一年中の対策が必要とはいえ、いまのシーズンこそ、いちばん紫外線が怖いとき。
最新かつ正しい紫外線対策法を、皮膚科医である馬渕知子先生にうかがいます。
スキンケアはもちろん、ふだんの食事で手軽に補えるお肌にいい食材もご紹介!
なんとヨーグルトにある食べものを入れるとより効果的なのだとか!
Contents 目次
皮膚科医がすすめる紫外線対策。気をつけるべき3つのポイント
対策1/自分に合った日焼け止めをきちんと選ぶ
紫外線対策の初めの1歩は、日焼け止めの基本を知って、自分の肌や用途に合うものを選ぶこと。日焼けの原因となる紫外線には、波長の異なるUVAとUVBがあります。日焼け止めにはそれぞれを防ぐ効果があって、その効果の力を表しているのが、SPFの値とPAの+表示なのだそう。
「UVAは真皮まで届いてジワジワと肌を傷め、シワやたるみの原因となります。曇り空でも夕方でも冬でも降り注いで、室内にも届いているので、常に気をつける必要があります。このUVAから肌を守って老化を防ぐ効果を表すのがPAです。PAは4段階に分類されていて、その日のスケジュールに合わせて強さの段階を選ぶとよいのではないでしょうか。
一方のUVBは、表皮にガッと強い刺激や炎症を与えて、肌が赤くなったり痛くなる原因です。SPFはUVBを防御して、肌が炎症を起こすまでの時間を延ばす力を表します。SPF10であれば、日に当たって5分で赤くなるところを50分ぐらいまで延ばせるという意味です。ですので、軽く外に出かける日や強い紫外線に当たる予定がない場合はSPF35以下で十分。1時間以上外でスポーツをするような日や日焼けしやすくてすぐ赤くなる人はSPF35以上の強めのものを使うのがおすすめです。ただし、SPFの数値が高くなるほど肌への負担が大きくなる場合もあるので、自分の肌と相談しながらSPF100を使うよりSPF50以下のものを塗り直して使ったほうがよいことも多いですよ」(馬渕先生)
また、日焼け止めには紫外線を吸収させて防ぐ吸収剤を使ったものと、紫外線を反射させて防ぐ散乱剤を使ったものがあるそう。肌へのダメージは散乱剤のほうが少ないと言われているので、購入の際は原材料もチェックして。
対策2/日焼け止めは朝塗るだけでなく、塗り直しが必須
日焼け止めの塗り方は、“きれいにまんべんなく”が基本。日差しの強い季節だからと、分厚く塗ると肌の負担になるので、ダメージが気になる目もとや頬のまわりだけ重ね塗りをしましょう。つけ足しにはスティックタイプのものが便利です。
そして、必要不可欠なのが塗り直しだそう。馬渕先生いわく「汗をかいている自覚はなくても、つねに少しずつ汗が出て肌を潤し、日焼け止めも流れ落ちています。ふだんはお昼休みと午後の休憩の1日2回、汗をいっぱいかく時期は、1、2時間ごとに塗り直しましょう。UVカット効果のあるファンデーションを使えば、お化粧直しと日焼け止めの塗り直しが同時に済んで、ちょっとラクかも」とお得(?)なアイデアも。
対策3/朝食時にはヨーグルト+ビタミンたっぷり食材で先回りのケアを
紫外線予防で大事なことはスキンケアだけでなく、じつは体の内側からの食のケア。馬渕先生はアウトドアを楽しむ日や、紫外線のきつい季節の朝食には、南国フルーツや夏野菜などビタミンたっぷりの食材とヨーグルトをとるようにしているそうです。
「食べものでスキンケアするには、肌の材料をとることが大前提です。肌は主にたんぱく質でできていて、ヨーグルトはたんぱく質を豊富に含んでいるうえに、乳酸菌の働きで一部が分解されていて消化吸収しやすいのです。また、乳酸菌によって腸内環境が整うと、いろいろな栄養成分を吸収しやすくなるので、肌の材料の補給能力もさらに向上して、きれいな肌へとつながります。それに、誰もが気軽に食べられるのが大きな魅力です」(馬渕先生)。
実際、2008年に発表された論文では、4週間ヨーグルトをとり続けた結果、肌の弾力性が改善されたと報告されています。調査に参加したのは、慢性的な便秘で肌が乾燥している20~39歳の女性28人。ドリンクタイプのヨーグルト(LB乳酸菌を使用)120mlを朝晩1本ずつ、4週間にわたって飲み続け、その前後で肌の状態を計測しました。すると、摂取後は便秘の症状が改善され、肌の弾力性や乾燥度合いも有意に改善されたのです。
「腸内環境がよくなって肌もきれいになるので、ヨーグルトは一石二鳥」という馬渕先生の言葉に、納得です。
(グラフについて)
肌の弾力性について、ヨーグルト摂取前後の比較で有意(p<0.05)な改善が認められたことを表している。
*「LB81乳酸菌を使用したヨーグルトの皮膚機能改善効果に関する検証」腸内細菌学雑誌22:1-5,2008
ヨーグルトとの組み合わせとしてこの時季特におすすめなのが、ビタミン豊富なフルーツや野菜です。とくに南国生まれのフルーツには強い抗酸化力があるのだそう。
「紫外線の強い環境で育つ植物は、自分自身を紫外線から守る成分をたくさんもっています。そういうフルーツや野菜を食べると、体の内側からの紫外線対策になります。フルーツでは、例えばマンゴーやパパイヤなど黄色やオレンジ色を目印に選ぶといいですね。野菜は濃い緑や赤の緑黄色野菜で、いずれも抗酸化作用や皮膚の新陳代謝を促すビタミンAが豊富です。紫外線を浴びる前にビタミンをしっかりとることで、体全体を紫外線から守ってくれる効果にも期待がもてますよ」
美容効果も期待できる新食感ヨーグルト
「マシュマロヨーグルト」をつくってみよう!
