夏野菜である「なす」には、肌を紫外線から守ってくれる成分が含まれていることをご存じでしょうか? その大半が水分であまり栄養がないと思われがちな「なす」ですが、注目したいのは、濃い紫色の皮。今回は、そんな「なす」の栄養についてご紹介します。
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体を冷やし、シミを予防する「なす」
梅雨明けが例年より早かった今年は、厳しい夏の暑さが長く続きそう。そうなると気になるのは、紫外線によるシミ・そばかすです。シミやそばかすの原因となるのは、肌の中でできるメラニン色素。美容の大敵と思われがちですが、メラニンは紫外線の害から体を守るためにつくられる大事な存在です。
ただし、過剰に紫外線を浴びすぎたり、肌の代謝が停滞したりすれば、つくられたメラニンの排出がスムーズにいかなくなり、肌の奥に停滞してシミやそばかすが増えることに。今年のように夏が長引きそうな年は、日焼け止めを塗ったり、ほてった肌を鎮静させたりして、しっかりケアをしたいですね。
薬膳の仕事をしていると、この時季「肌の美白にいい食べものはありますか?」といった質問をよく受けます。ですが、これってちょっと難しい質問。というのも、美白とはメラニン生成を抑えることなので、食べもので何とかできるわけではないからです。
それでも、薬膳的に何とかシミ予防を考えたい! ということで、私が夏の紫外線対策におすすめしている食べものが「なす」です。
夏野菜の代表格である「なす」には、体を冷やす作用があります。薬膳では、特に“血熱をとり除く食材”とされ、血液が熱せられて起こる出血症状に対してすすめます。血液が熱せられると、濃度が濃くなって流れが停滞しますが、「なす」にはこうした熱をとり除く働きがあるので、血の巡りをよくしてくれる……。そんなイメージの野菜なのです。
肌にできるシミは、中医学では血の滞りによってできる「瘀血(おけつ)」だと考えます。ナスの血熱をとる働きは瘀血予防になり、シミ予防にもひと役買ってくれるのです。
皮に含まれるポリフェノールにも注目!
栄養学的にみると、「なす」の大部分は水分で、ビタミンやミネラル類はあまり含まれません。注目したいのは「なす紺」と呼ばれる濃い紫色の皮。ナスの皮の色素成分は、ブルーベリーなどと同じアントシアニン系の色素。抗酸化物質であるポリフェノールの一種です。この成分が、老化や病気の原因となる活性酸素を抑制し、健康をサポートしてくれるのです。
活性酸素は、紫外線を浴びることによっても増加。増えすぎると皮膚をはじめ、体の細胞に悪い影響を与えます。強烈な夏の日差しを浴びるこの時季は、特に抗酸化作用のある「なす」を皮ごと食べ、紫外線の害をこまめにとり除くのがよさそうです。
そんなナスの健康効果を上手にとり入れるなら、生姜やみょうが、ねぎ、にんにく、唐辛子など、温める作用のある食材を組み合わせるのがおすすめ。血熱をとりながら、温め作用で血流促進を図れるでしょう。皮をむいて調理したときは、むいた皮を捨てずにせん切りにし、きんぴらにして食べてください。こうすれば、ナスの栄養成分を余すところなくとれます。今がおいしい「なす」で、紫外線による害から肌と体を守っていきましょう!
続いては、なすを使ったレシピをご紹介します。