ダイエットやボディメイクについて学んでいると、しばしば登場するのが「代謝」という言葉。代謝とは何か、なんとなくわかるようなわからないような...。そんなあいまいな状態で体づくりをしている人も多いのではないでしょうか。代謝を正しく知ることは、美ボディ獲得のためにとても大切です。コンディショニング・トレーナーの桑原弘樹先生に解説をお願いしました。
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代謝は大きく分けて3つある
「“代謝”とは、ダイエットの観点から簡単にいうと、“エネルギーを消費すること”。外部からとり込んだ栄養素が体内で起こすさまざまな化学反応のことで、炭水化物やたんぱく質などの栄養素を吸収し、生きていくために必要なエネルギーを作り出して消費するという一連の仕組みです」と、桑原先生。また代謝は大別すると「基礎代謝(睡眠時代謝)」「生活活動代謝」「DIT(食事誘発生熱産生)」の3つがあります。
「“基礎代謝”は何もしないでじっとしていても行われるエネルギー消費のことです。人は睡眠時代謝といって、眠っているときでさえ代謝を行っているんですよ。
また、多くの人が一般的にイメージしている代謝が“生活活動代謝”でしょう。体を動かすことによるエネルギー消費のことで、体を動かせば動かすほど、代謝はアップするんです。“DIT(食事誘発生熱産生)”は食べることによる代謝。食事をすると当然、胃や腸などの内臓が活発に動き、エネルギーも消費されます。
また1日の消費エネルギー量に占める割合は、基礎代謝が約60%、生活活動代謝が約30%、DITが約10%といわれています」(桑原先生)
筋トレと朝食、この2つが代謝を上げる
筋肉と代謝の関係
1日に消費されるエネルギーの約60%を占めるのは基礎代謝です。ダイエットにおいては、たくさん体を動かして生活活動代謝を上げることが第一だと思われがちですが、前述の通り、意外にも運動ではエネルギーは3割しか消費されません。エネルギーを消費するには何よりも基礎代謝を上げること。つまり、体がつねに基礎代謝の高い状態にある人はボディメイクをしやすい、肥満になりにくいというわけ。では、基礎代謝を高めるにはどうしたらいいのでしょう。それには筋肉をつけることです。筋肉は体の中でも圧倒的にエネルギーを必要とします。つまり筋量の多い人は、それだけエネルギーの消費が盛んに行われているということになります。
「筋トレの目的として、すぐに体重を落としたいとか、短期的なわかりやすい成果を求めている場合が多いかもしれませんが、筋トレで筋肉をつけることが基礎代謝をアップさせる体も作ることでもあるのです。ただし、筋肉は今日鍛えて明日つくというものではないので、半年なり1年なりの時間をかけて、じっくりと基礎代謝の高い体にしていこうという心構えが大事。その長期的な目標もあれば、つらい筋トレへのモチベーションも全然変わってくるんじゃないでしょうか」(桑原先生)
朝食と代謝の関係
食べることでもエネルギーを消費しているという事実から、毎日の食事の重要性がわかります。食べなければ胃酸の分泌や小腸への吸収なども弱くなり、体の内側が活動的でなるのですから、食事を抜くダイエットはいかに効率が悪いかということ。ダイエット成功のカギは、どれだけ食べないかではなく、どれだけ上手に食べるかにあるのです。
DITの10%は主に朝食で消費されます。夕食の時間帯ぐらいになってしまうと、私たちの体は既に代謝が高い状態になっていますので、そこから食事だけでさらに代謝を上げるのは難しくなります。でも、朝起きてすぐという代謝の低いタイミングで食事をすれば、ラクに代謝を上げやすいのです。
「つまり、朝食抜きダイエットも、代謝の面からすると、とてももったいないことをしているわけですね。ちなみに、代謝への反応がいい栄養素はたんぱく質。ですから、朝はたんぱく質をしっかりとるようにしましょう」(桑原先生)
3つの代謝のうち、あなたはどれをもっと意識していけばいいのか、日々のライフスタイルを見直してみましょう。それが、やせやすい体への第一歩ですよ!
文/鈴木みずほ