ダイエットの大敵である、ドカ食い。過剰な食欲は栄養バランスや食事内容が偏っているからかもしれません。今回は、慈恵医大病院で食事指導を行う栄養士の濱 裕宣さんと赤石定典さんが監修した書籍『あなたが太っているのは、栄養不足のせい 慈恵医大病院栄養士の正しくヤセる食べ方』(マガジンハウス)から、食欲をコントロールする方法についてお伝えしていきます。
Contents 目次
丼ものを避けて、正しい食欲を身につける
ダイエットを阻む原因になっているのが、いつもの食習慣。
そのひとつが丼ものの頻度です。
「ラーメン、そば、うどんなどの麺類、かつ丼、親子丼、中華丼などのごはんものは、器1つで1食が完結するため、作るのもあと片づけも簡単。しかし、丼ものだけの食事では食べるのが早くなって、次々に口へ運ぶことになり、どうしても食べ過ぎてしまいます。
また、炭水化物が多いため糖質中心になり、野菜などの食物繊維やビタミンB群、植物性たんぱく質などが不足気味に…。
これでは糖質を燃焼しきれず、脂肪になって蓄えるばかりでやせられません」(濱さん)。
やせたいなら、丼ものの食事は頻度を減らし、単品ではなく、副菜をつけて複数品食べるようにしましょう。そうすることで過剰な食欲を抑えることができます。
「食事の基本中の基本ですが、ベストは一汁三菜。つまり、ごはんと汁物に、肉、魚、卵などの主菜が1つ、副菜が2つ。
このスタイルで食事をとっていれば、必要な栄養素はとれて、脂肪は燃焼しや すくなり、やせる体づくりの基礎ができ上がります」(濱さん)。
ストレスの原因も栄養素不足!?
ストレスや気持ちのアップダウンも過剰な食欲を引き起こすことがありますが、栄養不足がそもそもストレスの原因になることがあります。
「ストレスに強い体をつくるにはパントテン酸も重要な栄養素です。体はストレスが起きると抗ストレスホルモンを分泌し、ストレスに対処するように働きます。このとき、副腎の働きを強くし、ホルモンの分泌を促進するのがパントテン酸です」(濱さん)。
パントテン酸はビタミンB群のひとつで、レバー、納豆、モロヘイヤに含まれています。 さらに精神安定に必要なのは、マグネシウムとカルシウム。
「マグネシウムとカルシウムは、抗ストレスミネラルと呼ばれます。マグネシウムはストレスがたまると消費され、カルシウムはイライラを鎮める働きがあります」(濱さん)。
マグネシウムを多く含むのは、あさり、いわし、玄米など。
カルシウムは牛乳、ヨーグルト、干しえびなどに多く含まれています。
食前のウォーキングと食後のスクワット
激しい運動は食欲を増加させますが、軽い運動は食欲をコントロールし、血糖値の上昇を抑えてくれます。
栄養素を考えたやせるための食事に、軽い運動をプラスすれば、より効果はアップします。
「食前・食後の軽い運動は、食欲をコントロールするだけでなく、血糖値の上昇を抑えます。食べる前の空腹時、体内では活動を抑制させる副交感神経が優位にいます。活動を活発にさせる交感神経が高まると食欲が低下し、空腹を感じにくくなることがわかっています。このことから、食前の軽い運動をオススメします。ウォーキングならじんわり汗をかく10分ほどで構いません。食前のウォーキングは脂肪を燃焼し、食欲を抑えて過食を防いでくれるのです」(濱さん)。
食前にウォーキングし、さらに食後には筋トレが効果的。血糖値対策にもなります。
「糖質をとった食事をすれば血糖値は上がりますが、食後すぐに筋トレすると、血糖値の上昇を抑えることがわかっています。筋トレのなかでもオススメはスクワット。全身の筋肉量の約70%がお尻、太もも、ふくらはぎといった下半身に集中していますが、スクワットはこの下半身の筋肉を一気に鍛えることができる万能筋トレです」(濱さん)。
筋肉がつけば基礎代謝量もアップし、消費エネルギーが高くなって、さらにヤセやすくなります。
リバウンドの原因になる過剰な食欲。原因がわかれば適した対策が見つかります。食べ方、ストレス、食前の運動で食欲をコントールしていきましょう。
文/庄司真紀
参考書籍
濱 裕宣 (監修), 赤石定典 (監修)『あなたが太っているのは、栄養不足のせい 慈恵医大病院栄養士の正しくヤセる食べ方』(マガジンハウス)
【プロフィール】
濱 裕宣(写真右)
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部課長。『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』(出版文化社)など、多数の健康レシピ本に関わる。給食栄養管理と臨床栄養管理をバランスよく機能させ、患者の立場に立った食生活の向上指導にあたる。
赤石定典(写真左)
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部係長。『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』(出版文化社)など、レシピ本のプロジェクトリーダーとして、栄養食事指導によって、病態改善・治療・治癒への貢献を目指す。