世界最大規模のウィメンズマラソン「名古屋ウィメンズマラソン」。今回は初フルマラソンのメンバーを全員完走させることを目標にペーサーをしていましたが、ハプニング続出。しかし、最後には大感動。大切なことを改めて感じさせられる、忘れられない1日となりました。後編です!
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応援は最高のエネルギー
22kmの地点でニューバランスチームの皆さんが応援ブースを作って待ってくれていました。一帆も少し元気に。差し入れてくれたおにぎりやジェルをいただいて再出発。でもすぐにまた一帆が気持ち悪くなってしまったので一回止まって5分くらい休みをいれました。
それでも復活することはなく、私も8分/kmペース(5時間半で完走)で作成していたペース表をスマホの待ち受けにしていたのですが、ペースキープするのは無理だなと思って、関門時間だけの表に待ち受けを変えました。
先に進んでも彼女の気持ち悪さはとどまらず、口数も減り、「辛い」「痛い」「気持ち悪い」しか発しなくなりました。なんとか元気を出してもらおうと食べものをすすめるも、気持ち悪くて受け付けない。どうしようかなと思って、折り返しで前を走っている子を待ち伏せして顔を合わせて励まし合ったり、一番最初にはぐれたグループのペーサーの子にテレビ電話をして激励をもらいました。一瞬ですけどね、でも本当に元気になるんです。応援の力って本当に偉大。沿道の声援もボランティアの方々のサポートも一人一人、ひと声ひと声が元気になるんです。本当にありがとうございます。
辛い時間帯
名古屋ウィメンズマラソンは折り返しが多いコースなので、名古屋城にさしかかったあたりでゆるくて長い下り坂が続き、これを復路は登らないといけないことを考えて、少し走りました。29.9kmの関門の時は制限時間10分前で通過しました。焦らなくても大丈夫だけど止まる時間はなく、関門をクリアしては小休憩。少しずつ歩いてジョグして…そのくり返し。本来なら一定ペースで走るのがいいはずなんですが、一帆は走って胃が揺れるのが何よりも辛そうだったので、あまり揺れない早歩きを多めにしていました。
続々と仲間たちが完走したのがアプリの通知でわかって、そのたびに「〇〇ちゃんゴールしたよ!」と報告していました。もう返事もできないくらいの感じだったんですが、それでも一度も「やめたい」とは言いださなかったので、なんとか制限時間をフルに使ってでもゴールできるぺースをキープしていました。
どんどん抜かされていくと焦るだろうなと思って、「こうやって抜かされてると焦るけど、私たちの目標はあくまで完走だから焦らなくていいよ。絶対大丈夫だから。絶対完走させるから」と何度も声を掛けました。
名古屋ドームに返ってきて残りはほんの数百メートル。沿道には先にゴールしたNBRCのメンバーが待っていてくれて、私たちを見て、大声援を送ってくれると同時に、私たちより先に泣いていました。一帆も久しぶりに笑顔を見せて、最後はタイムリミット10分前に涙涙のFINISH。
ずっと苦しかったと思うし、辛いフルマラソンデビューになったと思うけど、本当によく頑張ってゴールできました。
私も一人で走っていたら味わうことのできない感動を体験できて、本当にペーサー申し出てよかったなと思いました。
#君の強さは
この大会テーマの「#君の強さは」。走る前まではなんとなくしかわからなかったのですが、42.195kmを一緒に走って、私の「#君の強さは」は、自分が弱いことだと思いました。サハラの時にも思ったことです。
私も最初のフルマラソンは足を怪我してケンケンでフルマラソンを完走したという逸話を持っていて(苦笑)、2回目の時にはハーフで目の前が真っ暗になって倒れるという経験もしました。
だから足が痛くて気持ち悪くて泣きながら走る彼女の気持ちもわかるし、これは最初から速くてそういった経験がない人にはわかり得ないことなんじゃないかなと。私が強いからずっと付き添えたというよりは、弱いから、その経験をしているから彼女に寄り添ってずっと最後まで一緒に走れたんだと思います。「競技者じゃないから速さよりも楽しさを追求したい」というランニングのスタイルも変わってません。
今回、私が初めての時と2回目の時に並走してくれたライターの江口さんに改めて感謝したし、一帆ももし今後何回かフルマラソンを走って、初フルの子をサポートすることになったら、自分の時のことを思い出して同じようにしてあげてほしいし、それがずっとつながっていけばいいなと思います。
がんばる彼女を見て、私もまた、自分自身の新たな挑戦をしたいなと思いました。また違う砂漠のレースとか…(笑)何はともあれNBRCメンバーはなんと全員完走。これは本当スゴイことです!本当に頑張った!ナイスラン!また一緒に走りましょう!
TOP画像/photo by Takashi Imai