動物性の食品をいっさい口にしないヴィーガン。肉や魚ばかりではなく、乳製品なども食べることはありません。野菜や果物を食べることは健康によいとされるので、ヴィーガンの生活も健康によいイメージもあるかもしれません。ところが、英国の研究グループによると、ヴィーガンの生活は脳によくない可能性があるようです。日本でも野菜中心の生活だという人は気をつけるとよいかもしれません。
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不足する可能性のある栄養素「コリン」とは?
ヴィーガンは広がりを見せています。その背景には、健康志向に加えて、環境問題への関心も。ところが、英国で、このヴィーガンの食生活を続けるときに、「コリン」と呼ばれる栄養素の不足が問題になりそうだと報告されました。
コリンは欧米で脳を作るために欠かせないとして注目を集めている栄養素。豊富に含むのは、牛肉、卵、乳製品、魚、鶏肉などの動物性食品で、植物性食品であるナッツや豆などにも含まれているものの、ずっと少ない量にとどまります。体内でも作られますが、必要量を作ることができません。
つまり野菜や果物中心の食生活を送っているとコリン不足になる可能性があるというのです。
妊娠中の女性や子どもにも欠かせない
問題視されるのは、植物性食品しか食べないヴィーガンだと、コリンの不足が起こる可能性は高くなるということ。欧米では妊娠中の女性や子どもは適切な量のコリンを摂取することが推奨され、コリンの摂取の重要性が認識されるようになっています。
具体的に、欧米では女性は1日当たり425mg。男性では550mgを摂取することが推奨されています。また、子どもの成長に欠かせないため、妊娠中の女性は450mg、授乳中の女性は550mgと高めの推奨量が設定されています。
これまでの研究によると、こうした推奨量はただでさえ満たされていないとわかっています。こうした状況を受けて、英国ではコリンの摂取を推奨すべきだと動き出す可能性もあるようです。ヴィーガンでは不足が決定的になる可能性もあり、植物性食品ばかりを食べている場合は、こうした栄養素の不足に注意する必要もあるといいます。
コリンが大切な栄養素であるのは日本も同じ。摂取不足にならないよう、日ごろの食生活に気をつけるとよいでしょう。
<参考文献>
Suggested move to plant-based diets risks worsening brain health nutrient deficiency
https://www.bmj.com/company/newsroom/suggested-move-to-plant-based-diets-risks-worsening-brain-health-nutrient-deficiency/
Could we be overlooking a potential choline crisis in the United Kingdom?
https://nutrition.bmj.com/content/early/2019/07/16/bmjnph-2019-000037