いまFYTTEで注目しているタイパ食(タイムパフォーマンス×食事を意味するFYTTEの造語)。1食で健康やダイエットにうれしい複数の栄養が効率よくとれるため、忙しい現代人の味方として、バリエーション豊かな商品が続々と登場しています。今回FYTTE編集部ではスペシャルゲストとして管理栄養士の古谷彰子さん、ダイエットインスタグラマーのでぶみ・ゆうさんを囲み、「タイパ食試食座談会」を開催! FYTTE編集部注目のタイパ食を試食しながら、気になる味や食感、注目の栄養素、さらには効果的に食べるコツまで語り合いました!
Contents 目次
【座談会メンバー】
■ 古谷彰子さん/管理栄養士
博士(理学)、管理栄養士。愛国学園短期大学准教授。(株)アスリートフードマイスター認定講師としても勤務する。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチする「時間栄養学」の専門家。
■ でぶみ・ゆうさん/ダイエットインスタグラマー
食べないダイエットで長年リバウンドをくり返した万年ダイエッターだったが、ようやく正しい食べ方を知ることで8㎏やせてキープ中。自身の経験をもとにダイエットで悩み苦しむ人のために情報を発信。
■ FYTTE編集部 森下
高校生、中学生、小学生の3児の母。家族間での生活スタイルが異なり、食べる時間がバラバラになりがちなため、効率のよい毎日の食事を模索中。
■ FYTTE編集部 大島
実家暮らしのため“自宅飯”を食べているものの、栄養バランスについては不安アリ。日々の食事のとり方について学びたい。
もし夜食にパンを食べるなら…? 時間栄養学的にオススメの種類はこれ!
司会:最近のタイパ食は「栄養をとらなきゃ!」と意識しなくても、いつもの食事やおやつ感覚で手軽に食べられて、栄養も補給できる商品が増えてきたという印象があります。まずはライトにとれるタイパ食として、ZENB JAPAN のZENB BREAD(ゼンブブレッド)、ミツカンのFibee(ファイビー)の商品を試食していただこうと思います。ZENB BREADからどうぞ!
ZENB BREAD(ZENB JAPAN)
2023年11月発売。主原料に黄えんどう豆を使用したグルテンフリーパン。一般的な菓子パンや食パンと比べて糖質オフ、鉄分、食物繊維、ビタミンB1がたっぷり。味は3種の雑穀・カカオ・くるみ&レーズンの3種類。https://zenb.jp/pages/bread
ゆうさん(以下敬称略):食感がふわふわ!
大島:しかも適度にしっとりしていておいしい! ふわふわのパンはリピートしたくなります。
森下:鉄分や食物繊維、ビタミンB1と栄養成分も豊富なんですね。ビタミンB1ってふだんの食事からはとりにくいのでしょうか?
古谷さん(以下敬称略):ビタミンB1は体がエネルギーをつくるための重要な栄養源なので、活動前にとりたい栄養素。ふだんの食事だと肉や魚などが挙げられますが、こちらのパンは主原料の黄えんどう豆に含まれているようですね。
ゆう:カカオ味もおいしいです。3種の雑穀パンはごま、キヌア、アマニを使っているんですね。素朴な味わいなので、具材をサンドしてもいいかも!
古谷:ちなみに、時間栄養学(※)から見てこの3種類のなかで夜食向きのパンはどれだと思いますか? じつは雑穀パンなんですよ。雑穀が多いパンは少ないパンと比較して 血糖値が上がりにくいので、夜遅く食べるときの主食に向いていると思います。その意味では3種類のなかで、雑穀がいちばんオススメです!
