夏バテしていたからそれほど食べてないはずなのに太る―――それはもしかしたら、冷えが関係しているかもしれません。冷えに詳しいイシハラクリニック副院長・石原新菜先生に、冷えと代謝の関係についてうかがいました。
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体温が低いとカロリーを消費にくい
ふだんから、太りやすい、やせにくいと感じることがあったら、冷えも一因かもしれません。
「体が冷えていると、体温が低いために、基礎代謝が落ちます。基礎代謝は心臓を動かしたり、肺を動かして呼吸をしたりするために必要とされる最低限のエネルギー量のこと。体温が1℃上がると、基礎代謝は約12%上がります。逆に言えば、体温が1℃下がると、基礎代謝は約12%落ちてしまいます。同じ食べ物を食べていても、体温が低い女性のほうがカロリーを消費しにくくなり、“太る体質”になってしまうというわけです」(石原先生)
例えば、30歳女性で、身長160㎝、体重50㎏の場合、基礎代謝量が1,207kcalとすると、その12%は144kcalです。体温が36.5℃と35.5℃の女性では、これだけの差が出てきます。ちなみに、白米約100gのカロリー168kcal。144kcalは軽くご飯茶碗一杯程度の白米に相当するといえるでしょう。
「また、東洋医学の考え方では、血行が悪くなると、水分のめぐりも悪くなると言われています。冷えがあると、余分な水分が体にたまり、むくみが起こることで、“水太り”を招くことも太りやすく、やせにくい一因です」(石原先生)
筋肉をつけて、やせる体質に
では、太る体質からやせる体質になるには、どうすればいいのでしょうか。
「運動して、筋肉をつけることです。体温の40%は筋肉で作られます。発熱所である筋肉をたくさんつければ、自然と基礎代謝量が上がり、食べたカロリーも消費されやすくなります」(石原先生)
水太り対策には、「余分なものを出すこと」と石原先生はアドバイスします。
「お腹を温めて血のめぐりをよくして、腸や腎臓の働きを促せば、便、尿が出やすくなります。また、一日一回、汗をかくことも大切。入浴はお湯を張った湯船につかって、汗をかきましょう」(石原先生)
食べ過ぎ防止には、あの食べ物が効く
太るのはイヤだけど、ついつい食べ過ぎてしまうという人に、石原先生が“秘策”を教えてくれました。
「お腹が空いたときに、黒砂糖をちょっとなめてみましょう。すばやく血糖値が上がって、空腹感がまぎれるので、お腹が空いたときのドカ食いを抑えられます。そもそも、満腹感は胃ではなく、脳が “血糖値の上昇”によって感じるもの。炭水化物は消化吸収まで30分間かかるため、血糖値が上がりにくく、食べているのにもの足りなくて、余計なものまでついつい食べすぎてしまいがち。黒砂糖はミネラルも豊富で、ふだんの料理や紅茶に入れても、おいしくいただけますよ」(石原先生)
また、リラックスして、副交感神経が優位のときに、食欲が出てきます。食前に運動をしたり、熱めのお風呂に入ることも、交感神経が優位になり、食欲が抑えられます。
取材・文/海老根祐子