慶應義塾大学医学部 井上浩義教授にピーナッツの健康効果と美容効果についていろいろ教えてもらいましたが、ピーナッツと聞くと「脂肪分が多くて太りそう」「食べるとニキビや吹き出物が出そう」といったイメージも…。そこで井上教授に、本当のところを教えてもらいました。
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脂肪分で太る? 太るということはありません
まず気になるのは、やっぱりカロリーのこと。ピーナッツは脂肪分が多くて太りそうな気がしますが、実際のところどうなのでしょう?
「ピーナッツを食べると太ると思っている人が多いですよね。たしかに、ふだんと同じ食事や間食にプラスしてピーナッツを食べれば、当然のことながらピーナッツのぶん太ります。でも、長い間、食べ続けることでダイエット効果があるんですよ」と井上教授。
井上教授は、実際に人に1か月~1年間ほどピーナッツを食べてもらう臨床研究も行っていて、そこからわかったことなのだそう。
「これまで通りの食事に加えてピーナッツを毎日30粒食べてもらいました。30粒というのは食物繊維が約2.5gとれるように計算した量です。人によりますが、最初の1~2か月はピーナッツのぶんだけ総カロリーが増えるので、そのぶん体重が増えました。ところが、ピーナッツを食べはじめて2~3か月ほど経つと間食が減って自然に体重が落ちていきます。
なぜかというと、ピーナッツは腹持ちがいいので、お腹がすかないから。その結果、体重も減るということなんですね。ピーナッツの食物繊維は満腹感をもたらすだけでなく、便秘を解消する働きもあるので相乗効果もあると思います」
井上教授の研究では、ピーナッツを食べはじめて3か月くらいで体重が落ちはじめ、6か月くらいで体重が落ち着くという結果になったといいます。
「その後6か月以上食べても体重は落ちませんが、維持することができていることがわかりました。ただ、誤解してもらいたくないのは、ピーナッツを食べると“やせる”というわけではないということ。“太らない”ということなんです」
ニキビができる? そういう報告は確認できません
子どものころ「ピーナッツを食べるとニキビできる」と聞かされた人も多いと思いますが、井上教授は「たくさんの論文にあたってみましたが、そういう研究報告はひとつも確認できませんでした」といいます。
「ニキビは、肌の毛穴に皮脂が詰まって空気が嫌いなアクネ菌が増殖し、毛穴の中で炎症を起こしたものです。思春期になると皮脂腺の中に脂が分泌されてアクネ菌にフタがされて、菌がどんどん増えてしまいます。これはピーナツに限らず、油や脂分を含んでいるものは、たくさん食べればニキビの原因になるということです」
「じつはピーナッツは肌の健康を助けてくれるんですよ」というから驚きです。
「ピーナッツには、肌荒れを改善するビタミンB1、美のビタミンと呼ばれるビタミンB2(0.1mg/100g)とB6、若返りのビタミンと呼ばれるビタミンE、肌にうるおいを与えるオレイン酸、肌の新陳代謝を促進するアルギニン、抗酸化作用のあるレスベラトロールなど美肌に効果のある成分がたくさん含まれていますから」
便秘もニキビや肌荒れの大敵ですが、ピーナッツの食物繊維は便秘の改善にも効果的。便秘を改善することでニキビの予防にもつながるのだそうです。
参考書籍
『ハーバード大の研究でわかった ピーナッツで長生き!』
取材・文/小高希久恵