ヘルシーな不飽和脂肪酸、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富なナッツ。美容と健康によいと注目されていますが、カロリーが高いことが心配です。でもこのたび、ナッツを多く食べるようにすると、加齢による体重増加を防ぎ、太りにくくなるという報告がありました。ナッツのメリットとして知っておきたい研究結果です。
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15万人近くのデータを分析
ナッツはこのところ健康への効果が高いことからますます注目されています。米国でもこの20年でナッツの消費量が増加。このほど、ハーバード大学などの研究グループは、大規模な追跡調査のデータ(男性2万7000人以上、女性12万人近く)を使って、ダイエット効果についても調べました。20年以上にわたる追跡調査では、4年ごとの体重とナッツ消費量の変化(ピーナッツとピーナッツバターを含む)に加えて、ウォーキングやスポーツなどの運動量についてのデータをとりました。
ここからわかったのは、やはりダイエットに効果があるということです。1986~2010年の間に、研究の対象となった人々では、全体として毎年平均0.32 kgの体重増加が確認されました。この間、ナッツの消費量は男性で1日当たり0.25サービング(1サービング=28 g)から0.5サービング弱に、女性では0.15サービングから0.31サービングに増加。全体として、ナッツの消費量が増えるほど、長期的な体重増加が少なくなり、肥満(BMI 30以上)のリスクも下がるという関連性が見られたのです。
たとえば、追跡期間を通して毎日0.5(2分の1)サービング以上のナッツを食べていた人は、まったく食べなかった人に比べて、体重が増えるリスクと肥満のリスクがどちらも23%低くなっていました。
ナッツをたくさん食べるほど体重が増えにくい
さらに、4年間ごとに区切って見てみると、1人の人を見ても、ナッツの消費量を1日に0.5サービング増やしていくと、体重が増えるリスクを減らせることが明らかに。たとえば、ナッツをまったく食べなかった状態から0.5サービング以上に増やした人は、まったく食べなかったままの人に比べて、4年間で0.74 kgの体重増加を防ぐことができており、肥満のリスクも16%下がりました。
肥満については、最終的に2万1000人余りが肥満になりましたが、ナッツの消費量が1日に0.5サービング増えるごとに、肥満になるリスクが3%低くなりました(クルミの場合は15%の低下。ピーナッツではこの関連性は見られず)。
また、ハムなどの加工肉、精製穀物、チョコレートやドーナツなどのデザート類を同量のナッツで置き換えても、体重増加が少なくなりました(0.5サービングの置き換えで、4年間に0.41〜0.7 kgの体重増加を阻止)。このような関連性はナッツの種類を問わず見られ、またライフスタイルや運動量とは無関係。ただし、ピーナッツバターを増やしても、ナッツを食べない人の体重増加や肥満には効果はありませんでした。
今回分析したのは追跡調査のデータであるため、ナッツ以外の原因があるかもしれず、因果関係を証明するわけではありません。ですが、研究グループは、ナッツには食物繊維が豊富で、満腹感が長続きすることがダイエットにつながる可能性を指摘。さらに、腸で食物繊維が脂肪と結びついて脂肪の排出量を増やすほか、豊富な不飽和脂肪酸が安静時のエネルギー消費量を高めて体重増加を防ぐ効果があるなどの可能性を挙げています。
研究グループも指摘していますが、ビスケットやポテトチップスの替わりにナッツを食べるのはダイエット効果を考えると有効といえるかもしれません。
<参考文献>
Boosting daily nut consumption linked to less weight gain and lower obesity risk
https://www.bmj.com/company/newsroom/boosting-daily-nut-consumption-linked-to-less-weight-gain-and-lower-obesity-risk/
Changes in nut consumption influence long-term weight change in US men and women
https://nutrition.bmj.com/content/early/2019/08/27/bmjnph-2019-000034