはパンにかけたりヨーグルトに混ぜたりして、そのまま食べるのがオススメ。砂糖の代わりとして料理に使ってもよいですが、メチルグリオキサールは熱に弱いので、健康効果を期待するなら生食がいちばんです」
なかには紅茶などホットドリンクにはちみつを入れて飲む人もいるかもしれませんが、その場合は混ぜるタイミングと温度に留意しましょう。
「紅茶に含まれるカテキンとテアニンもインフルエンザの発症率を1/3に抑えるというデータがあるので、そこにマヌカ蜂蜜を加えると相乗効果が期待できそうですね。ただし、メチルグリオキサールは90℃なら1時間で4割、70℃でも8時間で3割減少してしまうため、紅茶を淹れて蒸らしたあとに混ぜるほうがメチルグリオキサールの効果が得やすいです。作り置きはせず、その都度、紅茶を淹れたときにはちみつを加えて飲むようにしましょう」と福島さんはアドバイスくださいました。
いかがでしたでしょうか。
はちみつはとり入れやすい身近な食材であるとともに、多くの研究結果からもその健康効果が証明されています。とり入れ方や選び方のコツを押さえて、はちみつパワーを存分に活かしていきましょう!
お話をうかがったのは…
山田養蜂場 健康科学研究所 学術情報担当 福島 忍さん
取材・文/番匠 郁