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ナイキの勢いが止まらない。東京マラソンの設楽悠太選手、スゴかったですね。フルマラソン2回目の出場で日本新記録をうち立ててしまいました。
設楽選手のシューズはランナーの間で話題のナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%。ランナーのパフォーマンスを4パーセントアップさせるという、厚みのあるソールが特長のシューズです。
昨年12月の福岡国際マラソンで3位入賞と大活躍した大迫傑選手もこのシューズでしたし、お正月の箱根駅伝でも強豪校の多くの選手がこのシューズでいい結果を出しました。
ズーム ヴェイパーフライ4%は価格が25,920円と高価であったり(先日、59,400円とさらに高価なズーム ヴェイパーフライ エリートがリリースされ驚きました)、そもそも供給される数が少なく手に入りづらかったりということで、なかなか簡単に体験するはできません。
このシューズのスゴいところは「速いランナーほど薄いソールのシューズを履く」というこれまでの常識を、一足の存在で完全に覆してしまったことにあります。こうした革新性は、さすがはナイキだな、と思います。
近頃のナイキの信じられないくらいの勢いはなんなのでしょうか。
ズーム ヴェイパーフライ4%が誕生した2017年はナイキが誕生して45周年のメモリアルイヤーであったのだと思います。ナイキのスタートをいつとみるのか、創業年なのか、ナイキブランドがスタートした年なのかで違ってくるのですが、私は1972年なのだと思います。
その理由のひとつは、2016年に上梓され日本では2017年に出版されたナイキ創業者フィル・ナイトの自伝『SHOE DOG 靴にすべてを。』(この本はビジネスパーソンにもランナーにもスニーカーフリークにも超絶絶対おすすめの1冊です。まだ読んでない方はぜひ!)の中にこうしたくだりがあるからです。
「あなたは創業者ですね」
「まあ、共同創業者だけど、そうだね。みんな驚くんだ」
「それでナイキの誕生は1972年」
「誕生? ああ、たぶんそうだ」
(フィル・ナイト著『SHOE DOG 靴にすべてを。』東洋経済新報社 2017年)
この本にはナイキの成長を支えた日本への愛や感謝、メッセージがあふれていて、記念すべき2017年に日本の私たちに届けることも考えたスケジュールで書かれたのではないか、とまで深読みしてしまいます。
そしてふと、ナイキは誕生から5年ごと10年ごとの節目に、いまも、これまでも革新的な、超ものスゴいニューエッジを打ち出してきているのではないか、という仮説を思いつきました。1972年ナイキ誕生、1982年エアフォース1誕生、1987年初代エアマックス誕生。最近では2012年に革新的なニット製アッパーを搭載したフライニットレーサーが誕生し、2017年にヴェイパーフライ4%が送り出されています。
いまのナイキのスゴさは、誕生45周年のメモリアルイヤーにピークを定め、情熱とクリエイティブ、クラフトマンシップとデザインの総力をそこに集中させたことによるものなのだと思います。アスリートが、設定したピークに最大限のパワーを爆発させるように。
ナイキのいま一番の注目シューズといえば、上の写真のモデル。先週発売となったエピック リアクト フライニットです。厚底のルックスという点ではズーム ヴェイパーフライ4%と共通点がありながら、こちらはスピードを追求するシューズではありません。「ふわ・かる・びよーん」というゆるいキャッチコピーが表している通り、走ることを、走る感覚をとにかく楽しめるシューズに仕上がっています。ニット製のアッパーは心地よく足を包み込み、軽さ、クッション性と反発性を合わせ持った新開発のソールは、走りの一歩一歩を軽やかで楽しい体験にしてくれます。
エピック リアクト フライニットのお披露目会では、ナイキの共同創業者、伝説的な陸上競技コーチのビル・バウワーマンの写真が、「アスリートの声を聴け」という言葉とともに映し出されました。このシーンも、『SHOE DOG』と、いまのナイキの原点回帰からの飛躍を思い起こさせるものでした。
(テック担当/飯島)
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