皆さんの体調は、じつは毎日の食事と大きく密接に関係しています。食べたものが病気や不調をつくり出すことがあるそうです。これは何が要因なのか…。そこで、今回は食材のひとつである小麦・大麦・ライ麦などに含まれる「グルテン」について一般社団法人グルテンフリーライフ協会のフォーブス弥生さんに教えていただきました。
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食べたものが病気や不調をつくり出す!?「グルテン」の怖さ
先月から、日本全国の会場でラグビー・ワールドカップ日本大会が開催中ということもあり、各国のユニフォームを着た訪日外国人を街中で見かけるようになりました。日本政府観光局(JNTO)によると、2019年8月の訪日外国人数(推計値)は約252万人です。
近年ライフスタイルの変化により、食に対する意識の多様化・グローバル化が進んできています。ベジタリアンやヴィーガン、ハラル、コーシャなどの食の規律に対応した食事や食物アレルギーや生活習慣病、免疫疾患など、健康上の理由から多様化する「食」への配慮なども求められています。
恐らく、多くの皆さんは「自分は健康だし、食物アレルギーとは関係ないから…」と思っている人が多いと思います。なぜなら、私自身も自分は関係ないと思っていたひとりでした。しかし、食の仕事に携わるようになってから、多くの情報を集めるにつれて、次第に考えが変わってきました。
皆さんの体調は、じつは毎日の食事と大きく密接に関係しています。
毎日の食事とは、「健康な体と心をつくるため」にあるのです。ところが、食べたものが病気や不調をつくり出すことがあります。
そこで、今回は食材のひとつである小麦・大麦・ライ麦などに含まれる「グルテン」についてお話ししていきます。
これらの麦類には「グルテン」というたんぱく質の混合物が含まれます。小麦粉は水をこねるとネバネバし、粘着性と弾性が出ます。パンやピザ生地、麺類、焼き菓子がつくれるのは、その性質のおかげです。グルテンによって、小麦はさまざまな食品に生まれ変わります。しかし、その小麦が今、健康を壊し、さまざまな疾患をつくりだす要因として考えられています。
グルテンの中に「グリアジン」というたんぱく質が含まれています。グリアジンには、食欲を増進させたり、血糖値(血液中のブドウ糖の値)を急上昇させたりする作用があります。脳の中の食欲をつかさどる中枢を刺激して食欲を増進させるとともに、麻薬のように依存性の高い成分でもあります。皆さんも「なんとなく食べたくなって、つい食べてしまう」「食べ出したら止まらない」と日常的に感じているならば、依存症が高まっている証拠かもしれません。
グルテンが怖いのは、依存症だけではありません。
体内に入り込むと、体の各所で炎症を起こす性質を持っているため、体の不調を引き起こします。また、グルテンの摂取によって現れる症状は人によって異なります。どこで炎症が生じるかには、個人差があるからです。
日ごろ感じている不調が、毎日の食事からきていることもあります。
私たちは今、食事を見直すときにきているかもしれません。食べものは、人によって体に合うもの合わないもの、消化しやすいもの、しにくいものが違います。また、毎日の体調によっても変わります。みんなが食べているから大丈夫ではなくて、体を壊して、食べられなくなってからでは遅いのです。
食事が変われば、心身は変わります。「こうしなければならない」という決まりはありません。ご自身が楽しく続けていける食生活をどうぞ見つけていってください。