(※)時間栄養学:体内時計のズレをリセットして体を整えるために、<なにを、いつ、どう食べるか>といった食べる時間・タイミングに着目して栄養を考える学問。健康やダイエットに効果的な食事法にもつながる。
ゆう:なるほど~。食物繊維の量が6.5~9.7gといちばん多いのも雑穀味ですね。
森下:この前どうしても夜にお腹が空いて、冷凍していたホットケーキを食べちゃったんですが…本当はこういうパンを食べないといけなかったのかと。きっと血糖値が爆上がりしちゃいましたね。
大島:夜って小腹が空きますよね。こういうパンがオフィスで買えたらいいかも。
古谷:会社では夕方に主食としてこのパンだけを食べて、家に帰ってからおかずだけ食べるなど分食をとり入れるのもいいですね。空腹すぎるとドカ食いしてしまうので、少し間食したほうが食べすぎ防止にもつながります。また糖質も気になる要素かと思いますが、夜は嗜好性が高まって糖質の高いものを食べたくなる傾向があるんです。夜に糖質をとりすぎると朝起きられなくなってしまうので、糖質をとるなら朝! 朝は逆に体を起こすためにもしっかりと食べたほうがよいです。毎回の食事を低糖質にする必要はないので、とるタイミングを変えてみるのも方法のひとつですよ。
いつものおやつが腸活につながる!? いま話題の発酵性食物繊維に熱視線
司会:次はミツカンのFibeeです。このブランドの商品は腸活に役立つとされる「発酵性食物繊維」に着目した商品で、お菓子やドリンク、レトルト食品など手軽にとり入れられるラインナップになっています。
Fibee(ミツカン)
2024年3月中旬に発売されたばかりのミツカンの新ブランド。ワッフル(アールグレイ/ココア)、ビスキュイ、ルイボスティー、グラノーラ、完熟トマトのキーマカレー、黒米と玄米ごはんなどが登場し、おやつから食事まで幅広いラインナップが魅力。https://shop.mizkan.co.jp/pages/fibee
ゆう:食物繊維は水溶性と不溶性の2種類だと思っていたのですが、発酵性食物繊維という種類もあるんですか?
古谷: ゆうさんの言う通り、食物繊維は基本的に水に溶ける・溶けないといった性質で水溶性と不溶性の2種類に大別されることが多いです。でも、最近は腸内で発酵するもの・しないものでも分類されることもあり、腸内で発酵する食物繊維が「発酵性食物繊維」です。発酵性で見た場合、水溶性食物繊維と一部の不溶性食物繊維が当てはまるのですが、これらは腸内で善玉菌のエサになり、健康に役立つ短鎖脂肪酸に生まれ変わる栄養素ということで、最近、注目されています 。
司会:その発酵性食物繊維ですが、Fibeeの各商品の含有量は4.0~8.1gとどれも豊富に含まれています。
一同:すごい!
古谷:また、水溶性食物繊維といえば、朝食べることで腸内環境が改善したという報告があるほか、同じ水溶性食物繊維をとる際にワカメや海苔などの海藻に多く含まれるマグネシウムを一緒にとると、水溶性食物繊維単体でとる場合よりもさらに腸内環境が改善したことも明らかになっているんですよ。
一同:そうなんですね!
ゆう:ドリンクは「ふわぁっと桃香るルイボスティー」というネーミングの通り、桃の香りが華やか! 香りが甘いので味も甘いのかと思ったら、ストレートティーなんですね。
森下:ワッフルもアールグレイの香りがして食欲をそそります! 予想していたのと違ったしっとり感があるので、少し焼いて表面をカリっとさせるのもいいかもしれません。ビスキュイは、オレンジとカカオニブの組み合わせが大人の味わい。ザクザクで、イギリスのオシャレな伝統的クッキーみたい。グラノーラも噛み応えがあって、食感が楽しめます。
ゆう:ダイエットの側面から言えば、ワッフルは間食として食べてもいいですが、もしもふだん3食しっかり食べているとしたら、間食では少し量が多いなと思います。なので活動量の多い日の間食か、私なら食事に織り交ぜる方法にするかも。甘いものが食べたいときに、ワッフルとギリシャヨーグルトとか。ワッフル1個で203kcalですが、約5gのたんぱく質もとれてサイズ感も大きいので、満足感のある食事になりそうです。特に最近のダイエッターさんは糖質や脂質を抑えすぎる傾向があるので、おやつのような甘いものも適度にとっていいと思います。
古谷:もし甘いものを食事にプラスするなら、代謝が下がる夜より朝や昼のほうがオススメ。また野菜ベースで考えると、食物繊維はどの年代でも必要量をとれていないので、量はあまり気にせずにとっていただいて問題ありませんよ!
