「太る」「健康によくない」などと、油が悪者扱いされていたのはもう昔の話。じつはきちんと選んだ良質な油を適度にとり入れると、体にうれしい効果がたくさんあるのです。とくに最近では、美容や健康のためにおすすめしたいオイルが続々と登場! そこで、いま注目の最新オイルを編集部が5つ厳選して、管理栄養士・豊田愛魅先生の解説付きでご紹介します。
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注目オイル1:MCTオイル
「中鎖脂肪酸100%のMCTオイルは、一般の食用油に比べて脂肪酸の分子が短いので、体内ですばやく消化吸収されてエネルギーとなって、体脂肪がつきにくいんです。しかも、体の脂質をエネルギーとして使う“着火剤”のような役割も期待できます」と、管理栄養士の豊田愛魅先生。ほかにも、生活習慣病の予防や運動能力を高める効果などがあるといわれ、美容や健康、スポーツの分野からも注目度は高まるばかり。
「煙が出やすいので加熱調理はNGですが、酸化しにくいのもいいですね」(豊田先生)
1日の摂取量の目安/小さじ1~大さじ1
※最初は小さじ1杯程度がおすすめです
「MCTオイルは味やにおいがほとんどないので、どんな料理、飲みものに加えてもOK。
健康のために習慣としてとり入れるなら、毎日自分が食べたり飲んだりしているものにプラスするのがおすすめです。朝のコーヒーや野菜ジュースに入れたり、納豆にかける人も多いですね」と、日清オイリオグループ(株) コーポレートコミュニケーション部の清原知子さん。
ご自身は、オレンジなどのフルーツを切ってMCTオイルをからめ、いつも冷蔵庫にキープしているとか。
「果汁ごとヨーグルトと合わせて、MCTオイルを残さず食べています。とくにスポーツのあとならビタミンC、たんぱく質、MCTオイルをまとめてとれるので効率的。フルーツだけ食べてもいいし、ムリなく手軽に続けられます」
さらに、『日清MCTオイル』の魅力は、信頼できる品質だそう。
「原料調達に始まりボトルに詰める過程まで、日清オイリオの徹底した品質管理のもとで作っています。このように作られているMCTオイルだから、安心してお使いいただけます」(清原さん)
注目オイル2:えごま油
えごまはシソに似た葉をもつ植物で、その種を搾って作られるのがえごま油。オメガ3脂肪酸のひとつであるαリノレン酸を多く含みます。
「αリノレン酸は、体内に入ると同じオメガ3脂肪酸のDHAやEPAに変換されて、血管をしなやかに、そして丈夫にします。血液がサラサラになって血流もよくなり、生活習慣病の予防のほか、アレルギーを抑制する効果があるので、魚を食べる機会が少ない人におすすめです」(豊田先生)
ただし、酸化しやすいので加熱調理はNG。使い切りやすい小さめサイズや、酸化を防ぐ工夫をしたボトル入りを選ぶと安心です。
1日の摂取量の目安/小さじ1
今回編集部がピックアップしたえごま油の商品は「トップバリュ えごま油 酸化を防ぐ二重構造ボトル」(イオン)。
「えごま油は、空気にふれて酸化すると風味が落ちてしまいます。酸化を防ぐ工夫をこらした容器が、この商品の大きな特徴です」と、イオンリテール広報部の関本彩佳さん。
えごま油はボトルの内側の袋に入っていて、注いだ際に袋に空気が入らないように防ぐ弁と、代わりにボトルと袋の間に空気を吸い込む弁がついています。
「この仕組みでえごま油が容器内で空気にふれることなく、品質をキープできます」(関本さん)
えごま油はほぼ無味無臭なため、料理の味をジャマしません。なににでも合わせて手軽に毎日とることができますが、関本さんのおすすめは卵かけごはんにプラスすること。
「味は変わりませんが、コクのようなものを感じつつ、よりサラサラと食べていただけるはず。また、自家製ドレッシングの油として使って、アレンジにレモン汁やわさび、マスタード、にんにくなどを加えたり、トマトやタマネギをみじん切りにして混ぜてもおいしいです」
注目オイル3:アーモンドオイル
香りづけにもいいアーモンドオイルは、ビタミンEが豊富。
「強い抗酸化作用があるので体の中から酸化を防ぎ、生活習慣病やアレルギーを予防するほか、シミを抑制したり、細胞のアンチエイジング効果もあり、女性ならぜひ日常でとり入れたいオイルです」(豊田先生)
加えて、LDL(悪玉)コレステロールを下げたり、血流をよくする働きも。アーモンドオイルは酸化しにくいうえに、赤ちゃんの肌にも使えるほど刺激が少ないといわれているそう。豊田先生は「食用のオイルをパッチテストしたうえで、肌ケアに使ってもいいですね」とアドバイス。
1日の摂取量の目安/大さじ1
そんなアーモンドオイルのなかから、編集部がピックアップした商品は「プレミアムセレクトオイル アーモンドオイル」(太田油脂)。
