柔軟性を高め、関節の可動域を維持して、筋肉や関節を痛めるリスクを下げてくれるストレッチ。そのやり方にはコツがあります。スポーツ医学や運動科学の促進活動を行っている世界的に有名な組織、米国スポーツ医学会(ACSM)も過去のさまざまな研究を検討した結果に基づいて、ストレッチ運動(柔軟体操)の継続時間や回数、頻度などについて、推奨事項を表明。参考にするとよさそうです。
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ひとつのストレッチを合計60秒
外出自粛中でもできるだけ体を動かして柔軟性を維持しようと、自宅でストレッチを続けていた人も多いはず。体をやわらかく保つのは健康に大切です。関節の柔軟性は年齢とともに低下しますが、いくつになっても改善でき、柔軟性が高まれば、体の安定性やバランスもよくなるとして、ACSMが率いる専門家委員会は次のような基準を挙げています。
まずは、ストレッチの頻度について「健康な成人は、主な筋肉と腱のグループすべて(首、肩、胸、胴体、腰、臀部、脚、くるぶし)の柔軟体操を少なくとも週に2〜3回行うようにします。毎日ならさらに効果的」とのこと。習慣化するのが大切といえそうです。
そして、どれくらいの時間をかけて伸ばすとよいのかについては「ひとつのストレッチ運動を合計60秒行うと、最適な結果が得られます。回数と長さは個人に合わせて、たとえば15秒維持できるなら、4回、20秒なら3回くり返す」とよいそう。短すぎるのは好ましくはないですが、あまりに長い時間をかけるわけではありません。
筋肉が温まってから
さらにストレッチを行う前に体を温めることも大事。
「ストレッチ運動をするタイミングはほかのタイプのエクササイズや温湿布などで筋肉が温まったあとに行うと効果的ですが、筋肉・腱グループの場所によって効果が異なります」
ほかの運動をするときには、運動後にストレッチをするなど工夫をするとよさそうです。「特に筋肉の強さと力を必要とするスポーツの前にストレッチ運動を行うと、逆効果になってしまう場合もありますが、科学的な証拠が少ないため、ほかの運動との関係についてはさらに研究する必要があります。それでも、体を鍛えるために運動する人にとっては、心肺持久力運動やレジスタンスエクササイズなどのあとに、またはストレッチ運動だけを単体で行うのがよさそうです」とアドバイス。
こうしたポイントを抑えて、ストレッチを続けたいですね!
<参考文献>
Acute effects of muscle stretching on physical performance, range of motion, and injury incidence in healthy active individuals: a systematic review
https://www.nrcresearchpress.com/doi/full/10.1139/apnm-2015-0235#.XpWm18gzaUk
The ideal stretching routine
https://www.health.harvard.edu/staying-healthy/the-ideal-stretching-routine
Garber CE, Blissmer B, Deschenes MR, et al. American College of Sports Medicine position stand. Quantity and quality of exercise for developing and maintaining cardiorespiratory, musculoskeletal, and neuromotor fitness in apparently healthy adults: guidance for prescribing exercise. Med Sci Sports Exerc. 2011;43(7):1334‐1359. doi:10.1249/MSS.0b013e318213fefb
https://journals.lww.com/acsm-msse/Fulltext/2011/07000/Quantity_and_Quality_of_Exercise_for_Developing.26.aspx
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21694556/
Getting the most from your Stretching Routine
https://csep.ca/news.asp?a=view&id=140&pageToView=9