ここでは、肌ケアにおすすめのヨーグルトを新しい食感とともに味わいながら、美肌効果までアップする食べ方、「マシュマロヨーグルト」をご紹介します。作り方はとても簡単で、ヨーグルトにマシュマロを浸しておくだけ。マシュマロがヨーグルトの水分を吸収して、口に入れるとフワッとして、噛むとシュワシュワとした食感が広がります。甘さもほんのりして、絶妙のコンビネーション!
さらなる美肌効果の秘密は、マシュマロにあります。「マシュマロはゼラチンと砂糖で作られますが、ゼラチンの主成分はコラーゲンです。紫外線を浴びるとコラーゲンもダメージを受けるので、手軽に補給するのにマシュマロはいいですね。カロリーもそれほど高くありません。そのまま食べると大人には甘いですから、マシュマロヨーグルトはピッタリでは」と馬渕先生。
ちなみに、コラーゲンはビタミンCや鉄と相性がよいので、馬渕先生がマシュマロヨーグルトを食べるときは、干したプルーンやマンゴーを加えているそう。
マシュマロヨーグルトの作り方
【材料】(約4人分)
プレーンヨーグルト……1パック(450g)
大きめのマシュマロ……100g(12~16個)
【作り方】
ヨーグルトパックの中にマシュマロをしっかり混ぜ込み、ヨーグルトに浸るようにする。冷蔵庫で6時間~ひと晩おく。
マシュマロヨーグルトのアレンジレシピ
マシュマロヨーグルト、おもわずハマってしまう人も多いはず。そんな人にはさらに手を加えてカフェのデザート風に楽しめるふたつのアレンジレシピを紹介します。
ティラミス風はバナナを加えて食べ応えのあるデザートに。バナナには食物繊維やオリゴ糖が含まれ、腸内環境を整えます。ココアには鉄が含まれていて、体内でコラーゲンの合成を助けてくれます。
もうひとつの杏仁豆腐風は、アーモンドエッセンスの香りとマンゴーの風味でアジアンテイストに。ドライフルーツには鉄分や食物繊維が多く、馬渕先生もトッピングしているドライマンゴーでコラーゲンの生成を支えるビタミンCと、肌を丈夫にして紫外線のダメージを防ぐビタミンAも摂取できます。
ティラミス風マシュマロヨーグルト
【材料】(1人分)
基本のマシュマロヨーグルト…1人分
バナナ……1/2本
いちご・ココア……各適量
(1)バナナを薄切りにし、半量を器の底に敷いて、マシュマロヨーグルトの半量を入れる。
(2)(1)と同様に残りのバナナとマシュマロヨーグルトを重ねる。
(3)茶こしでココアを上に振りかけ、いちごを飾る
杏仁豆腐風マシュマロヨーグルト
【材料】(1人分)
基本のマシュマロヨーグルト…1人分
ドライマンゴー……1切れ
クコの実(あれば)……少量
アーモンドエッセンス……少量
【作り方】
(1)ドライマンゴーを細かく刻み、マシュマロヨーグルトを作る際に一緒につけ込んでおく。
(2)(1)にアーモンドエッセンスを加えて混ぜ、器に盛る。あればクコの実を飾る。
お肌のためにいいヨーグルトの、新しい食べ方「マシュマロヨーグルト」。ぜひシュワシュワする食感を楽しみながら、この夏のひんやりデザートとして試してみては?
撮影/田辺エリ 取材・文/宮下二葉