ダイエットや健康のために牛乳やヨーグルトを食べるなら、低脂肪のものを選ぶのが好ましいように思われます。このたび低脂肪(脂肪分1%)や無脂肪の牛乳を飲んでいる人は、全乳を飲んでいる人に比べて体の老化が遅くなるという報告が。なんと脂肪分が2%と1%というわずかな差でもその影響には違いが出るそうなのです。
Contents 目次
牛乳の脂肪分は低いほうがいい?
飲用される乳製品のうち牛乳と名前がつくものには、牛乳や低脂肪牛乳、無脂肪牛乳など、さまざまなものがあります。日本の基準では、低脂肪牛乳は乳脂肪分が0.5%~1.5%のもの。無脂肪牛乳は0.5%未満ものをいいます。こうした脂肪分が少ない牛乳をできるだけ選んでいる人は少なくないかもしれません。
今回、米国ブリガム・ヤング大学が牛乳に含まれる脂肪分に着目して、老化との関係について分析しました。注目したのは、人の遺伝子をつかさどるDNAに存在する「テロメア」と呼ばれる部分の情報です。DNAは細胞分裂のたびにコピーされ、遺伝情報を分裂した細胞に伝えていますが、テロメアはDNAの末端部分にあって、細胞分裂のたびに短くなることが知られています。そのため、テロメアが短いのは細胞の老化が進んでいる証拠と考えられているのです。
研究グループは、米国のデータからテロメアの情報がわかっている5834人を対象に、体の老化の指標としてテロメアの長さと、牛乳の種類(全乳、脂肪分2%、1%、無脂肪)との関連性を調べました。全乳を飲む人はおよそ3分の1、脂肪分2%が30%。1%が10%、無脂肪が17%、飲まない人がおよそ13%でした。半数近くの人が毎日牛乳を飲み、およそ4分の1が週に1回以上飲んでいました。
脂肪分が1%でも老化に違い
体重や運動量、食事などさまざまな要素を加味して分析した結果、わかったのは、脂肪分が多い牛乳を飲んでいる人ほどテロメアが短い、つまり細胞の老化が進んでいるということ。脂肪分が1%増えるごとにテロメアがDNAの塩基対69個分短くなり、分析によると、これはおよそ4.5年分の老化に相当すると考えられました。しかも全乳を飲んでいた人では、無脂肪乳を飲んでいた人と比べて、なんと塩基対145個分も短い結果でした。
ただ、意外なことに牛乳を飲んでいなかった人も、低脂肪乳を飲んでいた人よりテロメアが短いとわかりました。牛乳のメリットとデメリットについては議論が絶えませんが、研究グループは、脂肪分1%や無脂肪の牛乳をすすめている「米国人のための食生活指針(Dietary Guidelines for Americans)」を裏づける結果だと指摘しています。牛乳を飲むときにどの種類を選ぶか、ヒントにするとよいかもしれません。
<参考文献>
全国飲用牛乳公正取引協議会
http://www.jmftc.org/milk/
Drinking 1% milk instead of 2% milk accounts for 4.5 years of less aging in adults
https://news.byu.edu/intellect/drinking-1-milk-instead-of-2-milk-accounts-for-4-5-years-of-less-aging-in-adults
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31772698
Oxid Med Cell Longev. 2019 Oct 28;2019:1574021. doi: 10.1155/2019/1574021. eCollection 2019.
https://new.hindawi.com/journals/omcl/2019/1574021/