日本でおなじみの食材「ワカメ」。栄養価の高い、この海藻類がじつは遠く離れたスペインでも大流行中なのだとか! 魚介類をよく食べ、お米料理も定番であることから、日本とスペインは食文化も似ているとよく言われます。そんなスペインで人気のある「ワカメ」の食べ方とは? スペイン在住ライターからのリアルレポートです!
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スペインでも呼び名は同じ「ワカメ」!
スペインでも、ここ数年で、しょうゆや豆腐といった日本食材が普通のスーパーの棚で並ぶようになりました。なかでもこの1~2年で急激に目にするようになった日本食材が「ワカメ」! 藻類(そうるい)を意味するスペイン語「アルガス(algas)」をつけて、「アルガス・ワカメ(algas wakame))と呼ばれます。
ミネラルやカルシウムがたっぷり含まれていて、健康と美容によいと言われるワカメ。新陳代謝を刺激するヨウ素が豊富に含まれていることや、食物繊維の一種であるアルギン酸を含んでいることからお通じがよくなり、美容やダイエットに最適な食材として認識している人が多いです。また、カルシウムも多く含んでいるので、育ち盛りの子どもや更年期障害に悩む女性といった、特別にカルシウム摂取量を必要とする人たちの間でもポピュラーになっています。
普通のスーパーで売られているのは乾燥ワカメで、値段は50グラムで4~5ユーロ(約500~630円)。メルカドと呼ばれる市場のなかの海藻専門店では、スペイン北西のガリシア産の生ワカメや塩蔵ワカメも売られています。
酢の物、サラダ、炊き込みご飯…定番料理は日本と同じ!?
気になるのがスペインでのワカメの調理法ですが、サラダやワカメご飯が定番。サラダでは、トマトやツナ缶、ひよこ豆、茎わかめ、スプラウトなどとあえることが多いです。ひよこ豆やレンズ豆、ワカメ、野菜の煮込み料理もお手軽で人気。炒めものやスープ、パスタの具にするなど多様な形で使われていますが、フジッリ (パスタ)のなかにワカメを混ぜ込んでワカメパスタを作るなんて人もいて、上には上がいるものです!
とはいえ、スペインでは海苔が苦手な人もまだ多く、「裏巻き」が今でも寿司の代名詞として流行っていることを思うと、同じ海藻類のワカメのウケがいいのが不思議ですが、ワカメを食べるスペイン人に聞くと「栄養素が高くて調理が簡単、食べない手はない!」と口を揃えて言います。ワカメとキュウリの酢の物は中国人が経営する日本食店の定番メニューで、スペイン人にもなじみのある一品になりつつあり、それがワカメを食べることに抵抗がない理由につながっているのかもしれません。
近年では、海藻屋や自然食品店が「海藻教室」を開催しています。クラスでは、ワカメの栄養素の説明から、様々なタイプの海藻の紹介、種類別に海藻の戻し方や適切な下ごしらえの方法、合う食材の組み合わせ、保存法といった説明がなされます。
ワカメ料理クラスでよく作られるメニューは、炊き込みご飯、酢の物、サラダ、刻んだワカメに玉ねぎや茄子を合わせたコロッケなど。料理教室を開催する先生によると、スペインではワカメにトマトとオリーブオイルを組み合わせる人が多いとのこと。ちなみに、クラスでもスペイン人に一番人気のあるワカメ料理は、酢の物なんだとか。酢の物レシピが好きなスペイン人らしいです。
書店ではワカメを使ったレシピ本も目にするようになり、今後ますますスペインでワカメが浸透していきそうです。スペイン独自のワカメ料理が出てくるのも時間の問題かもしれませんね。
文・写真/ホリコミュニケーション、ボッティング大田朋子