糖質は、取り過ぎると太る要因となりますが、体や脳にとっては大事なエネルギー源です。糖質制限をする場合の大事なポイントは、糖質を"抜く"のではなく、上手に"減らす"こと。ふだん食べている料理に、どのくらいの糖質が含まれているかを知っておくと、摂取量をコントロールするのに役立ちます。とくに多くの糖質を含む「主食」について、クイズ形式で、糖質量をチェック。その理由と対策を、管理栄養士の金丸絵里加先生に解説してもらいました。
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よく似たメニューでも、糖質量には大きな差があった!
似たような調理法や味付けの料理でも、じつは糖質量に差があることがわかります。どちらのメニューの糖質量が多いか、次の5つのメニュー対決にチャレンジ!
①牛丼 VS 豚ばら丼 (どちらも1食あたり白米ごはん250g)
②ピラフ VS チャーハン (どちらも1食あたり白米ごはん200g)
③焼きそば VS 塩焼きそば(どちらも1食あたり中華めん(ゆで)170g)
④ナポリタン VS カルボナーラ(どちらも1食あたりスパゲッティ(ゆで)250g)
⑤チーズトースト VS はちみつトースト(どちらも食パン6枚切り1枚60g)
それでは、正解を見てみましょう(糖質、脂質、カロリーの数値は、すべて1食分の素材や調味料から計算しています)。
①甘じょっぱいたれで煮込んだ牛丼のほうが、糖質高め!
牛丼 糖質110.8g (脂質21.7g 770kcal)
> 豚ばら丼 糖質98.9g (脂質31.4g 791kcal)
「どちらも醤油、酒、砂糖、みりんを使った甘じょっぱい味付けがベース。しかし、豚ばら丼が、たれにからめて焼いた肉をご飯にのせているのに対して、牛丼は、甘いたれで煮込んでいるので、染み込んだ調味料の分だけ糖質が増えてしまいがちです。また、牛丼で使う玉ねぎも、100gあたり7.2gと糖質量が比較的高い野菜になります」(金丸先生)
もちろん、豚ばら丼も、たれで煮込んだり玉ねぎを加えたりすれば、牛丼と同じくらい糖質量はアップするので、注意しましょう。“つゆだく”はNGと心得て。
ちなみに脂質やカロリーは、脂身の多い豚ばら肉を使った豚ばら丼のほうが高くなっています。
「牛丼も豚ばら丼も、ダイエット中はなるべく控えたいメニューですが、どうしても食べたいときは、ごはんの量を減らすか、焼き鶏丼に替えると、糖質や脂質、カロリーを抑えることができます」(金丸先生)
②焼き豚入りのチャーハンのほうが、糖質高め!
チャーハン 糖質76.6g (脂質19.3g 566kcal)
> ピラフ 糖質67.5g (脂質5.0g 381kcal)
「チャーハンは、焼き豚など甘めに調理した食材を使うので、糖質量が増える傾向があります。ただし、ピラフもトマトベースの味付けにすると、糖質はアップします。エビなど魚介を使ったピラフは、脂質やカロリーもチャーハンより低めですが、たっぷりのバターで炒めると脂質もカロリーもグンと高くなるので、要注意。どちらの料理も、塩やコンソメなどでシンプルな味付けにし、具だくさんにすれば相対的にごはんの量も減らせるので、糖質セーブに◎。また、肉類より海鮮系の素材を使うことで、脂質やカロリーも抑えられます」(金丸先生)
③甘いソースで絡めた焼きそばのほうが、糖質高め!
焼きそば 糖質73.1g (脂質32.1g 685kcal)
> 塩焼きそば 糖質65.6g (脂質31.8 675kcal)
「これは簡単かも。 甘めのソースで味付けした焼きそばのほうが、甘みをほとんど加えない塩焼そばより糖質が多くなります。カロリーも、調味料分だけ焼きそばのほうが高い数値に。ただし、あんかけ焼きそばにすると、あんにつかう片栗粉の糖質がプラスされてしまいます。自分で作るなら、塩やポン酢などを使ったさっぱりした味付けにするのがオススメ」(金丸先生)
ちなみに、メーカーにもよりますが、ソースは濃度が高くなるほど糖質も高くなりがち。糖質の高い順に、お好み焼きソース>濃厚ソース>中濃ソース>ウスターソースとなるので、参考にしてください。
④ケチャップ味のナポリタンのほうが、糖質高め!
ナポリタン 糖質78.3g (脂質24.3g 643kcal)
> カルボナーラ 糖質68.7g (脂質44.0g 816kcal)
「玉ねぎやケチャップなど糖質の高い食材、調味料を使うナポリタンは、糖質が高くなりがちなパスタです。一方のカルボナーラは、卵や生クリーム、チーズが主体なので、麺以外での糖質は抑えられるものの、脂質やカロリーはかなり摂り過ぎとなる傾向に。ダイエット中にパスタを食べたくなったときは、ボンゴレビアンコやきのこの和風パスタ、ほうれん草とベーコンのパスタなど、野菜や貝類などがメインの具材で、色があまりついていないメニューを選ぶと、糖質、脂質、カロリーのセーブに役立ちます」(金丸先生)
⑤糖分たっぷりのはちみつをかけたトーストのほうが、糖質高め!
はちみつトースト 糖質42.6g (脂質2.6g 217kcal)
>チーズトースト 糖質26.9g(脂質7.3g 219kcal)
「はちみつに含まれる糖質で、チーズトーストの約1.5倍の糖質量に。ジャムトーストなどでも同じような数値になります。チーズは糖質がほとんど含まれないので、糖質量はパン由来のものが中心。ハムトーストやツナマヨトーストなどでも同様の結果になります。また、チーズはカルシウムやたんぱく質などいろんな栄養がとれるので、カロリーに大きく差が出ないようなら、チーズトーストを選んだほうが、糖質セーブには役立ちます」(金丸先生)
結果はいかがでしたか?
わずかな糖質量の違いでも、毎日の食事を通して意識すれば、“ちりつも”効果で、無理のない糖質制限につながります。
調理法や食材によって数値は変化するので、あくまで目安の糖質量として参考にしてください。
参考/『目で見る食品糖質量ハンドブック』(学研プラス)
文/田所佐月 ⓒgontabunta – Fotolia.com