健康のために玄米を食べたいけど自分で炊くのが面倒くさい、炊飯器で炊いたものはなんだかパサパサしていておいしくない、と上手く食生活にとり入れられていない人は意外と多いのでは。そんなみなさんの玄米への印象を変えるのが、もちもちっとしておいしいと話題の「寝かせ玄米」。何日も寝かせて作るというこの特別な玄米ごはんの炊き方や食べ方を、近著『美と健康をかなえる メリハリ寝かせ玄米生活』の著者であり、食養研究家の荻野芳隆さんに教えていただきました!
Contents 目次
炊き立ても食べていい? 「寝かせ玄米」のサイクル
「寝かせ玄米は、圧力鍋で炊いた玄米ごはんを保温ジャーで保温して熟成させる健康食です。寝かせると旨味や甘みが増し、3~4日目においしさのピークを迎えます。そう聞くと、『3~4日寝かせないと食べてはいけないの?』『その間、何を食べればいいの?』と思うかもしれませんね。そもそも、寝かせ玄米は、健康や美容に良い玄米を毎日おいしく食べ続けるためのもの。炊き立てから十分おいしいので、『1日目 玄米を炊いて初日から食べる』→『2~4日目 寝かせながら食べる』→『食べ切ったら炊く』というサイクルをおすすめします」(荻野芳隆さん)
「寝かせ玄米」の炊き方
一度に4日分炊いてしまえるから、毎日白米を炊いているよりも楽な点も「寝かせ玄米」の魅力。それでは、圧力鍋を使った炊き方を紹介します。
使用する道具
- 圧力鍋
- 保温ジャー(炊飯器の保温モードでもOK)
- ザル
- 泡立て器
材料
玄米:6合(882g)
小豆:42g
塩:5g
<1>浸水させる
玄米に水を吸わせておくと、ふっくらやわらかに炊き上がります
◎玄米と小豆を洗う
玄米と小豆を圧力鍋の内鍋に入れます。水を注ぎ、1回目はさっと混ぜてすばやく水を捨てて。再び水を注ぎ、泡立て器でがじゃがじゃと全体を混ぜて洗い、水を3~4回替えます。
◎浸水させる
玄米が浸かる量の水を入れ、1時間ほど浸水させます。その後、ザルにあげて水気をしっかりきりましょう。
◎塩と水を入れる
内鍋に玄米と小豆を移し、水920ml、塩を加えます。泡立て器でぐるりと混ぜ、塩が全体にいきわたるよう溶かして。
<2>圧力鍋で炊く
密閉状態で圧力をかけて高温で炊き、もっちり感を引き出します
◎圧力鍋をセットする
圧力鍋の本体に水600mlを入れ、玄米を入れた内鍋を中央にセットします。
◎中火にかける
圧力鍋にふたをして、オモリは重いほう(金色)をセットします。中火にかけ、圧力がかかるのを待ちます。オモリが揺れはじめるのが、30分ぐらいが理想。「シュシュシュ」と音がし、安定しオモリが揺れ出してからさらに30分炊きます。
◎蒸らす
ふたを開けずに、そのまま60分ほど蒸らします。圧力が抜けたらふたを開けて。しゃもじで十字を入れ、小豆が均一に混ざるように全体をほぐしましょう。
<3>寝かせる
炊き立てもおいしく、寝かせるとさらに旨味が増します
◎保温ジャーに入れる
炊き上がった玄米ごはんを保温ジャーに移します。炊飯器を保温モードに使っても。
◎1日に1回混ぜる
しゃもじで底から1日に1回混ぜ返します。内釜の側面にご飯がこびりつくとカピカピになりやすいので、できるだけふれないように整え、山のように盛っておきましょう。
<Point>内鍋のない圧力鍋で炊く場合
水加減は玄米1合に対し、1.3~1.4倍が目安です。圧力鍋によって炊き上がりに差があるため、水加減や加圧時間は調節してください。炊き方は、<1>までは同じ。鍋を火にかけて圧力がかかったサインが出たら、弱火にして20分加圧します。最後に20秒ほど強火にし、火を止めて。ふたをしたまま自然に圧力が抜けるまで蒸らします。
アレンジレシピで飽きずにおいしく続ける!
そのまま食べてもおいしい寝かせ玄米ですが、混ぜ込みご飯やリゾット、ドリアやカレーライスなど、その日の気分に合わせてアレンジすれば更においしく長続きの秘訣に! 今回は、きのこの混ぜ込みごはんと鶏のガパオ風ライスを紹介します。
きのこの混ぜごはん
材料(2人分)
しいたけ:10枚(100g)
まいたけ:1パック
えのきたけ:1袋
しめじ:1パック
ごま油:小さじ1
だし汁:200ml
A(しょうゆ、酒、みりん:各大さじ2
砂糖:5g
寝かせ玄米:300g
ゆでた青菜:(あれば)適量
つくりかた
- きのこは石づきを切り落とし、しいたけは薄切りに、他のきのこは食べやすくほぐす。
- 小鍋にごま油を熱して(1)を炒め、だし汁、Aを加えて煮る。煮汁が少なくなったら、砂糖を入れ、味を調える。
- ボウルに寝かせ玄米、汁けをきった(2)75gを入れて混ぜる。器に盛り、あれば青菜を飾る。※余ったきのこの具は冷凍保存できます。
鶏のガパオ風ライス
材料(2人分)
鶏もも肉:1枚
パプリカ(赤、黄):各1/4個
A(しょうゆ、酒、みりん:各50ml)
サラダ油:小さじ2
<かけタレ>
玉ねぎのみじん切り:1/4個分
バジルのみじん切り:5g
にんにくのみじん切り:1かけ分
みりん:30ml
魚醤(よしる):大さじ1
辛口糀:小さじ1 (※辛口糀は、米麹、本醸造醤油、唐辛子を合わせて発酵させた調味料です。)
寝かせ玄米:茶碗2杯分
温泉玉子:2個分
つくりかた
- 鶏肉にAをもみ込んで30分漬ける。
- パプリカは縦に細切りにする。かけタレの材料は合わせておく。
- フライパンにサラダ油小さじ1を熱して鶏肉を入れる。焼き目がついたら裏返し、ふたをして蒸し焼きにする。取り出して食べやすい大きさに切る。
- フライパンにサラダ油小さじ1を熱し、パプリカを炒める。
- 器に寝かせ玄米、(3)(4)を盛る。タレをかけて温泉玉子を添える。
<MEMO>
魚醤がない場合は、ナンプラー大さじ1で代用可。辛口糀がなければ、オイスターソース小さじ1と一味唐辛子少々で代用できます。
いかがでしたか。自分で玄米を炊いてもパサパサ、ボソボソっとした食感から、なかなか続けられなかったという人も、炊き方を変えておいしい玄米生活を始めてみてください。
文/掛川ゆり、FYTTE編集部 撮影/矢野宗利