新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として世界各地でロックダウンや外出自粛が行われ、ジムに行けないのはもちろん、日常的な運動不足も懸念されます。しかしこうした生活のなかでも、少し汗ばむくらいの運動を続けると、免疫機能を高められるとの報告が。ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)や衛生管理などをして行うとよさそうです。
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激しい運動は逆にマイナス?
運動が免疫系に与える影響については過去40年にわたって研究され、中程度の強度(少し汗ばむくらい)の運動を短時間(45分以内)で定期的に行うと、免疫機能を高めるのに有効と考えられています。しかし、アスリートのように激しい運動を続けると、逆に免疫機能が抑えられて、感染症にかかりやすくなるという研究結果や意見もあるそう。
そこで今回、英国や米国などの国際研究グループは、運動すること自体に感染症にかかるリスクを上げる可能性があるのかどうか、また激しい運動をするアスリートはふつうの人より感染症にかかりやすいのかどうかについて、過去のさまざまな研究を検証し、考察しました。
やらないよりは少しでもやるほうがよさそう
検証の結果、見えてきたのは、激しい運動が直接ウイルス感染のリスクを高めたという証拠はあまりないということ。アスリートの場合でも、感染症のリスクを高めるのは運動そのものではなく、不十分な食事や睡眠、ストレス、旅による移動疲れ、それにマラソンのような人が集まるイベントでウイルスにさらされるせいでした。
研究グループは、現在のように自宅待機のような状態であっても、運動によってウイルスに感染するリスクが上がることはなく、他者との接触を避けてひとりで行う限り、定期的な運動は免疫系の働きをよくすると結論づけています。
そしてすすめているのが、ウォーキング、ランニング、サイクリングなど「中程度の強度の有酸素運動を定期的に週150分行うこと」。もっと長い時間、あるいは激しい運動でも構いませんが、それぞれのコンディションに合わせて「やらないよりは少しでもやるほうがいい」そう。ただ、運動後はしっかり手洗いを行うなど衛生面によく気をつけるほか、十分な睡眠と栄養価の高い食事をとるよう注意を促しています。
<参考文献>
Regular exercise benefits immunity – even in isolation
https://www.bath.ac.uk/announcements/regular-exercise-benefits-immunity-even-in-isolation/
Simpson RJ, Campbell JP, Gleeson M, et al. Can exercise affect immune function to increase susceptibility to infection?. Exerc Immunol Rev. 2020;26:8–22.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32139352/