
春は肌のゆらぎが起きやすいシーズン。美肌のためには体の内側からのケアが欠かせません。今回は「ヘルシーオイル・プラス・コンソーシアム」主催のメディアイベントより、健康・美容分野で活躍する医師によるインタービューティメソッドを紹介。消化器内科医で美腸・美肌評論家の工藤あき先生が注目するのは、体の巡りを整え、炎症や老化を防ぐオメガ3脂肪酸。食事からの効果的な摂取法とともに、美肌を作る最新メソッドを紹介します。
Contents 目次
老化が6倍速で進む人がいる!? 原因は食生活にあり
あの人って年齢のわりに老けて見える、逆にすごく若く見える!という経験はありませんか? じつはこれ、科学的にも証明されているというのです。
「人は暦通りに1歳ずつ年を取っていくものの、体の老化スピードには人によって大きな差があることが研究で明らかになっています。ニュージーランドの調査では、1年で0.4歳しか老けない人もいれば、2.44歳も老化が進む人もいることが生物学的に証明されました。なんと約6倍もの差があるのです!」(工藤あき先生)
この老化スピードの違いの大きな要因のひとつが、普段の食生活にあります。老化の原因となるのは主に「糖化」「酸化」「炎症」の3つだそう。先生がわかりやすく解説してくださいました。
糖化:体内で糖分がたんぱく質と結びついて起こる“体の焦げ”。肌のくすみや弾力の低下、関節のこわばりなどに影響。
酸化:活性酸素によって体が“サビつく”現象。細胞を傷つけ、シミやシワ、動脈硬化などさまざまな老化の原因に。
炎症:目に見えない“体の火事”。慢性的に起こると、肌の赤みやトラブル、コラーゲン分解など、美容にも健康にも大きな影響を与えます。
「これらの老化原因を防ぐには、低GI食品を選んで血糖値の急上昇を避け、ポリフェノールなどの抗酸化物質をとること。そして特に重要なのが炎症を防ぐオメガ3脂肪酸の摂取です」(工藤先生)
美肌づくりに欠かせないオメガ3の働きとは
「美肌の本質は体の巡りを整えることにあります。血流、腸内環境、細胞の新陳代謝など、すべての巡りが整うことで、むくみの解消、顔色の改善、便秘の改善につながります。
この体の巡りを整えるのに重要な役割を果たすのがオメガ3脂肪酸です。血流をよくし、肌のすみずみまで栄養を届け、抗炎症効果によって肌荒れや吹き出物などのトラブルを防いでくれます。
オメガ3の美肌効果は科学的にも証明されています。私たちの体の細胞膜は油脂でできており、細胞の内外の物質交換を担っています。オメガ3は折れ曲がった分子構造をしているため、細胞膜にとり込まれることで細胞に柔軟性を持たせます。これにより、栄養素のとり込みや老廃物の排出がスムーズになり、赤血球もやわらかくなって毛細血管を通りやすくなるのです。
つまり、オメガ3は美肌を支える巡りの潤滑油。実際、オメガ3を1〜2週間摂取することで、肌のなめらかさが向上し、かさつきが改善されることも研究で確認されています」(工藤先生)
肌の炎症×老化を防ぐオメガ3の最新トピックス
オメガ3の美肌効果について先生からさらに気になる情報が! 最新研究によると、さらに2つの注目すべき効果が明らかになったというのです。
「ひとつ目は、加齢とともに減少する『美肌成分DEL-1』の増加です。DEL-1とは体内で作られる抗炎症たんぱく質で、炎症を鎮め、肌の修復力を保つ働きがあります。美肌キープの鍵となるこの物質は、残念ながら加齢とともに減少しますが、マウス実験ではオメガ3の摂取により有意な増加が確認されました。
2つ目は、紫外線ダメージの軽減と肌のバリア機能の強化です。マウスによる実験では、紫外線を浴びた際の肌の水分蒸発量が、オメガ3を摂取していると大幅に抑えられることが示されました。つまりオメガ3は、表皮の水分保持能力を高め、肌の保湿力や防御力を強化してくれるのです」(工藤先生)
これらの研究からも、オメガ3が単なる“油”ではなく、細胞レベルで美肌を応援してくれる栄養素であることがわかります。
オメガ3の手軽なとり方。工藤あき先生おすすめの飲む美容液レシピ
「オメガ3は主に青魚に含まれますが、たとえば厚生労働省が摂取目標としている1日2g(*)のオメガ3をとろうとすると、毎日アジ3匹も食べなければいけません。それはさすがに難しいですよね…。そこでおすすめなのが、小さじ1杯で同等量のオメガ3が摂取できるアマニ油やエゴマ油です。魚に含まれるEPAやDHAは代謝が早いのに対し、アマニ油やエゴマ油のオメガ3(ALA)は代謝がゆっくりで、体内に長く留まるメリットもあります」(工藤先生)
(*)厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
そこで、工藤先生おすすめの「飲む美容液」を紹介! それはなんと私たちにとってとても身近な「みそ汁」だというのです。先生はみそ汁にアマニ油を加えて毎日飲んでいるそう。
「みそは発酵食品でもあるため、腸内環境を整える効果が期待できます。具材を工夫すれば食物繊維もとれ、みそ汁一杯でも十分“一品おかず”にもなるのがうれしいポイント。
作り方は簡単です。お好みの具材でみそ汁を作り、食べる直前に小さじ1杯のアマニ油をかけるだけ。アマニ油は加熱に弱いため、必ず仕上げに加えるのがコツです。
ちなみに、今の季節にぴったりなのが『トマトと小松菜』の組み合わせ。トマトに含まれるリコピンは“食べる日焼け止め”と呼ばれるほどの抗酸化作用があり、小松菜にはビタミンAが豊富。どちらも油と一緒にとることで吸収率がアップします。栄養を意識しながら、季節の野菜を選んでみてはいかがでしょうか?」(工藤先生)
実際に会場では工藤先生おすすめの「トマトと小松菜のみそ汁」をいただくことができました。アマニ油がかかっているのはみそ汁に油が浮いているのでもちろんわかるのですが、無味無臭のため、みそ汁の味そのものには何の変化もありません! とても飲みやすく、これから簡単に続けられそうだと感じました。忙しい毎日にもおすすめできる、小さじ1杯のアマニ油生活、ぜひ今日から、毎日の習慣としてはじめてみませんか?
監修/工藤あき先生
消化器内科医・美腸・美肌評論家
日本内科学会認定医・日本消化器病学会専門医・
日本消化器内視鏡学会専門医
一般内科医として地域医療に携わりながら、腸活×菌活を活かしたダイエット・美肌・エイジングケア治療にも力を注いでいる。植物と美の関係をひもとく、日本でのインナーボタニカル研究の第一人者としても注目されている。その美肌から「むき卵肌ドクター」の愛称で親しまれ、メディア出演多数。美容や食生活に関する書籍も数多く執筆している。2児の母。
文/FYTTE編集部