腸のなかで増える体にとってよい効果をもたらしてくれる腸内細菌。健康的な食事をとることは、栄養をきちんととれるばかりではなく、こうした腸内細菌のバランスを整えるうえでも重要と見なされるようになってきました。このたび野菜から食物繊維やたんぱく質をとり入れることが、この腸内細菌のバランスをよくしてくれることが報告されました。腸内細菌のことも考えながら、日々の食生活を考えるとよいかもしれません。
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腸にとってよい食事とは?
腸内細菌を増やすことで、体にとってよい効果がもたらされるというのはもう常識かもしれません。体によい腸内細菌を体にとり入れられる食品はプロバイオティクス。また、腸内細菌にとっての栄養になるような食品はプレバイオティクスといわれます。そうしたなかで、食物繊維が分解された短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、ブチル酸)が腸内細菌を増やすために有効だと考えられるようになっています。
このたび米国の研究グループは腸内細菌をより一層バランスよく増やすためにはどんな食品を食べるとよいのかを検証しました。対象としたのは、163人の男女。食物繊維に加えて、たんぱく質の多い食事、炭水化物の多い食事、不飽和脂肪の多い食事のいずれかを6週間にわたって続けてもらい、血液中の短鎖脂肪酸の濃度を比較。健康や食欲との関係についても調べたのです。
たんぱく質との組み合わせが理想的
わかったのは、食物繊維とたんぱく質のバランスによって、腸内細菌のバランスを一層整えることができるということ。いずれのグループでも短鎖脂肪酸が増え、その増え方はグループによって違いが見られました。特に効果的なのはたんぱく質と一緒に食物繊維をとることだったのです。
食物繊維の少ない食品をとると病気につながりやすいのはどうしてか。ここで重要となるのが短鎖脂肪酸です。腸内細菌によってつくられ、食物繊維を多く摂取すると短鎖脂肪酸が血液中に増えるのです。短鎖脂肪酸のなかでも特に酢酸を増やしたのは、食物繊維に加えてたんぱく質の豊富な食事をとったときでした。酢酸は食物繊維と炭水化物や不飽和脂肪を一緒にとったときにも増えた一方で、プロピオン酸は炭水化物や不飽和脂肪をとった場合では減っていました。ブチル酸はたんぱく質を一緒にとったときだけ増加。酢酸などが増えることで、ホルモンの状態なども変化していることが血液検査で確認されました。
美容や健康のための食事を考えるときに、食物繊維をとるのはもちろん、一緒にたんぱく質の豊富な食品を加えるようにすると、お腹の健康、ひいては、全身の健康にも効果があるといえそうです。
<参考文献>
Study shows a high-fiber diet rich in plant protein is best for gut microbiota-derived fatty acids
https://nutrition.org/study-shows-a-high-fiber-diet-rich-in-plant-protein-is-best-for-gut-microbiota-derived-fatty-acids/