リコピン入りなら、“朝カレー”がオススメ! 夜は雑穀米をチョイス
大島:「トマトのキーマカレー」と「黒米と玄米ごはん」はレトルト食品なので、自宅にストックしておけるし、手間をかけず食べられるのがうれいいですね。
ゆう:カレーの味も辛さがちょうどよくておいしい!
古谷:トマトに含まれるリコピンは朝に吸収率がよく、このカレーは水溶性食物繊維もたっぷり入っているので、時間栄養学でいうと“朝カレー”がいいと思います。もちろん夜に食べてもいいのですが、カロリーが気になるなら、朝は白米、夜は玄米ご飯にしてみるなど工夫してもいいでしょう。ちなみに、一般的に雑穀米は寝ているときに疲労回復に役立つとされているので、食べるなら夜がオススメです。
司会:Fibeeはいつものおやつや食事の選択肢として子どもから大人まで食べやすい商品ラインナップなので、あえて“腸活のため”“健康のため”と意識していなくても、いつの間にか習慣化しやすいのも魅力のひとつかもしれませんね。
朝にたんぱく質をとるとよい理由は…? 時間栄養学を味方に効率よく摂取しよう
司会:続いての試食は「Cycle.me(サイクルミー)」です。セブン-イレブンで買えるものもあり、今回は「フルーティプロテイン」と「スープ春雨 ゆず香る鯛だし」をお試ししてみましょう。
Cycle.me(ドットミー)
“時間に合わせたおいしい栄養”を提案し、毎日の生活リズムを整えることをコンセプトにした食品ブランド。ドリンクやスナック、ゼリー、カップスープなど、“時間栄養学”を参考にしながら朝・昼・夜それぞれの時間帯にオススメの商品を展開。https://cycle.me/
古谷:この商品は時間栄養学の考え方を参考にしているのが新しいですよね。パッケージを見ると「スープ春雨 ゆず香る鯛だし」にはL-テアニンが含まれているようですね。L-テアニンは一般的に緑茶に含まれるアミノ酸の一種で、リラックス効果が期待できる成分といわれています。
ゆう:さっぱりした和風鯛だしで、味もおいしいです。コンビニのおにぎり1個だと糖質が物足りない 人もいるので、スープ春雨をプラスして満足感をアップさせるのもいいですね。
大島:そして、フルーティプロテインはほとんど果汁ドリンクを飲んでいる感覚です。プロテインドリンク感が出ていないので、飲みやすいです。
司会:フルーティプロテインはセブン-イレブンの一部の店舗で限定販売されています。味は何種類かありますが、1本235mlでじつはたんぱく質が15~20gも入っているんですよ。
大島:この味でたんぱく質が15g~20gってすごい!
森下:たんぱく質はいつとると効果的なんですか?
古谷:筋肉をつくる体の組織は朝のほうが活性化するため、朝と夜で同じ量のたんぱく質をとった場合、筋肉量の増加に影響しやすいのは朝です。また朝の糖質とたんぱく質の組み合わせは体内時計のリセットにつながるという実験結果も出ています。ただ、夜にはたんぱく質を食べないほうがいいということではなく、3食でバランスよくとりつつ、どうしてもたんぱく質の摂取量が減りがちな朝は、特にしっかりとる工夫をするとよいと思います。
ゆう:たしかに! 朝は固形物が食べにくかったり、そもそも朝ごはんを作るのが大変だったりしますもんね。フルーティプロテインみたいなものだと、通勤しながらでも手軽にたんぱく質がとれるので、いいですね!
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いかがでしたでしょうか?
前編はライトにとれるパンやおやつを中心としたタイパ食をご紹介しました! 後編はボリューム満点食事系のタイパ食についてお届けします。
撮影/鈴木謙介 取材・文/番匠郁 構成/FYTTE編集部