肥満や病気と関わりが深い食後血糖。健康診断では空腹時血糖しかわかりませんから、食後高血糖があるかどうかは知らない人が多いはず。「空腹時血糖は正常なのに、食後高血糖になっている『隠れ食後高血糖』の人は意外にも多い」と話すのは管理栄養士の足立香代子さん。今回は足立さんの著書「最新! 太らない食べ方」から、最新の栄養学に基づいた太らない食べ方として、食後の高血糖を抑える方法についてお送りいたします。
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血糖値スパイクに注意しよう
血糖の上昇と下降のサイクルが緩やかであるほど、インスリンは適切に働くことができるのですが、食後に血糖値が急上昇すると、そのため大量のインスリンが分泌され、今度は急激に血糖が下がるという現象が起きます。
この血糖の急上昇と急下降の状態は「血糖値スパイク」と呼ばれます。
「血糖値スパイクが頻繁に繰り返されることで膵臓が疲弊し、インスリン分泌が正常に機能しなくなっていく病気が糖尿病。
また血糖値スパイクは簡単に太る原因ともなります。
さらに大量のインスリンによって急激に血糖値が下がってしまうことで、食べてもすぐに空腹感を覚えてしまい、また大量の炭水化物を欲する、そういったサイクルができあがってしまいやすくなります」
血糖値スパイクを起こさない食べ方のコツ
炭水化物や糖質の取りすぎは血糖値スパイクのもと
砂糖・粉菓子を食べた場合、胃から小腸に行き始める時間は10分程度。
すぐに小腸に運ばれて吸収され、血糖もすぐに上がってきます。
ご飯やパン麺類なども体内でブドウ糖に分解しなくてはならない分、もう少し時間がかかりますが、それでも胃の中にとどまっている時間は2〜3時間程度です。
「お腹が空くと甘いものが食べたくなる、あるいはスナック菓子を食べたくなる、食べてもすぐにお腹がすくというのはこの原理です」
炭水化物や糖質の単独での取りすぎは血糖値スパイクのもとになり「太るスパイラル」に入りやすいので要注意。
果物を食べて食後血糖を下げる
「果物はそれ自体を食べても太らないばかりか、食事のときに足して食べることで炭水化物による血糖の急上昇を緩やかにしてくれるといったすぐれた働きを持っています」
米国ハーバード公衆衛生大学院の論文では男女18万7,000人を対象に果物食べる習慣と糖尿病の罹患率を調査したところ、果物を食べる習慣のある人ほど二型糖尿病のリスクが低いことが示されたのです。
果物こそ太らない食事のために積極的に食べたいものの1つです。
まいたけの食後血糖抑制効果にも注目
食後血糖を急上昇させないためにプラスすると良い食材がまいたけです。
「きのこ類は糖質の吸収消化を緩やかにしてくれる食物繊維が豊富なことで知られていますが、加えてまいたけにはインスリンの働きを高めて血糖をコントロールする「マイタケα—グルカン」という独自成分が含まれていることが神戸薬科大学によって発見されました。
そのため、まいたけはきのこ類の中でも極めて血糖上昇を抑制してくれる効果が期待できるんです」
まいたけには糖質の代謝に欠かせないビタミンB群が豊富に含まれており、インスリンの働きに欠かせないない亜鉛もあります。
朝食のおかずにまいたけを加えることでお昼に炭水化物を食べてもまいたけ効果によって、食後血糖の上昇を抑えてくれる可能性があります。
食後血糖を抑える食生活は、空腹を感じずに健康と体型キープの鍵となります。
食事のあとにすぐにお腹が空いてしまう、炭水化物や甘いものが食べたくなるという人は注意が必要です。
【参考書籍】
足立 香代子 (著)『最新! 太らない食べ方―「食べないでやせる」は大間違い!』(廣済堂健康人新書)
文/庄司真紀