新型コロナウイルス感染症の影響で新しい生活様式が広がるなか、自宅や屋外の運動は大きな関心事です。でも、そうは知りつつもやる気がなかなか起こらず、いわゆる「コロナ太り」を心配する人もいるでしょう。海外の研究によると、運動する、しないには性格が影響する可能性があるよう。その特徴に当てはまるなら気をつけるとよいかもしれません。
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運動不足になりやすい人とは?
世界中で当たり前になった自粛生活により問題になっている運動不足。運動することは、ダイエットやフィットネスはもちろん、健康全般に大切であるだけに看過できない状況といっていいでしょう。年齢を重ねるほどに運動不足によってもたらされる筋力や骨密度の低下、心臓血管病の問題は大きくなります。特に女性は更年期症状も運動不足の要因です。活動的なライフスタイルを保つうえで重要な要素のひとつに、感情、思考、行為などを決める「性格」との関連があります。
フィンランド、ユヴァスキュラ大学の研究グループは、そんな運動の取り組みへの性格の影響を分析。運動不足になるリスクの高い人々の特徴を調べました。対象としたのは、運動不足の影響が大きく出る70~85歳の男女314人と、47~55歳の女性1098人の2つのグループです。
研究グループはこの2つの研究対象者に、「Eysenckのパーソナリティテスト(EPI)」と呼ばれる検査を受けてもらって、「外交性」と「神経症」の特徴を調査。身体活動レベルとの関連性を測っています。外交性の高い性格は饒舌(じょうぜつ)で活動的なタイプ。神経症の傾向が強い性格はネガティブ思考で自己憐憫(れんびん)に浸りやすいタイプです。身体活動レベルは、自己評価と活動量計により調べています。
どれほどやったかの自己評価に影響
ここでわかったのは、自分がどれくらい運動したかの自己評価と実際の運動量のギャップがあるときに、運動不足に陥りやすくなること。47~55歳のグループでこうした関係が確認されたのです。
具体的には、外向性が強くて、神経症の傾向が低い女性では、実際に運動していなくても、自己申告としては運動しているとポジティブにとらえていました。それに対して、神経症の傾向が強い女性では、実際には運動していても、自己評価ではさほど運動していないようにネガティブにとらえる傾向が見られたのです。
研究グループは、「自己評価による運動は歩数ばかりではなく、さまざまな活動を含むので差があるほか、神経症の傾向があると、そもそも運動に取り組む気持ちが低くなりがちで、運動を大してしないかのようにネガティブにとらえがち」と指摘しています。
<参考文献>
Kekäläinen T, Laakkonen EK, Terracciano A, et al. Accelerometer-measured and self-reported physical activity in relation to extraversion and neuroticism: a cross-sectional analysis of two studies. BMC Geriatr. 2020;20(1):264. Published 2020 Jul 29. doi:10.1186/s12877-020-01669-7
https://bmcgeriatr.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12877-020-01669-7
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32727379/
Women with higher neuroticism are less physically active
https://www.jyu.fi/en/current/archive/2020/09/women-with-higher-neuroticism-are-less-physically-active