アーモンドを直火焙煎してから、物理的な圧力のみで搾る「圧搾製法」でていねいに搾ったマルタのアーモンドオイルは、アーモンド本来の甘み、豊かな香ばしさを感じられます。「『プレミアムセレクトオイル アーモンドオイル』は、デザート感覚で使えるオイル。コーヒーやバニラアイス、グラノーラ、パンケーキなどにかけると、アーモンドの香ばしい風味が加わって、ちょっと贅沢な気分を味わえます」と、太田油脂 マーケティンググループの原田響子さん。
加熱調理にも使えて、洋風はもちろん和の素材とも相性がよく、料理にも合わせやすいとか。いろいろと試してアーモンドオイルの意外性のある使い方を見つけるのも楽しそう。まだまだ冷えるこの季節、原田さんのおすすめは温かい甘酒にプラスすること。
「“飲む点滴”ともいわれる甘酒に加えれば、よりいっそう健康と美容にうれしいドリンクに! 寒い朝に飲んで体を温めています」(原田さん)
注目オイル4:ギー
ギーはもともとインド発祥で、アーユルヴェーダで使われ、体のための最高のオイルと呼ばれていたもの。
「発酵無塩バターを鍋に入れ、ゆっくり時間をかけて煮詰める過程で、水やたんぱく質がとり除かれて、純粋なオイルができあがるのです。乳成分も残らず、化学的な成分はほぼ無し。アレルギー反応が心配な人でも気にせず使えるので、いまは世界中に普及しています」
バターなのに常温保存できて酸化しにくく、煙の出る温度が高く調理に使いやすいのも特徴。商品選びに迷ったら、オーガニックやグラスフェッドといった、素材にこだわったものを選びましょう。
1日の摂取量の目安/大さじ1
今回、編集部が選んだギーの商品は、「グラスフェッド・ギー GHEE EASY」(フラット・クラフト)。
グラスフェッドとは、天然の牧草飼育のこと。GHEE EASYはオランダで自然放牧している牛の乳から作ったバター100%を原料とするギーです。
「加熱調理に向いていて、バター味なので子どもから大人までおいしくめし上がれます」と、フットクラフト ディレクターの北川めぐみさん。
炒めものやスープ、ポトフなどの仕上げに少し加えるだけでコクが出るほか、和食の肉じゃがや中華のチャーハンに使っても相性よし。
「社内では、たらこと糸こんにゃくのギー炒め、しいたけとねぎのギーしょうゆ炒めが人気です。私は、グラスフェッド・ギーとMCTオイルを加えたバターコーヒーを朝食代わりに飲んでいます。腹持ちがよく仕事にも集中できて、食べ過ぎた翌日でもこれを飲めば快調に過ごせます」(北川さん)
じつはインドの本場でカレーに使われているのはバターではなくギーで、バターチキンカレーをギーで作ると本格的な味になるのだとか! ぜひ試してみて。
注目オイル5:フレーバーオリーブオイル
レモン、ガーリック、ハーブなどさまざまな風味を加えたオリーブオイルは、選ぶのも使うのも楽しいもの。健康や美容の面でのメリットは、ベースであるオリーブオイルと同じです。また、合わせたスパイスや野菜などの栄養素も一緒にとれるのもうれしいポイントです。
「主成分のオレイン酸は、血液中のコレステロールを減らしたり、腸を刺激してお通じをよくしたり、また、満腹中枢に働きかけるので腹持ちがよく、食べ過ぎを防いでくれる効果があります。それに、オイルに含まれている色素成分のクロロフィルによるデトックス作用も期待できます」
せっかくなので、加えるフレーバーは人工香料ではなく、一緒に炊き合わせて抽出したり、素材のうま味や栄養をいっしょに搾ったものを選んで。
1日の摂取量の目安/大さじ1
今回編集部がチョイスしたフレーバーオイルはこちら! 「香りオリーブオイル ねぎ」(井上誠耕園)
製造元の井上誠耕園は、オリーブの島、香川県小豆島で親子三代にわたってオリーブを育てる農園。畑の近くにある工場で、オリーブの品質を生かした商品をていねいに作っています。そのひとつであるこちらの商品について、
「ねぎをエキストラヴァージンオリーブオイルでじっくり炊き込み、ねぎの香りをオリーブオイルに溶け込ませて作りました。添加物は一切使っておらず、ねぎの豊かな香りとうま味が味わえます」と井上誠耕園 広報課の斉藤仁美さん。いちばんおすすめの使い方は、卵かけご飯にプラスすること。ねぎの香ばしさが加わって、一気にチャーハンのような味わいに。おにぎりや豆腐、汁ものに少し加えるだけでも、味のバリエーションが広がります。
「洋食だけでなく、中華や和食にも合うのです。隠し味にしょうがが入っているのでオイルなのに重たくならず、食欲がないときでもねぎの香りでご飯が進みます。香川県名物のうどんのおつゆにもオススメです!」(斉藤さん)
編集部がピックアップした5つの注目オイルをご紹介しましたが、どのオイルがいちばん気になりましたか? 用途や目的に合わせて、いろいろなオイルをじょうずにとり入れてみてくださいね。
文/宮下二葉