運動をするうえで体の柔軟性がたりず、思ったように体を動かせないという経験はありませんか? 柔軟が大の苦手な女性でも体がみるみるやわらかくなる方法と股関節の柔軟性を高めるエクササイズを、日本のみならず世界で活躍するコンテンポラリーダンサーの得居幸さんより教えていただきました。
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まじめスイッチを切る
私が日々「この人は体がかたいな」と思っている人は、基本まじめな人が多いように思います。そのためか常に力が入っている状態で、ストレッチをするときにも、今ひとつ力が抜けない、抜き方がわからない状態になっていると思います。
そこでまずは心身ともにリラックスした状態を作り、力が抜けやすい状態をとるようにしてから、ストレッチなどを行うようにしましょう。
体を温める
体を温めることで緊張がほぐれて、リラックスした状態が作られます。
温かい飲みものを飲んだり、やさしく体をさすったり、ゆらゆら体をゆらしたりして自分の体がやわらかいことを感じながら、内と外からじわじわ温めるようにすると◎。
ゆったりと呼吸する
体の芯からゆっくりと息を吸い、吸った時間の倍をかけて息を吐くようにしてみてください。
吸うときは、座っている状態なら尾てい骨、立っている状態なら足の裏から吸い上げるようなイメージです。息を吐いているときは、体を掃除しているようなつもりで最後の最後まで吐き切ってみてください。これを大体3~5分ほど行います。
内臓が呼吸とともに動いている感覚を楽しむように、呼吸だけに意識を向けて行ってみてくださいね。
体がやわらかくなるストレッチ
体をしっかり温めて、ゆったりと呼吸をしてからストレッチをします。
自分の体重を利用した前屈のストレッチを行うのがよいです。座ったままでも立った状態でもどちらでも構いません。
立ったままの前屈では、ひじやひざに力を入れることなく、頭の重さを利用します。頭をお尻からゆっくり遠ざけながら下げていき、先ほどの呼吸をしてみてください。呼吸がしづらいと感じた人は、少し負荷が強いかもしれません。その場合は、少しひざを曲げてラクな姿勢をとり、呼吸と一緒にストレッチが楽しめるポイントを探ってみます。
息を吐くときには、頭、首、背中の順番でリラックスしながら、頭の位置を1cmずつでかまいませんので、ゆっくり落ちるようにしてみましょう。
これをしながら先ほどの呼吸を3~5回ほどくり返してみてください。
ひじやひざの力を抜いて、少し曲げた状態のまま体の重さを利用したストレッチを行うことで、これまでやったことのあるストレッチをすると、変に緊張することなくムリなく伸びるところが見つかります。
たとえば、体がかたい人にとっては難易度が高い「座った状態で足を伸ばして前屈をする」でもOK。前屈をするとき、床から5cmほどひざを曲げても全然大丈夫です。この場合も先ほどお話したように、頭、首、背中、腰の順番で、それぞれの重さを足すように、ゆっくり体を前に落としていき、ゆったりした呼吸をするだけで、いつの間にか自分の体がどんどん伸びていくことに気づきますよ。
関節の柔軟性をUPする! 股関節エクササイズ
もともと体に柔軟性があるorないに関わらず、加齢とともに失われていくのが関節の柔軟性。動かす機会が減った状態で放っておくとかたくなるので、自主的に運動する機会を増やすことが、関節のためでもあり、若々しくて健康な体を作る手段でもあります。関節のなかでもとくにかたさに悩む人が多い、股関節の柔軟性を高めるためのエクササイズに挑戦しましょう。
股関節エクササイズ ステップ<1>
まずは、股関節のつけ根を温めるエクササイズです。
両脚を伸ばして床に座り、両手はそけい部に置きます。
深い呼吸を続けながら、そけい部を手のひらでさすって温めましょう。
手のひらをそけい部に置いたまま、大きく息を吸い込み、息を吐きながら上半身を少し前に倒し、手のひらでゆっくりとそけい部を押します。
この流れを1セットとし、目安として5セットくり返しましょう。
股関節エクササイズ ステップ<2>
次は、自重を使ってムリなく股関節をやわらかくするストレッチです。
床にひざを立てて座ったら両ひざを広げます。両手の指先がつま先と同じ方向を向くように、体のうしろで床につきます。
大きく息を吸って、吐きながら両ひざを曲げた状態のまま右へ倒します。
さらに息を吸い、吐きながら両ひじを曲げて、脚のつけ根と腰が床につくように体の力を抜きます。
息を吸いながら最初の姿勢に戻ったら、両ひざを左側へ倒し、同様に行いましょう。
この流れを左右で1セットとし、目安として3セット行って。
股関節エクササイズ ステップ<3>
最後に、「やわらかくなってるな~」と実感できるエクササイズを紹介していきます。
左脚を前に、右脚をうしろに下げて片ひざ立ちします。背すじを伸ばし、両ひざがそれぞれ直角に曲がっているように意識して。両手は腰に当てておきます。
左脚を少し前に出して、上半身がブレないようにバランスがとれたら息を吸います。その息を吐きながら左ひざを深く曲げて前に突き出し、右脚のつけ根を伸ばしましょう。
両手を上げられる人は、指をからめてしっかりつないだ手のひらを天井へ向け、上半身を頭上に引き上げながら行うとより効果的です。
ゆっくりと元の姿勢に戻ったら、ひざを入れ替えて、逆側も同様に行いましょう。
エクササイズは続けた分だけ、成果となって表れます。ぜひやってみてくださいね。
取材・文/高田空人衣