スポーツやフィットネスで運動時のリチャージにゼリー飲料が人気ですが、特に持久力が求められるアスリートの間では「炭水化物(糖質)ジェル」が注目されています。これは血糖値を維持して成果アップにつながるため。しかしこのたび、じゃがいものピューレでも同レベルの効果があるという報告がありました。フィットネス前にいもを食べるとよいのかもしれません。
Contents 目次
持久力の維持に効果的なのは?
エクササイズの前には、エネルギー源の補給が大事。持久力を必要とする運動をするときには、濃縮された形で炭水化物をとると、効率よく炭水化物が利用され、運動の成果も上がることが研究からもわかっています。そうした食品としては、市販品の「炭水化物ジェル」は人気。でも、こうした食品は甘味が強くて、味も単調。米国イリノイ大学などの研究グループは、これに替わる栄養価が高くて消化吸収もよい食品として、じゃがいもに注目しました。
そこで研究グループは、長年にわたって運動に取り組んできたアスリート12人を対象として、運動中に摂取するものを変えて、運動成果がどう変わるのかを調べました。水のみとる人のほか、市販の炭水化物ジェルをとる人、同等の炭水化物を含むじゃがいものピューレをとる人を比べたのです。それぞれ2時間、自転車をこいでもらうタイムトライアルを行ってもらい、運動中の血糖値のほか、深部体温、胃腸の状態、乳酸(運動の激しさの指標)などを測定しました。
水だけより運動の成果がアップ
わかったのは、運動中に炭水化物ジェルやじゃがいものピューレをとった場合は、水だけの場合より運動の成果が同じくらい高くなるということです。とった量は1時間当たり炭水化物およそ60gという推奨量。血糖値と心拍数が同じくらい上がり、タイムトライアルも同じように速くなっていました。
じゃがいもの場合は炭水化物ジェルや水だけの場合に比べて、腹部の膨満感と痛みが強めに出ましたが、炭水化物ジェルもじゃがいものピューレも、大半のアスリートが十分に許容できたと研究グループは説明します。エクササイズの前に食べる選択肢に、じゃがいもを選ぶのもよいのかもしれません。
<参考文献>
Potato as effective as carbohydrate gels for boosting athletic performance, study finds
https://news.illinois.edu/view/6367/803645
J Appl Physiol (1985). 2019 Oct 17. doi: 10.1152/japplphysiol.00567.2019. [Epub ahead of print] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31622159