ダイエットはその人の体質や生活習慣に合っていることが大前提。さらに「欧米のエビデンスデータに基づく場合、これがそのまま100%日本人に当てはまるとは限りません。日本人と欧米人では体格も違えば、遺伝子も異なるからです」と話すのは、新宿溝口クリニックの溝口徹院長。
欧米との対比では、内臓脂肪がつきやすい遺伝子変異を持っているのは、むしろ日本人なのだそうです。
今回は、著書の『医者が教える日本人に効く食事術』(SBクリエイティブ)から、日本人がやせる食事術について3つのポイントを教えていただきます。
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脂肪を燃やしたければ 「アジ」「サバ」「イワシ」
脂肪を燃やすには、熱産生が必要です。
この熱産生にかかわっているのが脱共役たんぱく質といわれるUCPです。(熱産生は、代謝して熱を生み出すこと)
そしてこのUCPを発現させることがわかっているのがDHA(ドコサへキサエン酸) やEPA(エイコサペンタエン酸)などといった魚の油です。
DHAやEPAは、日本人が好む「青魚」に多く含まれている成分で、オメガ3系脂肪酸としてよく知られています。
ただしマグロなどの大型魚は寿命が長い分だけ、水銀などの重金属を体内に蓄積しているという問題がありますので、ダイエットを目的に、日本人が日常的に食べるなら、比較的寿命が短いアジ、サバ、イワシ、サンマ、ブリなどがオススメです。
脂肪を燃やしやすくするためにとるのが脂質というのは、意外でおもしろいですね。
やせたければ昆布(天日干し)でだしをとる
もう1つ熱産生をうながす食材に「昆布」があります。
意外に思われるかもしれませんが、熱産生をうながす成分はフコキサンチン。フコキサンチンとは、海藻などに含まれるカロテノイドの一種で、昆布をはじめわかめ、ひじきなどにも含まれます。近年ではフコキサンチンの抗肥満作用が注目され、ダイエットサプリなども出ているようです。
フコキサンチンは、DHAやEPAと同じく、熱産生をうながすUCPの発現を促進し、脂肪の燃焼もうながすことが実験で明らかになっています。そして、ダイエット以外にも糖尿病の抑制をする作用があることが明らかになりました。
ですからダイエットを目指すなら、昆布でだしをとったみそ汁などはフコキサンチンを余すことなくとれるので最高です。
ただし、昆布を選ぶときには注意が必要です。昆布を買うときは、ぜひ天日干しのものにしてください。フコキサンチンの含有量が圧倒的に違うからです。
グルテンフリーダイエットは日本人にも効く!
小麦を多くとる欧米人がグルテンフリーをするとやせるのは、じつは「グルテンフリー=低糖質」になることが理由のひとつと考えられます。
一方、日本人の場合、グルテンフリーを行ったとしても、主食である糖質の多い「お米」を食べることから、ダイエットはうまくいかないのでは?と思われていました。
ところが、日本人も同様に、小麦製品を抜く、つまりグルテンフリーダイエットだけで、やせる人が多くいることがわかりました。つまり、糖質量とは別に小麦そのものも、私たち日本人を太らせていたのではないかということがわかったのです。
たとえば小麦に含まれるグルテンが、腸粘膜を荒らしたり、腸そのものに炎症を起こすと、粘膜の目が粗くなり、LPS(炎症を起こす物質)や悪玉菌が腸内で増加します。すると、腸粘膜に炎症が生じタイトジャンクションがゆるんだ状態をつくって、太りやすい体質になる可能性があるのです。ですから私は、日本人もダイエットをするなら、小麦を2週間抜いてみることを患者さんたちに提案しています。
小麦を抜くときは徹底して抜くことが大切です。たとえばグルテンを含む食品には、しょうゆ、みそ、ビール、麦茶なども含まれます。食事を小麦製品に頼っている人ほど、かなり厳しいものにはなりますが、完全除去して初めて、体調の変化がわかります。
小麦を抜くと、ダイエット効果だけでなく「アレルギーが治った」「頭痛や肩こりが治った」「疲れやだるさが取れた」「集中力が出るようになった」という人もいます。
2週間たったら、あとは体調と相談しながら、「昼だけ抜いてみる」「週末だけ抜いてみる」など工夫しながら食生活を改善しつつ、ダイエット効果を検証してみてください。
食事を変えれば様々なメリットが出てきます。好循環を生む食事のヒントをひとつずつ見つけていきましょう。
参考書籍
溝口徹『医者が教える日本人に効く食事術』(SBクリエイティブ)
文/庄司真紀