ダイエットのために運動しなきゃと思っても、それがなかなか続かないのが悩みの種だったりしますよね。ところが、普段の生活で“立っている”だけでもやせられるって、ご存知でしたか?
「1日の消費エネルギーの中でもっとも変動しやすいのが運動。そのため、消費カロリーを増やすには運動が有効になりますが、実は特別な運動をたまにするより“ニート”を増やしたほうがダイエットに効果的なんです」(東京大学医学部客員研究員・山田恵子先生)
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ニートの低下が太る原因?
では、この“ニート”とはいったい何のことなのでしょうか?
「ニートとはNon・Exercise Activity Thermogenesis(非運動性活動熱産生)の略で、簡単にいえば、筋トレやウォーキングなどの意志のある運動ではなく、日常の生活で消費されるエネルギーのこと。昔に比べて便利な現代は、家事も機械がやってくれるのでこのニートが低下し、近年の肥満人口の増加の一因になっていると考えられています」
立ち上がるだけでもニートは増える
「ニートを増やすにはこまめに立ち上がるだけでOKです。寝ている姿勢より立つ姿勢のほうが、エネルギー消費は1割もアップ。また、やせている人は太っている人に比べ、立っている時間が1日あたり153分も長いという研究結果も報告されています。これはカロリー消費量に換算すると約350kcalになり、ご飯2膳分に相当。1週間積み重ねれば、フルマラソン1回分の消費カロリーに匹敵するので、ジムで汗を流すより、立って動く時間を増やすほうが賢い選択です」
得られるダイエット効果はほかにもたくさん!
「立ち上がるという行為は、重力に逆らうれっきとした筋トレ。立ち姿勢を保つだけで、全身に張りめぐらされた抗重力筋が鍛えられるので、体が引き締まります。また、立ち上がることで心臓の位置が上へ移動すると、心拍数を増やしたり末梢血管を収縮させたりなど、血流を担う循環機能がアップするため、冷えやむくみの改善につながります。さらに、立ち姿勢は肺を包んでいる胸郭の動きをスムーズにするため、代謝に不可欠な酸素が、体内にたっぷりゆき渡るようになります」
ふだんから運動不足を感じている人は、まずは今日から、こまめに立ち上がることだけ意識してみては。
取材・文/宝田明子