和食にとって欠かせない「だし」は、健康づくりにも役立つ存在です。
じょうずに、そして効果的にだしを食事の中にとり入れ、糖や油に依存しない食生活にシフトしていきましょう。
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こんにちは。京都市にて、「お出汁×発酵」の料理教室を開催しております峰村咲子です。
だしには、甘いものや揚げ物と同じ依存性があることをご存じですか?
お菓子やジャンクなものは一度食べ出すとなかなかやめられず、健康管理に悪影響を及ぼしがちですが、だしを味方につければ糖や油脂を欲さない体づくりを目指すことができます。今回は、だしをどのように食事にとり入れたらよいか、お伝えいたします。
じょうずなだしのとり方は?
食材を煮たり、水に浸したりして、うま味を抽出した液体のこと。
日本の代表的なだし素材は昆布とかつお節です。
ほかにも、いりこ(煮干し)や干ししいたけからもだしをとったりします。
もっと言えば、乾燥大豆や切り干し大根からとれる精進だしや、最近では野菜のくずを煮出してとるべジブロスというのもあります。
簡単なだしのとり方は、昆布を30分以上水に浸しておいたものを、沸騰直前まで煮出したら昆布をとり出し、再度沸騰させてかつお節を入れ、3分したらこすだけです。
忙しい毎日の中でだしをとるのは大変なので、ふだんはスーパーで売られているだしパックを活用して、時間に余裕があるときにだしをしっかりとってみる、という習慣でいいと思います。
だしの香りには癒やし効果があるので、だしをとったときのキッチンの香りが気持ちを落ち着かせてくれますよ。
うま味の相乗効果がおいしさの秘密
だしで大事なのは、うま味成分です。
うま味とは、甘味・塩味など、舌で感じる味覚のひとつ。
このうま味が、砂糖や油脂と同じ依存性を持っていることが食品科学的に証明されています。
代表的なうま味成分は、下記の4つを覚えておくといいと思います。
・昆布やトマトなどの植物性食品に多く含まれるグルタミン酸
・かつお節や煮干しなど動物性食品に多く含まれるイノシン酸
・干ししいたけに含まれるグアニル酸
・貝類に含まれるコハク酸
そしてこのうま味成分が2種類以上かけ合わさると、「うま味の相乗効果」といってだしが格段においしくなります。昆布単体のだしよりも、昆布のグルタミン酸とかつお節のイノシン酸がかけ合わさっただしのほうがおいしいのは、このうま味の相乗効果のおかげというわけですね。
まずはみそ汁やめんつゆを作ってみよう
だしのとり入れ方ですが、まずはだしと食材を煮てみそも加え、みそ汁から作ってみましょう。また、だしに少量のしょうゆとみりんを加えて、めんつゆを作ってみるのもおすすめです。その手作りのめんつゆに水溶き片栗粉を加えて、あんかけにしても絶品です。
しっかりした味のだしをとることができれば、味つけの調味料は小さじ1ほどの最小限で済み、減塩効果も期待できます。
でんぷん質のある食材と一緒にとろう
だしを食事の中にどんどんとり入れるためには、うま味成分をかけ合わせるとともに、2つ意識したいことがあります。
ひとつめは、香り・風味です。
たとえば、自分もしくは過去の恋人が使っていた懐かしい香水の香りを嗅ぐと、そのときの思い出がよみがえってくることはありませんか?
厨房からだしのよい香りがするうどん屋さんがあると、思わず入りたくなりませんか?
このように、匂いは長い間記憶されており、鮮明なのですね。
だしの香りを嗅ぐと、瞬時においしいイメージが湧き、食べたくなります。
だしを活用してごはんを作る際には、ぜひ仕上がりの香りも意識してみてください。
ふたつめは、でんぷん・カロリーです。
だしに対する依存度を高めていくためには、うま味・風味とともにカロリーを合わせてとるとよいことがわかっています。つまり、お米のでんぷんとだしで煮た煮物やお浸し、もしくはじゃがいもなどのでんぷん質のある野菜のおみそ汁を食べる、というような食べ合わせをすると、一層だしがやみつきになり、不必要な甘いものや過度の揚げ物をほしいと思わなくなります。
日本古来の食卓は、まさにだしに依存するかたちに自然となっていたのですね。
<出典:だしの神秘(伏木亨著)>
いかがでしたでしょうか。
ごはんとみそ汁と煮物のシンプルなごはんこそが、食事の満足感を生み出し、お菓子や揚げ物を欲さない体づくりをすることができます。
だしは日本の大切な食文化なので、からだによい食事を作りつつ、日本の家庭料理文化を継承していきましょう。